最先端の野球を目指すベイスターズ
お断り
今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。
ピッチトンネルが昭和の打撃理論を壊滅させた
打者が球種の判別ができるのは打者から9メートルほどの位置だと言われていて、そこにトンネルを描いて、投手はどの球種もこのトンネルを通過するように投げるのがピッチトンネルです。トンネルまでは同じ球種に見えるので、打者はトンネルを抜けてからしかボールを判別できず、そこからの変化に対応できないのです。投球の球速が150km/h台の投手が増えたこと、その球速で打者が判別できない地点から変化するようになったことで投手優位の時代が来たと言えます。「ポイントを前にして上から叩け」という打撃指導が昭和の時代によくあった指導です。しかしポイントを前にするとピッチトンネルの変化し始めるところに、そこまでの軌道を想定したスイングをするので確実に空振りします。またそもそも地球の重力方向にボールは落下しているので、上から力をバットで加えても前を走ってる車を押すようなもので力は加わりません。バットに当たってゴロを打てても内野手が扱いやすいゴロとなり討ち取られます。そもそもゴロを意識して早い時点からボールがグラウンドに触れると地面との摩擦、或いは芝との摩擦により減速していきます。1600年代後半にはニュートンなどによって重力が地球にあることは広く知られているのですが、古い野球ファンは重力があることを知らない500年ぐらい前のヨーロッパ人以下の知識で「上から叩いて打て」という指導を信じている方もいます。さらにピッチトンネルで昭和の叩いて打つという打法では今のプロ野球では全く打てないという事態になっています。
バウアーがベイスターズに残したピッチデザインによる最先端のデータ野球
バウアーが2023年来日して彼が説くピッチトンネルの進化系「ピッチデザイン」についてベイスターズの選手、コーチ、アナリストが直接理論に振れたことがベイスターズを進化させています。
ピッチデザインを実現するためには投げるボール変化を極力打者よりにしなくてはいけません。つまりボールの握り、指先の加減のみで変化をつける投球が必要となります。大きく曲がるカーブやシュートは腕の振り自体をストレートと変えることで投球の早い時点から変化が始まります。そしてホームベースに近いところで最も大きく変化することで打者を討ち取るのです。この理屈でいえば、ポイントを前にして打つことが重要になってきます。フォークボールなども腕の振りはストレートと同じでもボールを挟んだり、指先の負荷が大きい変化球ではかなり早い段階で変化が始まり、大きく落下します。山崎康晃が近年不調なのはツーシームの変化が早い段階で始まることで打者に見極められることが原因です。バウアーの影響かわかりませんが、東が目一杯のストレートで球速を上げることよりも、ピッチトンネルで投球を支配することに重点を置いたことで最多勝に輝いたことはピッチトンネルの優位性を示すものです。
打者にも大きなヒントが
クローズドスタンスで背中が見えるほどだった佐野が打てなかった原因は、始動を速くして前のポイントで強く打つことで強い打球を放てたものの、ボールの見極めが難しいピッチトンネルを使った投球にはクローズドスタンスでは対応できないことによります。そのため佐野はスクエアに構えるように変更しました。宮崎はポイントを体の近くまで引き付けて打つことで2度目の首位打者を獲得しています。バウアーの研究がチームに与えた影響は打者にも有効でした。