
中日ドラゴンズプロスペクトランキング~2025春編~
対象選手
対象となる選手は以下の項目を満たす選手です。
・2025年度中で25歳以下
・投手は一軍通算100イニング未満かつ50試合登板未満
・野手は一軍通算300打席未満
ドラゴンズに関してキューバとの関わりが強く外国人枠の対象となる若手選手も多いため、「外国人枠の対象となる選手を除く」の項目は除外しています。
選定基準
前回のnoteではこちらを設定していませんでしたが、今回から「WARをどれだけ伸ばせるか」という基準を定めています。これは投手で言えば先発投手>中継ぎ投手、野手で言えばセンターラインの選手>コーナーの選手という評価になります。基本的には一軍・二軍での成績をベースにしつつ、身長・体重のみならず肩の強さ・足の速さなどのフィジカル面も加味してランキングしていきます。
↓昨年のnoteはこちら
1位 金丸 夢斗

金丸夢斗(かねまるゆめと) KANEMARU YUMETO:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
堂々の1位に輝いたのは金丸投手、4球団競合した大卒ルーキーがドラゴンズのトッププロスペクトの座に就きました。
近年では屈指の完成度を誇る左腕であり、武内(現ライオンズ)・常廣(現カープ)・西舘(現ジャイアンツ)・下村(現タイガース)・細野(現ファイターズ)といった大学生投手が大豊作だった2023年の時点でも1位級という評価を受けていました。
2024年は春先からトップチームに選出され、欧州選抜との2試合目に先発すると、2回を投げ4奪三振パーフェクトに抑える快投を披露しました。
その後の春季リーグでも無双っぷりは健在であり、6試合を投げ2完投1完封39回13安打3四死球52奪三振、防御率0.00というまさに敵なし状態でした。終盤に腰を痛め惜しくも大学日本代表候補合宿は辞退する形となり、秋季リーグもリリーフ専念という形にはなったものの、2023年秋から続く連続自責点0の記録を72イニングに伸ばし有終の美を飾りました。ドラフトでもその評価は変わらず、セリーグ4球団競合の末ドラゴンズが交渉権を獲得しました。
ワインドアップから肩周りの関節の柔らかさを活かした大きなテークバックでボールを投げ込みます。最速は154km/hとなっていますが、そこまでトップスピードが速い印象はなく、むしろ平均球速を安定して1試合で速く出せるのが強みとなっています。またその威力も十分であり一直線にミットへ向かい次々とバットは空を切り、当たっても砕け散るシーンがよく見られました。
4年生での1年間のK-BB%は34.2%という数値が示すように制球力が高く、コントロール(=ゾーン内に投げ込む能力)とコマンド(=キャッチャーが構えたところに投げ込む能力)を左右どちらの打者も苦手にすることなく両立しています。並みのいい投手ならば「失投が真ん中に行かない」というところを、金丸投手は「そもそも失投をしない」という高次元の領域にいることが分かります。
変化球はスライダー・カーブ・チェンジアップ・スプリットを投げ分けます。どの球種もカウント球・決め球両方として使える高いレベルにあり、井端監督からも高い評価を受けています。
中日・金丸夢斗よWBC侍を目指せ 井端監督、プロ1年目に日本代表級の活躍期待「全てが勝負球になるという投手」「期待しています」:中日スポーツ・東京中日スポーツ
ここまで単純な投手としての能力を紹介してきましたが、それに限らず適応能力も高いのが金丸投手の強みです。金丸投手は1年秋にデビューすると2年春から主戦投手として活躍していましたが、3年春のリーグ戦途中にも膝の故障があり離脱を経験しています。この故障をきっかけにフォームや練習方法を見直し、ストローを使い呼吸法を意識したトレーニングを始めました。そして迎えた3年秋のリーグではよりパワーアップした姿を見せ、「復活」ではなく「進化」を印象づけ、優勝に貢献しました。このような適応能力も含めての世代No.1評価と言えるでしょう。
ここまで読んでいただいて分かるように、金丸投手は新人王最有力候補であり、能力は間違いないでしょう。唯一の懸念材料となるのが4年で痛めた腰の状態です。引退後もトレーニングは慎重に行っているようですが、無理は禁物。「一軍で通用するかどうか」ではなく「健康に稼働できるか」、ここはドラゴンズ首脳陣の手腕にかかっています。
