30年戦争当時のヨーロッパ国境を見たらカオスすぎた
こんにちは。漫画「イサック」を読みました。
30年戦争という日本ではマニアックな戦争を舞台にした歴史漫画です。調べてみたら30年戦争時のヨーロッパ地図がカオスだったので簡単にまとめてみました。興味ある方は読んで頂けると嬉しいです。
まずヨーロッパ全体の国境から(1620年時点)
30年戦争前、スペインが世界の覇権を握っていました。16世紀はスペインの最盛期でアメリカ大陸、アフリカに領地を持ち、上の地図の通り南イタリア、サルディーニャ、オランダを治めていました。
このときのスペインはスペイン・ハプスブルク朝に支配されてました。ハプスブルク家は神聖ローマ帝国の皇帝でもあったので、この一族が欧州世界の大部分を握っていた時代があったということですね。
その後、オランダについてはプロテスタント信仰が広まったことで反乱が発生し、スペインから「ネーデルラント連邦共和国」として独立してます。
イタリアは統一されておらず、イギリスもまだイングランド、スコットランド、アイルランドのままです。一方でフランス、デンマークは我々の知っている国境に近く、近代国家ができつつある過程であることが分かりますね。
それで、すごいのは次、神聖ローマ帝国領の詳細です。
戦国時代もびっくりな神聖ローマ帝国諸侯領
いや、カオスすぎじゃないっすか。。。(出典: 英語版 Wikipedia)
日本の戦国時代と比べてもすごい。細かすぎて拡大するためボヘミア(右)とスペイン領オランダ(左上)はやむなく切り取りました。最大時はドイツ諸侯の数は300近くになったそうです。
これだけ無数の諸侯がカトリックとプロテスタントに自由に別れたらそりゃあ戦争続きになりますね。
30年戦争によってドイツの人口の20%が減少し、あらゆる場所を荒廃させたのも納得です。
漫画「イサック」に登場する地名を簡単に解説すると、
イサックが最初に訪れたのはプファルツ選帝侯の弟、ハインリッヒの所有する城、フックスブルグ城です。プファルツ選帝侯は黒枠太線の領地です。
フックスブルグ城は実在しませんが、物語上の場所は西側領地の現在のフランクフルト近くだと思われます。
プファルツ領南東側の緑色がバイエルン。「カトリック・リーガの盟主」として第5巻以降でイサックらが戦いましたね。
現在でも州名として残っており、サッカーで有名ですね。
また、名前だけですがブランデンブルクもヴァレンシュタインの進軍先ということで名前だけ登場しました。
史実ではブランデンブルク選帝侯は30年戦争後にプロイセン王国を作り、これが統一ドイツへ成長していきます。ブランデンブルクという名前はあまり聞き慣れないですが、そう考えるとロマンを感じます。
中世ー近世の無数の領地・諸侯が統一されていき、現代の国家を作っていく過程が個人的に好きなんですよね。百年戦争のフランスのまとまっていく感じも好きです。
次はイサックを切り口にして特定のドイツ諸侯の深堀りを書いてみようかなと思ってます。では。
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