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#内省010 味方


ネガティブなことはあまり吐露しないほうがいいと思って普段は取り繕っているのだけれど、人生一寸先は闇なので他山の石としてください


夫婦の話で、私がとても傷ついたできごとがありました
我が家では、夫婦して家計に無頓着で、お金に困らないほどの収入があるわけではないんだけれど、お互い普段からあまり浪費をしない生活をしているため、節約という考えも、貯蓄という考えもなく、それに関連してか、通帳残高とかクレジットカードの利用明細を見る習慣もありませんでした(それが良くないことは今は学んでいます)

一昨年の夏ごろに、たまたま何かを調べる必要があって、クレジットカードの利用歴を確認したところ、2年ほど前に60万円ほどの不正な引き落としがあったことがわかりました 詳しく調べてみると、3か月くらいの期間にまたがって、AppleだかGoogleだかの数千円の引き落としが100回くらい繰り返されていました ネットで調べるとこれが定番のクレジットカードの不正利用詐欺であることがすぐにわかったのでクレジットカード会社に連絡をしたところ、詐欺被害であることはほぼ間違いないこと、クレジットカードの停止と再発行の手続きが必要なこと、通常は引き落とし後半年間が補償の対象なので2年も前の引き落としに関しては扱いが微妙で社内調査が必要なこと、などを教えてくれました また、その詐欺がどのような手口なのかと尋ねたところ、おそらくクレジットカード番号の総当たりの攻撃であり、防ぎようのない誰でも被害者になりうる手口であること、被害の早期発見のためには定期的に明細を確認することが大切なことを教えてくれました 

詐欺被害にあって私はショックを受け動揺をしたのですが、これは私にとってとても意外なことでした 詐欺被害にあったことのある人ならわかると思いますが、怒りとか悲しみよりも自責の感情が勝るのです オレオレ詐欺とか、シロアリ駆除や瓦交換などの訪問詐欺の被害にあうと、その被害金額以上に精神的なダメージを引きずるという話を聞いたことがありましたが、想像に難しくないです

さて、そんな被害にあったことを妻に話しました(※ごく一般的な夫婦仲のころです)すると、妻は私のことを強く叱責しました 確かに妻が私を責めたくなる気持ちはわかるけど、これはある程度不可抗力な詐欺手口であることと、珍しく私自身もショックを受け動揺していることを伝えました しかし、それでも妻は自分の失敗を棚に上げて被害者面するなんてありえないと私のことを非難しました それが私にとって夫婦間で初めて感じた深い傷です「あぁ、この人とは、困難に直面した時に支え合うことが出来ないのかも」とも思いました

数日後、クレジットカード会社から被害額を全額保証してくれるとの連絡があり、結果的には金銭的な被害は一切なかったものの、夫婦間の傷だけが残ることとなりまし


これが2年ほど前の話です

今でもこの時のことを考えるとつらい気持ちになるのですが、先日たまたま読んだ(聴いた)本で、少し自分の意識を変えることができました

解説に「もっと早く読んでいたら私も離婚にならなかった」なんてことが書いてあるし、レビューを見ても涙が止まらないというものが多かったので、どんなものかと読んだ(聴いた)のですが、私にはありがちな陳腐なエピソードの集まりに思えたので、この本自体は特にお勧めしません(心がすさんでいるのかも)

ですが、あるエピソードの中で、以下のような会話があったんです

「よく夫婦のことを戦友に例えることがあるじゃないですか。でも私はね、妻は戦友じゃなくてもいいと思っているんです。友に戦ってくれなくてもいい。ただ、いつも味方であってほしいんです。」

これを聴いて、私はクレジットカード詐欺のことを思い出しました 私の妻は味方にはなってくれなかったと ところが…今まで考えてみたこともなかったのですが「詐欺被害にあって、私を𠮟責した妻は敵なのか?」という疑問がわきました

喜んだり「ざまあみろ」と嘲笑ったわけでもないし、無関心だったわけでもないわけです 私のことを叱責したということは、チームで言えば同じチームメイト(だいぶ意地悪な奴)であり、つまり味方じゃないか!と思えてきたのです

味方だからこそ、私と同じようにショックを受けて動揺したのかと思うと、なんだか気持ちが軽くなりました、今回はそういうお話です

私はあまり自分自身のことが好きなわけではなく、結構ひどい人間であることは自覚していて、それで気楽に生きているのですが、自分の都合のいい解釈で物事の見方を変えることが出来て、しかもそれを心の底から信じることが出来るのは、我ながらなかなかに融通の利く長所の部分じゃないかなと思っていたりします


 


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