様々なメディアでのインタビューを見ても身体の仕組みに対する理解度はかなりのものであり、プロでもより高いレベルで進化を続けていくことを考えると、早い段階での戦力化のみならず、将来的にはMLBも見据えられる投手なのではないかと思います。
↓金丸が大学生活のベストピッチングだったと言う3年秋立命館戦のアーカイブ
2位 仲地 礼亜

仲地礼亜(なかちれいあ) NAKACHI REIA:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
2位は仲地投手です。2年目となる昨季は開幕二軍スタートとなり順調に二軍で成績を残し5/26のスワローズ戦で先発するもわずか1回を投げたのみで負傷交代となり、その試合が最後の一軍登板となってしまいました。
二軍での指標は2023年から2024年にかけてどれも良化しており、登板数及び投球回がほぼ変わらないのに対してK-BB%は12.9%→18.7%、tRAは4.41→2.23となっており、2024年に至ってはファーム全体で見てもトップクラスに優秀な数値となっています。
この要因は1年目から中心となっていたスライダー・ツーシームの2種類に加えてチェンジアップや2023年オフの取り組んだというカーブが大幅に良化したという球種の改良にあります。仲地投手のカーブは打者の目線を大きく外れ」、縦に割れるいわゆるドロップカーブのような軌道を描きます。スライダー・ツーシームというピッチトンネルを意識した2球種に目線を変えるこのボールが追加されたのはかなり大きかったようです。
仲地投手に関して投げているボールの質であったり、それをしっかり打者に投じていくことに関しては若手投手でもトップクラスですが、反面耐久性という観点からは課題が伺えます。
1年目のデビュー戦では左脇腹を痛め1回で降板し、2年目となる昨季は一軍初登板となった試合で右の内転筋を痛めまたしても1回で降板となりました。シーズン中に復帰しましたが、8月にまた同じ部位を痛めています。
1年を戦う上で怪我をしやすい選手は非常に計算しづらく、特に右の内転筋については1年で同じ箇所を痛めていると癖になる可能性があるので対処は必須です。仲地投手は体格も特別大きいようには見えず、ボールの強さに身体がついてこないという理由が考えられるため怪我をしない身体づくりが求められます。
しかし、一軍で勝負していきたい立場ということを考えると一軍で投げることと同時並行でこれを行わなければなりません。場合によっては起用法に制限をかけていくということも考えられます。エースクラスのポテンシャルはあるだけに今年は一軍でのまとまった結果が欲しいところです。
3位 石橋 康太

石橋康太(いしばしこうた) ISHIBASHI KOTA:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
全体3位、野手でNo.1となるのが石橋選手です。
2023年は自己最多の39試合に出場、プロ初本塁打も放ちオフにはアジアプロ野球チャンピオンシップのメンバーにも選ばれ充実のシーズンを送ったように見えました。しかし昨2024年は思うように首脳陣の信頼を得られず、一軍出場試合数はキャリアワーストタイの11試合となりました。
打者としての特徴は引っ張り方向に打球が伸びるプルヒッターであり、打撃に関しては二軍ではもはややることはない状態であり二軍OPS.は798、wRC+は147を記録しています。
一方で守備力、特にスローイング面で課題を抱えており、一軍では被盗塁企画数12に対して12盗塁を許し、盗塁阻止率は.000となっています。打力があるのは魅力ですが、ここまで刺せないとやはり捕手としてやっていくことは厳しいという見方もあるでしょう。
捕手のプロスペクトである以前に打者のプロスペクトであるため、優先して一軍で投資をしていきたい存在なのは変わらず、本来このランキング対象にいるのが可笑しい選手ではあります。他の捕手の成長次第ではありますが、この打力を活かさない手はなくカープの坂倉将吾選手のようにファーストやサード・外野手のオプションをつけていく、もしくはホークスの栗原選手のように完全にコンバートして戦力化するという手もあるでしょう。
