先乗りスコアラーがいない ベイスターズ
お断り
今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。
先乗りスコアラーとは?
NPBではスコアラーが事前に相手チームの情報収集および解析を行います。これを「先乗りスコアラー」と呼んでいます。、野球はスコアブックによって試合状況のほぼ全てが、試合の再現が可能なまでに詳細に記すことが可能であることと、日本で初めて球団専属でこの役割を担った尾張久次がスコアラーが南海と契約し、鶴岡監督による南海黄金期を支えました。尾張氏は毎日新聞の印刷工場からスポーツ記者に異動し、野球研究の一環として統計的にスコアをまとめる作業をしていたところ、個々の選手の投打の傾向や投手と打者の相性などに気が付き、このデータをまとめ取材で親交のあった南海の鶴岡監督に見せたところ、スコアラーとして雇用されました。先立って対戦相手の試合を視察するスコアラーを「先乗りスコアラー」と呼ぶのに対して、チームに帯同しベンチ入りもして、選手たちに情報を提供するスコアラーを「チーム付スコアラー」と呼びます。
データアナリストが充実したチームから先乗りスコアラー廃止
ソフトバンクが2018年前後から先乗りスコアラーを廃止して、通常は専門のスコアラーが対戦相手の直近1週間を密着し、登板予定の投手や主力打者の傾向を洗い出し、バッテリーと野手に分けて選手に報告する制度を変えました。相手チームの試合にはアルバイトだけが向かい、指示された映像を撮影し、送信、それをアナリストがまとめ、個別に選手に伝えます。ベイスターズもまずは相手チームのデータを専門のアナリスト(データ分析の専門家)が傾向を体系的にまとめ、野球経験のあるアナリストが試合で実際に使えるデータに落とし込みます。2024年からはオフェンシブチーフコーチ、ディフェンシブチーフコーチ、チーフ投手コーチが選手運用や配球、作戦に落とし込み、監督はじめコーチ陣に伝えます。他球場の動画やNPB全球場にあるホークアイなどのデータを収集すれば、現地にスコアラーが乗り込む必要がなくなり、チーム付のアナリストを強化して、選手への情報提供をリッチにする方向へベイスターズは動いています。
解析データがあれば、大事なのは試合当日のコンディション
広島など先乗りだけでなく、先ゝ乗りスコアラーを導入しているチームも多いのですが、解析データがリッチになっている現状では、前カードでの相手のスコアカード情報よりも試合当日の相手のコンディション及び自チームコンディションの分析が大事になります。これに関してはグラウンドで試合する選手や間近で指示を出すベンチの判断に委ねる部分が大きくなります。試合の当日にデータを丁寧にベンチに落とし込むことがきちんとできているチームが、これからは強くなります。
ベイスターズはデータを利用していないというファンの声
ファンが見ている打率とか防御率などもデータではありますが、現在はセイバーメトリクスに利用するOPS、WAR、UZRなどのデータも公開されていています。実際のところプロ野球チームのアナリストのデータはもっと細かいものとなっており、解析の仕方も複雑な数理的手段が用いられます。ここから野球の戦略に落とし込む部分がどこのチームも課題で、結果として旧来の先乗りスコアラーのデータに頼っているチームが多いようです。日記式の旧来のスコアブックは記述式であり、早稲田式、慶応式があり、多くのアマチュアは早稲田式で、NPBは慶応式を取り入れています。ベイスターズファンで絶対現地で野球を見ないというファンは、アプリ等で文字情報だけ追っている方も多いので、旧来の筆記式で打率等の基本情報のデータ以外はデータにあらずと考え、トラックマンやホークアイで行動な数理計算で導き出される作戦はデータではないと考えるファンもSNSでは見受けられます。生の数値を解析し、野球の戦略に落とし込んだ上で、グラウンド上でそのデータを参考にプレーするのは選手です。選手のプレーを見て、生の数値と比較して、データ通り行ってないとか批判するのは、データ野球からはズレていると思っています。またハマスタでベイスターズ選手を見るとテレビ中継などからはわからないポジショニングの変化やコーチの指示もわかります。ベイスターズのデータ利用を批判することは、文字情報やテレビ中継を誰でも無料で見ることができる基本データと比較するだけの人にはできないと思っています。