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中小企業診断士試験の労働法規を解いてみた
わたしが社労士受験生だった頃に、SNSで中小企業診断士試験に関して、「労働法規は捨て問」「診断士に必要?」という投稿を目にしたことがあります。
先日そのことを思い出しました。
実際に中小企業診断士試験の問題を解いてみて、感想や解説を記事にしてみたいと考えました。
令和6年度、5年度(再試験)、5年度、4年度を解いてみます。
自己紹介が遅くなりました。
社労士試験の体験記を発信しているbayashikoと申します。
今年の令和6年度の社労士試験で合格基準点に達しました。
この記事は社労士試験を受験する方も読んでくださっていると思います。
社労士試験では未出題の論点を発見しましたので、最後まで読んでくださいますと嬉しいです。
社労士試験の受験生は全問正解を目指しましょう。
令和6年度
「企業経営理論」問24から問27までが労働関連法規の問題です。
問題は下記のURLから確認することができます。
問24 ウ(正解の選択肢を記載します)
労働契約における「合意の原則」に関する記述が正しいです。
イエはなんとなく誤りと気付けるかもしれませんが、アの試用期間の解雇に関する事項がわからなければ正解に辿り着くのが難しいと感じました。
問25 エ
わたしはイとエで悩み間違えてしまいました。
社労士試験では未出題の問題になります。
根拠は調べましたので、下記の画像で確認をお願いします。
イ→通達ではなく、厚生労働省のリーフレットに派遣先の都合で契約を解除したときに補償が発生する旨が記載されています。
エ→労働契約みなし申込み制度が根拠になっています。
社労士受験生は労一では未出題論点なので、確認してください。
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問26 ア
アはピンポイントでわかった人も多かったのではないでしょうか。
問27 ア
就業規則は定める・変更する際は同意が不要で、「意見を聴くこと」が必要です。
基礎的な事項でしたので、知っていた方は正解できたのではないでしょうか。
令和5年度(再試験)
台風6号で那覇地区のみで実施
受験生の皆さんは受験できるか不安な日が続いたと思います。
お気持ちお察しします。
「企業経営理論」問19〜問21までが労働関連法規の問題です。
問19 ア 平均賃金に関する問題
難しい問題です。
アをピンポイントで当てにいく問題のように感じます。
問20 ウ 就業規則、年少者、労働憲章
アの10人以上の労働者を使用することになった時に就業規則を作成する義務が生じることがあれば正解に辿り着けるでしょう
問21 ウ 割増賃金
アに関して、中小企業診断士を志す皆様は知っている方は多いのではないかと思います。
60時間を超える時間外労働をさせた場合は中小企業にも5割以上で計算した割増賃金の支払いが適用されます。
午前0時から午前5時までは深夜割増は押さえておきましょう。
令和5年度
「企業経営理論」問24から問27までが労働関連法規の問題です。
令和5年度の問題は解きやすい問題が多い印象です。
問24 ウ
アイエに関しては「そんなわけないよね」という直感で正解に辿り着けたのではないでしょうか。
問25 イ
使用従属関係が認められる場合は労働者に該当することがわかれば正解に辿り着けます。
今回は株式会社の代表者ですが、株式会社の役員は労働者としての色合いが強いと労働者になります。
問26 ア
労働から解放されていなければ労働時間になります。
イエは労働から解放されていません。
ウは自由参加で強制されていないのでNOT労働時間。
消去法でアが選べるとGoodです
問27 ア
これまでの社会経験で解けた方が多いのではないでしょうか。
エが現実だったらどれだけ幸せか・・
令和4年度
「企業経営理論」問23から問26が労働関連法規です。
問23 イ
労働時間が8時間超えで1時間の休憩を与えることが正解ですが、選びにくかったかもしれません。
アの「労働者側からの労働契約の解除」は労働基準法では規定がありません。
民法の規定で14日前までに労働契約の解除を申し出ることで解除することができます。
ただし、期間を定めた労働契約を締結している者は1年を経過した日以降に労働契約の解除を申し出ることが可能。「60歳以上で労働契約を締結した者」「専門的な知識を有している者」「一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約を締結する者」は自ら労働契約の解除を申し出ることができないので注意です。
問24 ア
就業規則に関する問題
退職・解雇に関する事由は重大事項なので絶対的必要事項です。(退職金は定めがある場合のみ記載でOK)
令和6年の問27と同様に就業規則の変更・届出は同意が不要。
問25 イ
激ムズだと思います。
労災保険法まではカバーしていない受験生が多いと思うので、正解できなくてもOKじゃない?という印象です。
問26 ウ
労働組合法に関する問題
素直に考えるとウを選びやすい印象です。
労働組合と弁護士が一緒に記者会見を開いているニュースを見たことがあると思いますが、あれです。
アは労働組合にメリットがあるので不当労働行為にはなりません。
イは署名又は記名押印が必要です。
エは交渉中は労働時間として賃金を支払われることは許されます。
前半は正しいです。
労働関連法規が不安な方へ
実際に解いてみて、難しい問題が多かった印象。
経営を勉強したい人にとっては、捨て問になるのも納得できました。
その中でも「常識的に考えてありえない」「普段働いていて体験したことがある」「試験ではあるあるの強い言葉(常に、必ず、いかなる時も等)」の記述がある設問は疑って正解する確率を上げることが大切です。
試験では、労働基準法の問題が多く出題されています。
本試験でも出題の多い、総則(1条から12条)、就業規則、解雇・退職、賃金に重点を置くと得点効率は高いと考えました。
変形時間労働制、年次有給休暇、36協定は社労士試験でも難解な範囲ですので避けたほうが無難だと考えます。
どこまでも難しくできる範囲です・・
日本経済を支える中小企業診断士
日本の企業のうち99%が中小企業です。
日本を支える中小企業、それを支える中小企業診断士は日本の経済を支えている存在と言っても過言ではないと思います。
わたしも社会保険労務士として活動した際には、中小企業診断士の方から様々なことを学びたいと思います。