幸い井上新監督の構想では今季サードのレギュラーだった福永選手をセカンドに、ファーストのレギュラーだった石川昂弥選手をサードで起用する構想があります。そうなるとファーストのポジションに空きが出るため中田選手であったり外国人選手と争う形にはなりますが出場機会は増えるでしょう。
キャッチャーでの起用を前提としているためこの順位としておりコンバートとなると順位は落ちることになりますが、怪我も多い選手ではあるため負担の多い捕手としての起用を減らすということも踏まえるとプラスに考えることが出来ます。
打者のスケールとしては将来的に主軸を張れるレベルのある選手はあるだけに、1年ファームで見てきた井上監督が一軍の監督に就任+同世代の石伊選手も入団したということで、起用法も含めて今年は注目の年になりそうです。
4位 福田 幸之介
福田幸之介(ふくだこうのすけ) FUKUDA KONOSUKE:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
2位には福田投手、昨年の高卒ルーキーがランクインしました。
ルーキーイヤーの昨年は6/12にファーム初登板を果たすと7/7には初先発を経験しその後も順調に経験を積んできました。
【中日2軍】ドラフト4位ルーキー・福田幸之介が無失点デビュー!1イニングを投げ2奪三振、1四球:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
ドラゴンズのルーキーとしては大きな故障もなく1年二軍を完走しただけで順調と言えるのですが、それだけではないのがプロスペクトたる所以、なんと37 1/3回を投げてK%は17.6%(規定投球回到達者で近い値だと菅野智之が18.3%、山﨑伊織が16.6%)を記録しており、その奪三振能力の高さを証明しています。体格は標準ですが、高卒1年目ということを考えてもまだまだ肉体強化及びそれに伴う球速アップは見込めると見てよいでしょう。
投球の7割を占めるフォーシームは球速、球質共に申し分なく、平均球速は144.7km/h、Whiffも22.4%という優秀な値を残しています。多少甘くなっても打ち取れる力があり、強みに出来るフォーシームといってよいでしょう。高めのストレートで空振りを奪うのは見ていて爽快感すら感じます。変化球はスライダー・カーブ・チェンジアップ・フォークがありますが、投球の中心となっているのはスライダーとチェンジアップの2つです。特にチェンジアップはストレートとの緩急も相まって強力な武器となっています。
ここまで挙げたフォーシームと変化球の組み合わせにより奪三振能力は高く優秀なK%を記録しています。一方、課題としては制球面が挙げられBB%は15.2%となっています。枠を大きく外れるボールが散見されるだけでなく、1球もストライクを取れず四球を出したり1イニングに複数、連続で四球を記録する場面もしばしば見られるのでここはフォームの見直しをするなどかなり改善の必要があります。
しかし高卒1年目ということを踏まえボールの強さという観点から見るとずば抜けており、オフシーズンの取り組み及び春季キャンプ次第では2年目の髙橋宏斗投手のように開幕から多少の制限をかけつつ一軍で投げることも考えられます。ここ数年でもドラゴンズの左腕でも群を抜くスケールがあり、順調に育てば左のエースとなりうる逸材であるため大切に育てていきたいところです。
5位 松木平 優太
松木平優太(まつきひらゆうた) MATSUKIHIRA YUTA:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
3位は松木平投手です。昨季は開幕から二軍のローテーションを守り続け、支配下70人の最後の1人として支配下登録されると、7/10のベイスターズ戦でプロ初先発、本拠地で迎えた7/31のスワローズ戦ではプロ初勝利を果たしました。
4年目となった昨2024年は2023年と比較してファームで全ての数字を改善させ投球回は81回→107 回2/3、K%は9.6%→16.8%、BB%は11.6%→5.7%と推移しています。特に制球力が優れており、一軍でのBB%も7.8%となっています。
