絵本を開く。
ブックスタートってご存知ですか?
それは1992年にイギリスのバーミンガムで始まった政策ですが、乳児検診の時に赤ちゃんに絵本をプレゼントするのです。
この政策のコンセプトが極めてシンプルで、『赤ちゃんの体を育てるためにミルクが必要なように、赤ちゃんの心を育てるためには絵本を読み聞かせること、話しかけることが必要だ』とのこと。
図書館に赤ちゃんを連れて行くのはとっても勇気のいることなんですよね。
いつ泣き出すか、ハラハラしどおしです。
赤ちゃんは一日にいくつもの言葉を覚えて、やがては日本の未来を担ってもらわなければならない存在です。
図書館には赤ちゃんのための絵本や読み聞かせのコーナーでもあります。
それなのに「図書館は静かでなくてはならない」という既成概念にとらわれて、赤ちゃんを連れて行きづらいなっていうのはおかしい話。
イギリスでこういうことがあったそうです。
小学校に入ってきた子どもに教科書を渡すとそれが本であることを認識できない。
教科書をブーメランのように投げたり、かじったり、舐めたりする。
読むものであるという認識ができないのです。
こういう子どもを矯正するのは極めて困難なんだそうです。
そうならないためにはどうしたらいいかと考えて、行きついた政策が「ブックスタート」だった。
そうして数年後、驚くべきデータが報告されました。
ただ絵本をプレゼントするだけなのに、プレゼントされた子とされなかった子では、小学校に入る頃には明確に学力の差が表われるというのです。
それ以後、イギリスの90%以上の自治体に「ブックスタート」が広まり、現在も続いているといいます。
「ブックスタート」とは、初めて聞く言葉でしたがが、共感できる政策だと思います。
このことに関するブレア元首相の言葉が紹介されていたのですが、これもまた重い言葉でした。
『七歳の子どもの読書量が、二十年後のイギリスの存在価値を決める。』
日本も同じですね。
国語力を如何に高めるか。
日本語の記述、つまり、正しい日本語を使うことと国語力を身につけること。
私も、これら命題がどういうことなのか、どうしたら身につくのか頭の中で考えながら言葉を選んで書いています。
「16歳の教科書 ドラゴン桜公式副読本 なぜ学び、なにを学ぶのか」の中に、大切なのは、正しく伝えることであり、「美しさ」でないとい書いてありました。
「16歳の教科書 - なぜ学び、なにを学ぶのか ドラゴン桜公式副読本」7人の特別講義プロジェクト/モーニング編集部(編)
なるほど!
「美しい文章や感受性豊かな文章を書けることが、国語力の証のようになっている。ベタベタした、甘ったるい文章が「美文」と思われるようになっている。」
そう書き、情緒を切り捨てて事実と論理だけで文章を組み立てることが国語力を高めるポイントだと述べられていました。
当たり前といえば当たり前なことなのですが、目からうろこな内容でした。
私が文章を書くとき、無意識のうちに重視しているのは、むしろ五感をいかに言葉に変換して「美文」面であることを意識していたことに、気づいたのです。
文冒頭に相手をひきつける言葉をもってくるとか、テンポ・リズムよくするために七五調にするとか、読み上げて響きが良いとか、などなど・・・・・・
あとは情緒で感じて、とでもいうような書き方であったと思います。
それに若干の論理性を伴う文章を加味していることで、更に、内容が難しくなってしまっているのではないか?
つまり、論理的な正確な記述というものができていなかったということです。
例えば、「旅で出会った景色は思わず立ち尽くすほどすばらしいものだった」では聞いている人が、具体的にどういう景色か想像も出来ないんですよね。
相手にちゃんと伝えるためには、過不足なく伝える義務が、書き手側にあると思うんです。
正確な記述が出来ているか、という視点で見直すと、表現及び正確な記述力の無い人間が例え話をすると余計に混乱する事が有るので止めた方が良いということです。
本書では国語力トレーニング法として、絵を文章で表現することを勧めています。
これやってみると分かるけど、とっても難しい。
「大きく育った黄色いひまわりが咲いている。ぎらぎら輝く太陽に照らされている。青々とした葉には、くっきりと葉脈が浮かんでいる・・・・・・」
なんて読むのはラクだが、ここまで書くのも結構大変です^^;
しかし、確かに目の前の事象を正確に記述する文章を生み出さなければならないという点で、トレーニングになると思います。
というわけで、論理的に正確な記述を、まず徹底的に鍛え直す必要があると思っています。
日本の各地域でも導入を検討すべきです。
「地域の子どもは地域で育てる」とか、「教育は総がかりで・・・・・・」という掛け声は聞こえるが、一向に具体的行動にならないのが我が国の特徴的パターンです。
この「ブックスタート」は市民レベルでも実行できそうな内容ですよね。
地域の人々が毎月コーヒー一杯程度の寄付をしたならば、全ての赤ちゃんに絵本がプレゼントできると思います。
仕掛けてみたい活動ですね(^^)
絵本を読んでる時間は経つのが、ゆっくり、ゆっくり。
人も、ゆっくり、ゆっくり、育み育てていかないと、ね!
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