佐々木朗希・奥川恭伸の初登板と比較して振り返る髙橋宏斗の初登板
来たる2022年3月30日、全中日ファンが待っていたと言っても過言ではないその日、2020年のドラフト1位髙橋宏斗選手がプロ初先発のマウンドに立ちました。
結果としては5回4失点、被安打5、2奪三振、4四死球という形で打線はDeNA先発石田を捉えきれず、中継ぎを攻め立てるものの追いつくことは出来ず、敗戦投手という結果になりました。
今回はそんな髙橋宏斗の初登板を、同じ高卒2年目に大ブレイクを果たし、既に球界を代表する投手へと成長しつつある2019年のドラフト1位、ヤクルト奥川恭伸選手、ロッテ佐々木朗希選手の2人の右投手の初先発と比較していこうと思います。(※奥川に関しては11月の野外球場であること、あくまで初先発1試合を比較したものであるためサンプルサイズが小さいことも承知おきください。)
今回は悟さん(@bb_satoru)にデータをお借りしました。ありがとうございます。
1.球種の比較
まずはこちらが3人の初先発した際の球種別投球割合のデータになります。
3人に共通していることは
①ストレートが5~6割を占める
②横の変化球(スライダー,カットボール)と縦の変化球(フォーク,スプリット)をおおよそ1:1の割合で投げている
という点です。そして②に加えて、髙橋はナックルカーブ、奥川はツーシームを投げています。
次の章からは球種別にデータを見ていきます。各データの説明は以下のようになっています。
・Whiff%
・Zone%
・Z-Swing%
・O-Swing%
・被打率
2.ストレートの比較
まずはストレートの比較になります。
平均、最高球速は佐々木とほとんど変わりません。年々NPB全体の球速が上がっているとは言え、先発で平均して150キロを投げられる投手は未だに希少価値が高いので、ここはやはり彼の強みが存分に発揮された部分でしょう。
しかし、Zone%やZ-Swing%を見て分かる通り、制球という面でやや見劣りしてしまいます。3人とも投球の5割以上をストレートが占めており、ストレートは投手の生命線である以上、ストレートのレベルアップは避けて通れない課題になります。
3.横の変化球の比較
次に横の変化球になります。他の2人とは違い、高橋はカットボールを投げます。球速は佐々木のスライダーと遜色ないレベルにあります。
ややZone%やZ-Swing%が低いのが気になります。制球、質共に改善していくべきでしょう。被打率は14球投げて.000なので、このカットボールを「空振りを取れる球」と「打ち取る球」の両方に出来ると投球が組み立てやすくなると思います。
4.縦の変化球の比較
次に縦の変化球になります。ここでも他の2人と違いスプリットを投げます。
空振りを取る能力は高めですが、被打率も.750と高めなのが気になります。決め球になる球であるため、精度の向上は避けられない課題でしょう。多く投げる変化球なので、この球をしっかり制球出来るかどうかでカットボール同様投球が大きく変わると思います。
5.ナックルカーブ
他の2人が投げないのがこのナックルカーブです。
今のところは「カウントを取る球」として使われています。持ち球の中で唯一の遅い変化球であるため、投球のバリエーションを増やすという意味では重要な球種になります。Zone%が低いため、精度の向上が求められます。
6.全体的なまとめ
最後にこちらが3投手の全球種分をまとめたものになります。
やはり気になるのがZone%です。他の2人はほぼ5割ゾーンに投げているのに対して、髙橋は4割という点です。このコントロールは四死球という形でも現れており、奥川が35球を投げ3回途中で四死球0、佐々木は107球を投げ5回で四死球2に対して、高橋は97球を投げ5回で四死球4と少々多めになっています。
中日が春キャンプに行ったストライクテストでは24/30で17人中2位(1位は岡野選手の25/30)という決してコントロールの悪い選手ではありません。このあたりの制球を実戦で出来るかどうかは今後のカギになるでしょう。
またZ-Swing%で見ると2人との差はより顕著で、他の2人はほぼ7割に対して高橋は5割となっています。O-Swing%はほとんど変わりませんから、ゾーン内で空振りを取れる球を今後の課題としていくべきでしょう。
最後に大まかにまとめると
・球速は申し分ない
・どの球種も制球・質の向上は必須
といった風になります。
もちろん高卒2年目で若い選手であるため多くのことを求めすぎかもしれません。ですが、開幕ローテを任されるほど期待の大きな選手であり、これからの中日を引っ張っていく選手になるはずです。なので、厳しくも温かい目で彼の成長を見守っていきましょう。
読んで頂きありがとうございました。
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