ストレートの最速は151キロとそこまで速くありませんが、アベレージが安定しており平均で143.7キロとなっています。球種としてはストレートの割合は5割を切っており、変化球はカットボール・カーブ・チェンジアップの3球種があり、特にカットボールとチェンジアップは優秀で投球の生命線となっています。
身長は178cmと小さい部類であり、体格自体が入団当初は細身だったものの、かなりがっちりしてきています。二軍平均球速についても1年目の138.4キロから4年目には143.5キロと大きく伸ばしてきており、肉体強化による大きな出力アップはこれ以上見込めない可能性があります。従って投球のクオリティを上げるには変化球のレベルアップないし配球面の工夫などが考えられます。
"アマ時代のしなやかな投球フォームを買われてそれを失うことなくビルドアップ&持ち球のクオリティアップに成功したことで年々成績を向上させた"というドラゴンズでは稀有な例であり、今後の成長も含めた育成メソッドが他の投手育成に役立つ、ということが考えられます。将来的に先発ローテーションに入れるだけの能力は持っており、もう一皮剥けられるかに注目の投手です。
6位 クリスチャン・ロドリゲス

クリスチャン・ロドリゲス(クリスチャンロドリゲス) CHRISTIAN RODRIGUEZ:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
6位はロドリゲス選手です。選考基準で勘のいい方は気づいたと思いますが、このランキングでは初となる外国人登録の選手がランクインとなりました。
1年目となる昨季は育成選手からのドラゴンズのキャリアをスタートさせたものの、高い身体能力や守備力を買われプレシーズンに異例の支配下登録されるとヤクルトスワローズとの開幕戦に8番・ショートでスタメン出場、その後も一軍では23試合に出場しました。
打撃に関して一軍では苦戦してはいるものの、能力の高さが垣間見える打席がいくらかありました。二軍ではBB%が8.4%、K%は18.1%とアプローチは特に破綻していません。が、パワー不足なのが気になるところ。実際にIsoは.046で、長打もさほど多くないためwRC+は99と並レベルとなっています。
守備面に関して、捕球・送球は比較的安定しています。特に送球は地肩の強さもあり難しい体勢でも矢のような送球を見せます。しかし致命的に打球判断やステップが悪く、他の選手ならば追いつけた、アウトに出来たような打球でアウトが取れない場面が散見されました。これだけでも守備が重視される二遊間のポジションでは厳しいことに加え、現状ではベイスターズの森敬斗選手のような「彼にしかアウトに出来ないようなプレー」も特にないのがより使いづらさを強調してしまっています。
体格に関して身長184cmとショートとしては大型の部類に入りますが、昨年は目に見えてハッキリ分かるくらいに細く、先述したようにパワー不足が目立っていました。しかしオフには10kgの増量に成功し現在は91kgとなっています。
ここまで挙げたように攻守共に課題は山積みの選手ですが、なぜこのランキングにノミネートされたかというとその理由は日本人選手にはない体格・身体能力面でのポテンシャルです。春季キャンプでは外の難しいボールに体勢を崩されながらも左中間を割るという当たりがあったり、前述の通り難しい体勢や少ないステップでも強いボールを投げることが出来るといったように見ているだけでワクワクするようなプレーを可能としており、技術がついたきた時の妄想は膨らむばかりです。
ショートとしてはとてつもないスケールを感じさせますが、現状粗さが目立つためレギュラーには程遠く、このまま守備負担の大きいショート一本で行くとスケールが小さくなることは想定出来ます。外国人の枠を使うという観点からしても、スケールの大きさは失わず育てていきたい選手です。
ドラゴンズでもコーチを務めたことのある荒木雅博氏はセカンドは肩が強い選手を守られたいという持論があり、ロドリゲス選手もショートよりセカンドの方が向いている可能性もあります。ショートにこだわることなくセカンド・サードだけでなく外野も視野に適正ポジションは模索していきたいところでしょう。前述のビルドアップにより打撃が伸びてくればコーナー+外野を主戦場とするユーティリティという未来も描けます。いずれにせよこれほどのスケールを持った選手はなかなかおらず、ドラゴンズの育成力が問われる、長い目で成長を見守りたい選手です。
