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2025年第3週厚労省定点分析と評価・第4週直近予測

1.基本情報

今回の定点は、2025年3Wであり、

定点2025-3W
診断日 1/13~1/19
接触日 1/8~1/15頃

報告医院数 4,939

である。3Wは、暦効果中立として扱っているが、年末年始の影響は残る。

暦効果補正前の定点生データと週間変化率一覧表を示す。暖色地は、前週比増加で寒色地は、前週比減少である。

全国的に殆どの都道府県で大きく減衰に向かっている。KP.3.1.1* 12-1st Surgeは、収束に向かう模様である。但し3W時点では、減衰率が過小であるため4W定点での変化率評価を待つ。

医療機関あたり定点値 北海道~神奈川県
医療機関あたり定点値 新潟県~三重県
医療機関あたり定点値 滋賀県~山口県
医療機関あたり定点値 徳島県~沖縄県

2. 2024-25冬季12th Surge概況

42Wから48Wを起点としてすべての都道府県で24-25冬季 12-1st Surgeが指数関数的成長を示した後、52W~2Wにかけて極大期となったと考えられる。東日本では、52W~1Wに寄っており、西日本では、1W~2Wに寄っている。

関東以東と関西以西では12th冬季Surgeの挙動に異なりが見られる。北陸、甲信、東海は、中間地帯となっている。

関東以東では、12月に支配株がXEC*に変わり、年末年始から1月にかけてXEC* 12-2nd Surgeが長期化という形で定点に現れる可能性がある。

この典型的な例が、BA.1 6-2nd SurgeとBA.2 6-3rd Surgeである。

3W定点では、大部分の都道府県で減衰〜大きく減衰を示しており、KP.3.1.1* 12-1st Surgeは、年末年始を極大として収束に移行したと考えられる。日本における9週極大仮説と奇麗に合致している。

一方で全国の公開されている下水サーベイランス結果が2W~3Wから下水中ウイルスRNA濃度が反転上昇しており、XEC* 12-2nd Surgeの前兆である可能性がある。

これについては、札幌市下水サーベイランス結果が、4Wに高いウイルスRNA濃度であるが減衰に転じており、52W~1Wを極大期として減衰に転じた可能性がある。

札幌市 下水流域RNA量と定点あたり報告数(医療機関あたり)休日補正なし

神奈川県相模川下水サーベイランス結果も4Wに更新されている。52W後半から1Wが欠測である。欠測期間の52W後半から2W前半にかけて下水中ウイルスRNA濃度が極大期となり、2W後半以降、依然として高いウイルスRNA濃度であるが減衰過程にあると考えられる。

神奈川県相模川新型コロナウイルス下水サーベイランス調査結果

関東以東については、4W~6Wにかけて順調に定点、下水中ウイルスRNA濃度が指数関数的に減衰するか否かでXEC* 12-2ndの影響の有無と規模がわかる。

関西以西では、夏に猛威を振るったKP.3.3*が11月から12月まで支配株に座に居座り、多くの地域でKP.3.1.1*が支配株になれなかったため、12-1st Surgeは、KP.3.3*およびKP.3.1.1*, XEC*が混然となった形で形成されたが、11月から12月にSurgeを押し上げたものはKP.3.1.1*であると評価しており、東日本同様にKP.3.1.1* 12-1st Surgeと定義している。

12月後半から1月にかけてXEC*が支配株となる趨勢であり、3W以降、定点にXEC* 12-2nd Surgeの影響が表れる見込みである。

関西以西では、兵庫県養父市が4Wの下水サーベイランス結果を更新している。

養父市水中ウイルスRNA濃度は、1Wが欠測である。養父市におけるウイルスRNA濃度は、48Wを起点として12th Surgeを示しているが、4W~5Wにかけて極大となる見込みであり、これは兵庫県内の都市部に遅行している朝来定点(和田山で、養父市を管轄)と傾向があっている。

兵庫県養父市新型コロナウイルス下水サーベイランス調査結果

関西以西では、多くは1W~2Wに定点が極大となり3Wに減衰に転じているが、減衰率が著しく過小である。4W~6Wに順調に定点、下水中ウイルスRNA濃度が指数関数的に減衰するか否かでXEC* 12-2ndの影響の有無と規模がわかる。

