69曲目 起業するまで
前回の投稿の続きをすでに書き終えて保存したのに、どこにも保存されておらず、少々萎えて執筆活動のやる気を失っていたヤングおじさん。
ご無沙汰になりましたが、再度書き直し。
前回の続きから、その後、お別れした彼女との傷は癒えぬまま、後日聞いた話によると、その後、彼女は僕の事を一年半も待ち続けてくれていたらしい。本当に申し訳ない気持ちと、自分の置かれてる立場の情け無さに、何度枕元で涙を流したか。
ここで初めて書くが、誰が好き好んで、44歳おじさんの苦労話に興味があるもんか。今も昔も、過去にさほど興味はない。それほど苦しかった。でも、今の自分があるのは間違いなく、この頃の苦労があったおかげ。
違法駐車、家賃滞納者、夜逃げ、中国人、夜中に真っ裸で虫籠持ったおじさんが奇声を上げママチャリで暴走してる。令和の現代、そんな話は、もはや空想の世界にしかなさそうだが、15年前のこのエリアでは確かにあったリアル。
そんな家賃、税込三万円のスラム暮らしにケリを付けるために、行方が分からない社長を独自のネットワーク網にて、なんとか見つけて、専務づてには話していたが、とある場所にて、正式に会社を辞める事を伝える。
未払いの役員報酬の話、これまでのずさんな経営、TOPとしての責任放棄、バイトやお客様に手を出した経緯、経費計上出来ないデリヘル狂い、全て元顧問税理士よりリークされた事を、突き詰めて話した。本人に反省の色は感じず、ずっと下向いたまま。
ただ、現実、会社にも個人にもすでに資金もなく、病気がちな社長の両親から取り立てるしかないが、そんな鬼のマフィアのような追い込みをする元気もなくなる程、彼はやつれ小さく見えた。
全員で話し合った結果、僕個人が裁判すれば、僕だけがその報酬を社長から返済していってもらえる(彼が真面目に働けば)、だが、何十年かかるかも分からないし、彼が再び飛べば支払われなくなる、もう一つは、僕の報酬を放棄し、残ったスタッフや社員、役員、その他負債などの債務に分配して払う。
この二択以外に方法はないと、幾度も協議した結果、弁護士、元税理士にそう伝えられた。納得なんかできないし、自分にも生活がある。
ただ、リアルな話では、お金が現状ない、担保もないので、取れるところがない限り、大体のケースは被害者が泣き寝いりしないといけないのも、これまたリアル。
その場所で、たかだか29歳のクソガキがこんな残酷な選択を突きつけられ、当然、頭を抱え、本当は自分も苦しかったから、喉から手が出るほど、このクソ社長から取り立ててやりたかった。それが本音だが、泣き寝入りするしか他の道はなかった。
会社の残るメンバーにはこれから結婚考える子や、先輩には子供も生まれるような話も出ていたし、自分で独立して稼げるような子も少なかった。
その頃、ようやく音楽で少しは食えるようになってきてた自分。
その当時、他の道で稼げる人間は残念ながら、役員で自分しか会社にはいなかった。
ここは自分が稼いで、返していく決断をして、未払いの役員報酬、アパレルなどの在庫、その他どうしても社長が払えない借金などの総額2000万程を自分が担ぐ形で話をまとめた。
ここから各所には返済の話を全て自分でつけに行って、毎月の返済プランを細く決めて独立の準備も急ピッチで進めた。独立できる充ても可能性もないままだが、知恵を働かせ、協力を仰ぎ、自分の音楽の給料は全て返済に回すことで、少し活路が見え始めた。
もちろん毎月35万円の支払い、当時を思い出しても想像を絶する。
人の借金を返す日々はもう想像を超える地獄。
毎週かかってくる取り立ての電話。
毎日の売り上げ報告からいくら上がったなら、もう少し返せるだろ。いや、これはこちらに返済するので、来月まで先伸ばして欲しい。
もう漫画ウシジマくんの世界。
毎日、鬱越してノイローゼ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?