回収には大きく分けて二つの目的があります。一つは有害物質の拡散防止であり、もう一つは資源の有効利用です。 電池関連の有害物質としては鉛蓄電池の鉛や硫酸、ニッカド電池のカドミウム、水銀電池などの水銀があります。 2006年7月から有効となるヨーロッパの有害物質販売規制に関する指令(RoHS指令)では、カドミウム、水銀は販売が禁止されます。 しかし、電池はRoHS指令の対象外であるとされています。 一方、電池に関しては厳重な回収が義務付けられています。 ヨーロッパでの規
数年前、米国ロスアンジェルス空港で、電池(リチウムイオン電池ではありません。)の輸送貨物を取り扱い中、誤ってフォークリフトを荷物に突き刺し、電池が炎上する事故がありました。 このような事故を契機として、電池の航空機輸送に関して、規制が厳しくなり、安全性の証明を添付しないと輸送ができなくなってきています。 規制内容については国連が要求される安全性の確認試験内容などについて、航空輸送業界に勧告を行い、IATA(国際航空輸送協会)がそれを受けて、規制を行っています。 もともと
リチウムイオン二次電池を対象とした安全規格は、UL(Underwriters Laboratories Inc.)の規格がもっとも有名です。 ULは米国の民間団体であり、米国の公的な規格ではありませんが、米国、カナダで販売するためにはデファクト・スタンダードとも言うべきものです。 IECやJISなど、国際規格や日本の規格も、基本的にはUL規格をベースとしています。 ULの、リチウムイオン電池セルに関する規格としては、UL1642があり、電池パックとしてはUL2054など、
ノートパソコンに標準的に3本から9本組み合わされて使われているのは18650サイズの円筒型リチウムイオン電池となります。(平均電圧3.7V、容量2.2Ah)例として、この内の1本が何らかの要因により、内部で短絡が発生し、内部に蓄積されていたエネルギーがすべて熱になったと仮定すると、8.14Wh=29.3kJとなります。 約40gのセルがすべて鉄(比熱=0.435)でできていたとして、全エネルギーが鉄に吸収されるとすると、鉄の温度は1627℃になる計算になります。 鉄の融点
ノートパソコン用途を念頭において、電池駆動機器と、電池パックと、充電器間の情報の管理を定めた規格に、スマートバッテリー規格があります。 これはインテルとその他電池メーカー、電池ユーザーがスマートバッテリーフォーラムという規格団体を作って審議している規格です。 規格はSM Busと呼ばれる情報通信のプロトコルが主体となっています。 最近はノートパソコン用のほとんどの電池パックはスマートバッテリーもしくはスマートバッテリー規格準拠であるようです。 充電器にまでスマートバッ
いろいろな電池使用セットにあわせた模造品パック、もしくは違法海賊版パックが種々市場に出回っています。 これらのパックは品質的に劣悪なものがあり、このようなパックを使用したエンドユーザが火傷や怪我を負う場合があります。 このため、セットメーカーは非純正のパックを使用できなくするために、パックに特定のコードを発生する回路を入れ、そのパックが本体に装着されたときに、 本体がパックからのコードを読み取り、適合するパックであると判断したときにパックを受け入れるように対策を講じています
電池パックの充電量の算出、表示、通信などを行う機構をガスゲージといいます。 英語ではGas GaugeとかFuel Gaugeとよばれ、後者を略して、FGと言われたり、書かれたりします。 FGの方式は簡易タイプと精密タイプがあります。 簡易タイプは携帯電話などで採用されているもので、パックの電圧を測定して、その電圧から電池の充電残量を決めるものです。 電池の電圧と残量の関係は 正確に電池充電残量を算出するためには、電池パックの流入及び流出電流を測定し、それを積分する必
リチウムイオン電池パックには、何らかの保護回路が装備されています。 比較的安全であるとされるマンガン系のリチウムイオン電池や、コバルト系でもごく小容量のリチウム電池パックでは、電子回路による保護ではなく、 温度ヒューズ、電流ヒューズ、PTCやバイメタル型スイッチにより、パックの温度や電流量により、保護素子を動作させて放電電流を止める保護方式もあります。 電池の温度や放電電流の大きさを検出して放電電流を止めるだけで電池パックの安全が保証されるのは、非常に小型の電池パックまた
