【読書途中感想文】教室が、ひとりになるまで 浅倉秋成
書店に平積みされていた本。表紙に大きく書かれた「ここはみんな仲がいい最高のクラスです。あの3人はただの自殺です」という文を、新聞の広告欄でみた覚えがあり、気になっていたので購入。長い題名だと思ったら、小説を紹介するためのキャッチコピーで、目立つように、新たにカバーをかけたよう。先日の「本性」といい、これがKADOKAWAの販促のやり方か。キャッチコピー入り赤いカバーを剥がすと、本来の表紙が見えた。
途中感想
ほぼ半分まで読んだが、3分の1時点で、主人公、読者にも犯人がわかってしまった。しかしまだ3分の1、ひっくり返される可能性は十分にある。
だが、表紙カバー裏の読者感想には「犯人がわかってからも面白い。むしろそこからが本番」とあるので、やはり犯人はこの人なのだろうか。また同じく感想で「散りばめられた「違和感」が、最後にめちゃくちゃいい仕事する」とある。
この「違和感」は私も多分に感じている。主人公の男子高校生の人となりが、あまりにも不透明なのだ。特に親しい友人がいないようで、部活も帰宅部。ギターを買うために、ひたすらバイトで蕎麦をゆでている。自宅であるマンションの室内は、物が多く雑然としているようで、そのような描写とそこで過ごす兄弟のセリフはある。しかし、両親は登場せず、不在の説明もない。あとこの小説は一人称。主人公が見た世界しか読者にも見えない。
どちらかというと、他人に淡白に思える主人公が、人助けに奔走している。隣室に住む、幼なじみの女生徒(といっても、事件前までは心理的には疎遠だった)の頼みと、自分が、学園に代々伝わる特殊能力の受取人になったからとはいえ、なーんか違和感。ちょいちょい出てくる路上ミュージシャンも何かしら関わっている様子。彼のファンの一人が自殺したクラスメートの一人であるのは、予想はつくが、それがどう本筋に関わってくるのだろう。
私は、精神誘導系の特殊能力を持つ誰かによって、彼は人助けをするように動かされているのではないかと、踏んでいる。この予想はどうだろうか。
ちらりと見たが、次の次ページぐらいに、私がここで説明したような、主人公の人物像がわかるクラスメートのセリフがあるようだ。物語は折り返し地点。遅い、あえてのこのタイミングでの読者への情報提示。絶対おかしい。
では続きを読むか。