7位 根尾 昂
根尾昂(ねおあきら) NEO AKIRA:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
7位は根尾投手です。
昨季は二軍スタートとなり主に先発として二軍で経験を積んでいました。シーズン途中にリリーフとして昇格したものの直ぐに二軍へ降格、再度昇格し先発したものの奮わず一軍での登板はわずか3登板にとどまりました。
投手転向3年目となる昨季は16試合中14試合で先発するなど、本格的に先発投手として育成していこうという首脳陣の意図が見え先発投手としてのイニングを増やしてきました。特徴的なのは奪三振能力で、K%は21.8%を記録しています。コントロールも破綻しておらず順調に伸びてきていると言えるでしょう。
投球内容はスライダー・フォークを軸としていたところに昨年からカーブを増やしました。根尾投手の成績向上の裏には仲地投手同様の効果があったかもしれません。
根尾投手の課題は再現性であり、先発するとイニング以上の四球を出して早々に降板するという内容が少なくありませんでした。
将来的にローテーションに入れるだけの能力はありそうですが、キャリア的にも正念場であり、首脳陣としてもなんとかして戦力化させたいという気持ちはあるでしょう。しかし曲がりの大きい変化球が中心となる構成や奪三振能力は高いこと、短いイニングを全力で抑える中継ぎとしてなら一定の戦力になる可能性はあり、今年は中継ぎで一軍戦力を目指していくことも考えられます。
8位 辻本 倫太郎

辻本倫太郎(つじもとりんたろう) TSUJIMOTO RINTARO:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
8位は辻本選手です。ルーキーイヤーの昨年は早くから一軍での出場があったものの、シーズンのほとんどを二軍で過ごしました。しかし終盤にはプロ初ヒットも記録しました。
打撃に関して課題は多くアプローチは粗く、パワーも強みに出来るほどのものはないというのが現状であり、BB%が7.3%、K%が20.6%、Isoは.032となっています。全体的に数値で見るとそこまでですが、ストレートには強く初ヒットもカープの島内投手の151キロを弾き返してヒットにするという内容でした。
守備面では足さばきをウリにした広い守備範囲が持ち味であり、ショートを本職としアマ時代は当時のNo.1ショートの評価を受けていました。二軍での最多イニングはセカンドとなっていますが、そこでも前評判通りの守備範囲は活きておりどちらもUZRはプラスを記録しています。また、大学時代にはサードも守った経験があります。範囲はチームでもトップクラスですが若干送球面に不安があるため、ここは改善していきたいところです。
身長168cm体重73kgと球界全体で見てもかなり小柄ではありますが、そんな体格を感じさせないエネルギッシュなプレーを披露します。オフにはトレーナーのもとで身体の構造について理解し、それに合ったトレーニングと筋肉量の増加をしており、攻守共にレベルアップしたパフォーマンスが期待出来そうです。
現在ドラゴンズの二遊間には2000年~2002年生まれに選手が固まっています。特に右投右打かつ小柄な体格の割に秘めるパンチ力や足さばきの良い守備と田中幹也に被るポイントが多いように感じます。走塁・盗塁面では田中に分があり、田中選手の持病等を含めた体力面では辻本選手に分があるため、そこで差別化を図れそうです。
チーム事情を考えても最低でも二遊間のバックアップ要員になれることが想定出来るだけでなく、攻守に確実性を高めればレギュラーも狙っていけるだけのポテンシャルはあるでしょう。
9位 尾田 剛樹

尾田剛樹(おだごうき) ODA GOUKI:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
9位には尾田選手がランクインしました。