全国でLP.8*が10%~30%の占有率で漸増中であり、抗原性の違いからもXEC*が減衰に転じた後にLP.8* 12-3rd Surgeを生じ、2/3月から5/6月までBaselineを押し上げる形となる恐れがある。典型的な例が、事実上の日本株である、XDQ*によって形成された2024 10-3rd Surgeである。基礎的な感染防護を社会全体で行っていれば生じない波である。

なおGISAID最新登録では、LP.8*は、伸び悩み、減衰に転じた可能性がある一方で、新たな株が検出されている。

日本GISAID集計ゲノムサーベイランス結果
北海道GISAID集計ゲノムサーベイランス結果
東京都GISAID集計ゲノムサーベイランス結果
兵庫県GISAID集計ゲノムサーベイランス結果

支配株の早期確定・事前予測ができない理由は、厚生労働省が全都道府県の保健所・衛生研などに対してゲノム解析数を週に5件程度に激減させる事を通達した為である。また、GISAIDへの報告を全く行わない自治体も多くある。

GISAIDへの報告を最も熱心に行っているのは北海道である。

12th Surgeの発現時期は、東日本から中・四国では、平均するとほぼ23年同期並であるが九州では、半月から一ヶ月早く発現している。

12th Surgeは、昨年10th Surgeと同様に12-1st, 2nd, 3rdの主に3つの波から構成されると予測される。

KP.3.1.1* 12-1st Surgeは、中間評価に反して比較的波高が低かった。但し、年末年始にかけてFlu A Surgeによって発熱外来、救急外来が飽和していた為、波高の評価は、5が月後の人口動態死亡統計を待つ事となる。

2024年度は、10th Surge長期化の為に8月までの死亡数が過去最大となっている。12th冬季Surgeの長期化は、2021年、24年、25年と繰り返される日本特有の現象となる見込みである。

外気温、スギ花粉など季節性大気汚染と空調、換気の関係が日本における夏季、冬季季節性COVID-19 Surgeの大きな要因となっている。これは、日本において相変わらず旧態依然とした既に世界の医学・医療では否定されている飛沫感染限定説が教条となっており、空気感染対策が事実上なされていない為である。

各都道府県と全国の警戒水準の速報値を色別に示す。全域で状況が緩和している。

3W各都道府県の警戒水準 北海道~三重県
2W各都道府県の警戒水準 北海道~三重県
3W各都道府県の警戒水準 滋賀県~沖縄県
2W各都道府県の警戒水準 滋賀県~沖縄県

1th Surgeにおける全国のCOVID-19医療飽和水準は、定点10であり上限は、定点15である。COVID-19医療飽和水準は、西高東低であり東京都など関東でたいへんに低い。但し、北海道など、12th Surgeにおいて夏を遥かに上回る定点値に医療が持ちこたえている為、とくに東日本での医療飽和水準の見直しと引き上げを予定している。

人口あたりの医療資源密度は、西日本で高く、東日本では明確に低い。このため東日本では、西日本より低い医療への負荷でCOVID-19医療飽和が始まる。52W時点では、秋田県では、直近5週間連続して定点10未満でCOVID-19医療飽和が継続している。

なお、今回の12th Surgeで東日本のCOVID-1医療容量の評価を正式に行うが、Flu Aにより病院が強い圧迫を受けている為に過小評価になる可能性は留保している。

3.二週間気象予測(気象庁より)

日本は全域で真冬の気候である。

沖縄県を除く日本全域で換気が強く抑制され12-2nd Surgeの成長に好適条件となっている。

沖縄県と小笠原を除き日本全域で冬季Surgeに好適な条件となっている。この状況は、2月末まで継続する。

九州以北では、定点の挙動は、一週間ほどの遅行日数で先行指標である気温と極めて強い相関がある。

加えて換気を抑制する一方、マスク着用率を大きく押し上げるスギ花粉公害が1月中下旬に山口県と東京都で始まっている。2月に入ると九州四国から東進してゆく。

気象庁 2週間気温予報


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