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【さぁ、読まにゃ。】私を柔らかくする言葉たち
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言葉の宝箱が、心の中にあるといい。
つまづいたときひらけば、また、一歩、踏み出せるような。
こころは、言葉のとおりみち。
同じものを見ていたら、同じものにしかなれない。
昨日の私と、今日の私は、一味(一冊)違う。
読書を通じて、自分の視野を広げていこう。
そして、自分だけの世界をつくろう。
そう、もっと柔らかくなれる。
強弱併せ持つ、柔らかな本を読むたび、そう思う。
いつだって、出会ったときが、私にとって最新刊。
夢を膨らませる時期。
力を蓄える時期。
人生を振り返る時期。
書物は、人生の様々な局面に応じて、知恵や、勇気や、癒しを、くれます。
何十年も前に書かれた小説。
遠い外国のノンフィクション。
一昔前のエッセイ。
大正期の詩集。
柔らかな書物は、私に寄り添い、箴言をさ囁き、背中を押してくれます。
昔、刊行された本でも、今月の新刊でも、出会った時が、一番のタイミング。
さあ、地図にない世界へ。
私には、知らないことがたくさんある。
こんな切なさとか。
こんな温かさとか。
こんな景色とか。
こんな感触とか。
そのひとつひとつに、ぎゅっとするから、ここらへんが心なんだって知る。
つぎは、どの本を読もうかな。
つぎのつぎは どの本を読むのかな。
そんなことを、思う日々に幸せを感じる。
私には、知らないことが、たくさんある。
そう思うだけで 世界は、ぐんと楽しくなり、面白くなってくる。
さあ、世界を変えよう。
私なんて、世界なんて、簡単に変わるのだから、本を読もう。
全ての風景が、優しい意味を持ち始めるから、本を読もう。
世界が変わって見えるから、本を読もう。
雨の日に、零れる鼻歌。
ひとりぼっちが誇らしい夜。
どこへだって行けるあの道。
自分にとって大切なものとなる本は、向こうからやってくる。
読むこと、書くこと、生きること。
心に、冒険を。
心にたくさんの経験をさせてあげよう。
心の筋肉を鍛えていたら優しくなれる。
その優しさは、きっと、世界を温かくする。
「いしいしんじの本」いしい しんじ(著)
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「小説に書かれた言葉、文章が、川面の照り返しのようなものとすれば、読書経験とは、川のなかへ身を投じ、言葉の底の豊かな流れを体感することにほかならない」(本文より)