リチウムイオン電池の寿命をいくつかの観点から考えてみましょう。 メーカーが発表しているリチウムイオン電池(単セル)の寿命は、おおむね以下の2通りです。 300サイクル・・・0~80% 500サイクル・・・50~70% ユーザが実際にノートパソコンや携帯電話を使用していて感じている電池の寿命に一致しているでしょうか。 携帯電話の場合は、夜寝ている間は充電台に載せ、昼間は使用というケースだと、1年間で300回程度充電していることになるでしょう。 しかし、1年後に新品
ニッカド電池やニッケル水素電池が多用されていた時代にはメモリー効果は頭痛の種でした。 特にニッカド電池ではメモリー効果が発生してしまったセルは完全には回復のしようがなく、ずいぶん気を遣って電池を使っていました。 メモリー効果とは ニッカド電池やニッケル水素電池を放電する際に、充分に電池電圧が低下する前、すなわち容量をある程度残した状態で放電を中止し、再度充放電を行うと、初回に放電を中止した付近で少し電圧が低めに推移するようになります。 特に、放電を毎回放電途中の同じ付
リチウムイオン電池に限らず、一般的に電池には内部放電(自己放電)があり、これをゼロにすることはできません。 二次電池の中ではリチウムイオン電池はニッカド電池やニッケル水素電池に比較して、内部放電の非常に小さな電池なのは事実です。 それでもゼロにすることはできません。 自己放電電流が大きいと、充電電池を放置したときに、電圧の低下(充電量の低下)が大きくなります。(自己放電の小さな電池には酸化銀電池やリチウム一次電池などがあり、時計、カメラなどの用途に使われています。)
リチウムイオン電池の放電特性は諸条件で大きく変化します。 主な条件としては電流値、環境温度、充放電サイクルを経過したことによる電池の劣化があります。 電池メーカーはこれを示すために、以下のような評価を行っています。 放電レート特性 横軸は放電容量もしくは放電時間(定電流放電ですから、結局放電容量を示しています。)、縦軸はセル電圧とし、放電温度は一定で、放電電流をパラメータとしたグラフになります。 通常示されるグラフは、放電温度20℃において、放電レートが0.2C
リチウムイオン電池は充電方法を誤ると、事故をもたらすことがあります。 充電はメーカーが指定した条件内で行うことが重要です。 一般的には、電圧はセルあたり最大4.2V、電流は1C以下とされています。 電圧は4.1Vとする場合もあるようです。 10年ほど前までは4.1Vが一般的で、容量増をねらって4.2Vが導入されてきたと理解しています。 電圧が低い場合には当然、充電容量が減少します。 4.1V充電では4.2V充電に対して、約10%充電容量が低下します。 しかし、サ
ノートPCと携帯電話以外の、主な電池駆動機器の状況は下記の通りです。 デジタルスチルカメラ(デジカメ、DSC) 普及品は乾電池駆動のものが多い中で、単三乾電池2直と外形互換で、 カメラ本体側で電圧対応をすれば乾電池を互換品にできる リチウムイオン電池の登場は興味深いものがあります。 リチウムイオン電池の充電が切れてしまった場合には、緊急に乾電池を使うことが可能です。 ただし、乾電池駆動の機器は最大3Vで設計されており、リチウムイオン電池は4.2Vであるため、機器を
使用セル 最近はリチウムイオン電池以外の電池を使用したものを見つけるのは困難です。 また、携帯電話の初期には、大容量パックと銘打って円筒型18650の2パラの電池パックが存在しましたが、現在ではすべて角型になっています。 フットプリント(縦×横のサイズ)は以前は30×48mmが主流でしたが、最近は34×50mmが一般的で、厚さは3.8mmが最薄で、6mm辺りまで使われるようになりました。 その他のサイズでは30×40mmも使われています。 充電器 以前は充電
現在のノートパソコンに使用される電池パックは、ほぼ次のようなものとなっています。 使用セル 数年前まではニッケル水素電池が大きな比率で使用されていましたが、最近はほぼ100%リチウムイオン電池となりました。 使用サイズは円筒型18650(径18.3mm×長さ65mm)が主流で、薄型にこだわった設計の場合には角型103450(厚さ10mm ×幅34mm×長さ50mm)が使用されています。 以前は円筒型では17670(径17mm×67mm)を使用したパックもありましたが、