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化粧品のテクスチャーについて考える



化粧品、とくにスキンケア商品を選ぶ際は、自分の肌悩みに効果がって肌質に合うかどうかを一番に考えるでしょう。しかしそれだけでなくテクスチャーの好みも選ぶ際の大きなファクターです。


肌悩みに効果があっても、テクスチャーが悪いとリピートするか悩んでしまいます。また、化粧品売り場でテスターがあれば使用してみて、テクスチャーが良ければ購買意欲も一気に高まります。


今回は、化粧品でも一般的なスキンケアやヘアケア商品のテクスチャーについてお話しします。


そもそもテクスチャーとは?




化粧品のテクスチャーとは、「とろっとしている」「さらっとしている」「べたべたしている」「軽い」「伸びがいい」などの化粧品の「使いはじめの質感」のことです。「使用感」と同じように思えますが、一般的に「使用感」は「翌朝肌がもっちりする」など時間経過後の感想も含まれます。それに対してテクスチャーはもっと使用時の「物理的な性状」に近いものです。


よく勘違いされているのが「とろっとしている、べたべたしている方が保湿力や美容効果がありそう」ということです。残念ながらこれは間違いです。粘度やべたつきと、実際の保湿力とは無関係です。化粧品の処方を考えるにあたっては、テクスチャーを決める際に保湿成分や美容成分で調整するわけではありません。


もちろん、テクスチャーを決定した結果として「油分が多いので保湿効果がある」ということはあります。どちらにせよ、化粧品は毎日使うものですから、気に入ったテクスチャーの化粧品を使って楽しくスキンケアをしたいものです。


化粧品に配合される代表的な増粘剤


テクスチャーを決定する最も大切な成分は増粘剤です。ここでは代表的な増粘剤を紹介します。


水溶性増粘剤

化粧品で最もよく使用される増粘剤がこのタイプです。


  • カルボマー(カルボキシビニルポリマー)

  • グアーガム

  • キサンタンガム

  • ヒドロキシエチルセルロース

  • アルギン酸ナトリウム

  • 白キクラゲ多糖体


この中でもよく使われるのがカルボマーです。カルボマーは他の増粘剤に比べて低い配合率でも、高い粘度を出しジェルを作ることができます。粘度があるにもかかわらず化粧水のようにさらっとのび、塗布後もさっぱりしています。他の増粘剤に比べて塗布乾燥後の膜感が少ないので、様々な化粧品の増粘に使用されています。


ただし、カルボマーは増粘システムが特殊で、最初に水にカルボマーを膨潤させ(この時点では粘性はない)、その後水酸化ナトリウムや水酸化カリウムで中和することで粘性が出る仕組みとなっています。つまり、pHや塩濃度によって粘性がなくなってしまうというデメリットを持つことになります。


他の添加成分で粘性が落ちてジェルにならないことが多いこともデメリットです。しかし、「カルボマーのジェルが手の上でさらっと水のように伸びる」というのは、このデメリットを逆手に取ったものです。


グアーガム・キサンタンガム・白キクラゲ多糖体は天然高分子なので合成成分を配合したくない時にはおすすめです。


また、水溶性増粘剤で粘性を出すことは乳化系の安定化にも役に立ちます。スキンケアの乳化系はO/Wエマルジョンが大半ですが、この外相の水相に構造を持たせることで油滴の合一を防いで製品の安定化につなげることができます。


オイルゲル化剤

オイルゲル化剤の代表が糖脂肪酸エステル系の原料です。特にでんぷん由来のデキストリンとパルミチン酸のエステルである「パルミチン酸デキストリン」が最もよく使用されています。


脂肪酸と糖の種類によってオイルゲルの硬さや透明度が異なります。リップやオイルゲル、W/Oクリームなど目的によって使い分けることができます。


高分子乳化剤や粘土鉱物

  • (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
    構造は親水基(アクリル酸部分)と親油基(メタクリル酸アルキル部分)をもつので、界面活性剤にも分類できます。つまりO/W型高分子乳化剤であるといえます。油滴の周囲に水和ゲル相を形成することでHLBに関わらず様々な油を乳化することができます。

親水性増粘剤と乳化剤の両方の働きをします。


  • (アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー

陰イオン性のO/W型高分子乳化剤で、水和ゲル相を形成することでHLBに関わらずさまざまな油を乳化することができます。こちらも、親水性増粘剤と乳化剤の両方の働きをします。

(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー関しては他の成分と混合した原料が開発されており、その原料を化粧品に配合することが一般的です。


  • ベントナイト

ベントナイトは天然の粘土モンモリロナイトの主成分です。大量の水を吸収して膨らみゲルを形成するという特徴があります。そのため、増粘だけでなく乳化安定の効果も発揮します。


テクスチャーはこれで決まる



化粧品を使用するにあたってテクスチャーを決定する最初のファクターとなるのは、粘度つまり硬さです。容器から手に取った硬さ、指で押した瞬間にどの程度の力がかかるのか・・・これが1番目のファクターです。


その次に延ばすときに力をかけなくても延びていくのか、延ばすのに力がいるか・・・これが2番目のファクターで降伏値です。降伏値が小さい、つぶすための力がいらないものは「延びがいい」ということになります。


クリームが塗布された時、力が加わることでクリームの粘性が変化し、塗りやすくなるというのがチキソトロピーの効果です。このようなクリームは塗布時には比較的滑らかで、肌に広がりやすくなっています。一方、コロイド溶液などが、せん断応力が増加すると流動しにくくなることがあります.この流動をダイラタンシーといいます。例えばマッサージ時に肌の上で適度な抵抗力が欲しい時にはこのダイラタンシー効果を利用すると、好みのテクスチャーに近づきます。マッサージジェルに関しては、逆に抵抗力がなくツルツル滑るような感じが希望の事もあるでしょう。


もう一点考えなくてはいけないファクターがジェルやクリームを延ばした後の状態です。浸透具合や厚み、重さ、質感です。これは増粘剤だけでなく、さまざまな配合成分によって大きく変わってきます。


例えば糸引き感が欲しいのであれば増粘剤はグアーガム、プルっと感を出したいのであればマンナンにするなど、増粘剤は種類によってそれぞれ特徴があります。また、重さが欲しいのであればグリセリンを使用せずジグリセリンにする、早く浸透させたいのであれば浸透促進剤を配合するなど、的確な原料を選択しましょう。


さまざまなものを配合すれば、相乗効果もありますが逆に相殺してしまうこともあるのでそう簡単にはいかないことが多々あります。


気になる情報

上でオイルゲルに関して少しお話いたしましたが、オイルゲルは現在使用されている種類は豊富とは言えません。2022年になりますが、阪本薬品工業が高機能なオイル増粘ゲル化剤を提案しました。


これまでは一つの原料でゲル化と増粘の両方を機能させることは困難でした。坂本薬品工業は「柔軟な構造を持つポリグリセリンと結晶性のある脂肪酸を原料とする」ことで、ゲル化と増粘性の双方に優れる「SフェイスBED-102」を開発しました。


あらゆる形状のオイルゲルも一つの原料で可能となります。これまで商品化を諦めていた企画も進む可能性がでてきます。

参考:https://www.syogyo.jp/news/2022/06/post_033480

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