【霞始靆随感禄】読書はネット社会への抵抗だ!
「人間が創り出したさまざまな道具のなかでも、最も驚異的なのは紛れもなく書物である。
それ以外の道具は身体の延長にすぎない。
たとえば望遠鏡や顕微鏡は目の延長でしかないし、電話は声の、鋤や剣は腕の延長でしかない。
しかしながら書物はそれらとは違う。
書物は記憶と想像力の延長なのである。」(アルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘス)
本を開くこと
心を開くこと
自分の目の届くところに
本があり
ちょっとした空き時間に
開いてみる
多くの本を
開く過程で
星の数ほど
見つけられるはず
その星々を
線でつなぎ
心の中に
星座を紡ぐことで
天体を
作っていく
何のために本を読むのか?
自分がそれまで何も知らない存在であったことを初めて知る
そこに意味がある
ある知識を得ること
そんな知識も持っていなかった私を新たに発見すること
知ることに対する敬意とリスペクト
新たな自分を再発見すること
自分を客観的に見つめ直すこと
読書や学問を通じて
自分を見つめるための複数の視線を得ること
独りよがりにならず
世界と向き合うための基盤を作ること
勉強や読書
自分では持ち得ない他の時間を持つということ
過去の多くの時間に出会うということ
過去の時間を所有する
それもまた
自分だけでは持ちえなかった
自分への視線を得ることでもある
そんな風にして
それぞれの個人は
世界と向き合うための
基盤を作ってゆく
私たち人間の思考や心の歴史をたどれば
本当に多くのことに悩み
苦しみながら新しい道を開いてきた
ネットやスマホによって注意力散漫になりがちな現代社会において
読書に没頭することが最大の抵抗であり
悪循環を抜け出す方法のひとつである
「それでも、読書をやめない理由」デヴィッド・L. ユーリン(著)井上里(訳)
「結局のところ、何かと注意が散漫になりがちなこの世界において、読書はひとつの抵抗の行為なのだ。
そして、わたしたちが物事に向き合わないことを何より望んでいるこの社会において、読書とは没頭することなのだ。
読書はもっとも深いレベルでわたしたちを結びつける。
それは早く終わらせるものではなく、時間をかけるものだ。
それこそが読書の美しさであり、難しさでもある。
なぜなら一瞬のうちに情報が手に入るこの文化の中で、読書をするには自分のペースで進むことが求められるからだ」