【大晦日カウントダウン記事(8:30)】日本文学と音楽の融合が生み出した美の結晶である日本のオペラ
【参考記事①】
【参考文献】
【参考図書】
「市民オペラ」(集英社新書)石田麻子(著)
三島由紀夫さんは、実は、戯曲の名手としても知られていました。
彼の文体は、一見、難解で理屈っぽく感じられます。
しかしながら、慣れてくると、ついつい声に出して読んでしまう程、オペラのセリフのような心地いいリズムをもっている事に気付かされます。
まずは、あまり堅苦しく考えずに、そんな文章の魔術師が紡ぐ世界にハマってみても良いのかなって、そう思います。
「禁色 改版」三島由紀夫(著)(新潮文庫)
容姿コンプレックスゆえに美しいものへの愛憎をたぎらせる老作家は、旅先で出会ったとびきりの美青年・悠一を利用して、長年、彼を苦しめてきた美しい女たちへの復讐を思いつきます。
悠一をめぐって女(と男色家)たちが繰り広げるドロドロ劇。
徹底して美しさにこだわる三島の文体は、実は、昼ドラにぴったりなのかもしれません。
「命売ります」三島 由紀夫(著)(ちくま文庫)
本書は、著者本人が「エンターテイメント小説」と呼んでいた作品群の一冊です。
『金閣寺』などのいわゆる「告白小説」よりも、ドラマとしての筋書がわかりやすいので、食わず嫌いの方にもオススメ。
生きることに飽きた若者が新聞に出した広告「命売ります」。
生きることや生活について問う、ブラックユーモアが効いています。
「近代能楽集 改版」三島由紀夫(著)(新潮文庫)
能楽の脚本をもとに、各話の舞台を近代へと移してアレンジした異色の短編集です。
すべてが台本の形式。
つまり、登場人物のセリフだけで進行していくのですが、まるで、舞台を見ているかのような感覚に浸ることができます。
ロマンチックで、ちょっとグロテスク。
想像力を刺激する一冊です。
「三島由紀夫レター教室」三島由紀夫(著)(ちくま文庫)
年齢も育ちも違う5人の男女。
彼らのやりとりする手紙で構成された物語です。
それぞれのキャラクターが、ちょっと極端な人間の「型」としてデフォルメされているのがおもしろいと思います。
さらっと読めるライトな一冊ですが、心をつかむ手紙のヒントが満載です。
メールやLINEの文章にも、少しこだわりたくなるかもしれません。
「英霊の聲 オリジナル版」三島由紀夫(著)(河出文庫)
表題作は、まさに戯曲の天才が書いた小説と呼ぶのにふさわしい作品です。
短いけれど、重厚なオペラのような雰囲気をまとっています。
「英霊」として祀られ忘れられていく戦死者が、神主(ここではイタコのような役割)の口を借りて恨みの歌を朗々と唱え・・・。
戦後日本の現実に対する厳しい批判が込められた一冊です。
【参考記事②】
これ以外だと、1956年に発表された長編小説「金閣寺」は、日本文学を代表する傑作ですね。
「金閣寺」は、1950年7月に実際に起こった「金閣寺放火事件」を素材にして創作された、戦後文学の最高傑作とも称される作品です。
【TBSスパークル】1950年7月2日 金閣寺炎上(昭和25年) Kinkakuji burns down
戯曲化や映画化も果たし、今も、国内外で数多くの作家や研究者、クリエイターたちが言及し続けるなど、現代の私たちに「人間とは何か」「美とは何か」を問い続けている作品でもありますね(^^)
金閣寺 予告
【参考記事③】
さて、名門ベルリン・ドイツ・オペラからの委嘱によって完成された黛敏郎さんのオペラ「金閣寺」の初演は1976年。
黛敏郎さんの代表作としてのみならず、日本オペラ史上屈指の金字塔として今も語り継がれる名作ですね(^^)
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