昨年はオープン戦から主に代走としてアピールを続けると開幕前に支配下登録を勝ち取り、主に控えから代走を中心に65試合に出場しました。
打撃に関して一軍ではまだヒットがないものの、二軍では卓越した技術で優秀な成績を残しています。アプローチ、とりわけコンタクトに関しては天性のものがありサンプルは少ないですがBB%がK%が8.6%、Contact%が83.3%となっています。
また、アジアウインターリーグでも56打席43打数13安打8三振13四球という結果を残しています。
守備面では脚力とそれを活かした守備範囲を武器としており、肩はプロで武器に出来るレベルではありませんがセンターを問題なくこなせるレベルにあるでしょう。
今後の課題は基本的に攻撃面のものばかりで、打撃に関してはどこまで長打を伸ばしていけるかという点でしょう。足で先の塁を狙える選手なだけに、外野の頭を超えていくような打球を増やして行きたいとこです。
そして打撃よりも課題が目につくのが走塁面、特にランナーとして出ている場面でのものです。盗塁ではスタートが悪く刺されることが多く、代走で出場してもそもそも走れないというシーンも少なくありませんでした。牽制死も多く、とても一軍で足を武器に出来るレベルにあるとは言えません。
打力・守備力に関しては光るものを見せているだけに、全体的なスケールアップをして一軍のレギュラーを狙いたいところです。
10位 石伊 雄太

石伊雄太(いしいゆうた) ISHII YUTA:選手名鑑 - 中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイト
10位、最後に登場するのはこちらもルーキーの石伊選手です。
石伊選手は近大工学部時代の2022年に指名漏れを経験し、2023年に日本生命に入社すると1年目から正捕手として定着し試合に出場しました。2024年もマスクを被り都市対抗予選では近畿地区の第一代表獲得に貢献するなどし、社会人の捕手では柘植選手以来5年ぶり、大卒社会人に限ればジャイアンツの岸田・大城選手などが指名された2017年以来7年ぶりとなるドラフト指名を受けドラゴンズに入団しました。
石伊選手の特徴は守備力、なんといってもスローイングにあります。もともと大学時代から定評があり、イニング間から力みなく力強いボールを投げ込みます。肩の強さ・送球精度は昨年のアマチュア球界ではトップクラスだったと言って良いでしょう。
大学時代に課題とされていた打撃も社会人に入り同チームのOBでありドラゴンズのOBである福留孝介氏の指導もあって克服、日本選手権やJABA大会でホームランを放ち、都市対抗予選では決勝打を放つ活躍を見せました。
石伊選手に関しては昨年固定しきれなかった捕手陣の中でも即戦力としての期待がかかっており一軍キャンプスタートが決まっています。まずはキャンプで守備力をアピールし開幕一軍入りを狙いたいところです。将来的には正捕手を担う存在になっていけるでしょう。
最後に
プロスペクトランキングと称し10位までランク付けを行いましたが、個人的には他のチームにいてもプロスペクトと呼べる存在はそう多くないように感じます。特に投手は顕著であり、バンテリンドームでなくとも力で打者を抑え込める髙橋宏斗投手や松山投手のような存在は決して多くありません。
そしても野手、とりわけ"打者"のプロスペクトも石川昂弥選手が一軍に定着、鵜飼選手やブライト選手がこのランキングの対象外となったこともあり枯渇してきている感は否めません。
更には先日バンテリンドームに待望のテラスがつくかもしれないというニュースがありました。テラスがついた場合は投手はより力で抑えることが求められるようになります。個人的にはルーキーだと投手は高橋幸佑投手と井上剣也投手、森駿太選手が楽しみな存在だと思いますが、期待の若手は何人いてもいいと思います。特に野手はドラフトで、しかも上位を割かないと主力になることが少ないため、投手・野手共にスケールを重視した2024年のようなスカウティングを続けていけるのが理想だと思います。
今年のドラゴンズは過去3年に比べて大きく変わることが予想され、セリーグの台風の目となる可能性は十分にありますので、ここで挙げた選手に限らず多くの選手が活躍することを祈ってnoteを締めさせていただきます。読んでいただきありがとうございました。