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【LAWドキュメント72時間】余韻からはじまるもの
余韻には、
「記憶」
と
「感情」
を、
「濾過する機能」
があるように感じる。
鐘などを鳴らしたときの音の消えたあとまで残るひびき。
事が終わったあとに残る風情。
詩文などで言外に感じさせる趣や情緒。
水滴のような感情の断片。
世の中の時間の流れが・・・
どんどん。
どんどんと。
早くなっていく昨今・・・
右へ左へ。
上から下へ。
内から外へ。
ありとあらゆる情報に・・・
時に流され。
時に溺れ。
今を見失う・・・
出来事が、次から次へと、流れていく中にあって・・・
余韻を感じられることは、とても幸せなことだと思う。
大切な人と向き合いながら。
ゆっくりと時間をかけ。
グラスを静かに合わせて・・・
カチャリ。
丁寧に作られた空間ごと。
一緒に食べる。
「余韻」
それは、過去・現在・未来という時の流れを見事に奪い。
時にモノクロに。
時に鮮やかに。
遥か遠くにあるはずの記憶を、連れてきてくれる。
水滴のような・・・
感情の断片に・・・
あっという間。
甘やかに・・・
ほんの少しの感傷を伴って・・・
降り出しはじめの雨粒のように。
ぼんやりと。
次第に、くっきりと。
その時。
どんな感情であっても。
「余韻」
というフィルターを通すと・・・
幸福の温度が・・・
ほんの少し。
上がる幸せな時。
寺井尚子「出会い」