たったの一言だけど、大事なコトバ。
言葉はナイフよりも鋭いといいますよね。
肉体が負った傷は時とともに治るけれど、心に受けた傷は何十年も残ったりします。
そして、もうひとつ。
言葉は諸刃の剣なんですよ。
同じ言葉でも大きな効果が期待できるときもあれば、より深く相手を傷つけてしまう危険性もあります。
ここまで書くと、大ごとのような気がしますが、言葉による行き違いは日常茶飯事!!
特に上司と部下の間では毎日のように起こっているようです。
多いのが上司が励ますつもりで言ったことが、実は部下のストレスになっていること。
たとえば、先日読んでいた小説の中にこんなシーンがありましたよ。
難しい仕事を上司が部下にまかせる場面。
部下はできるかなと不安になっています。
そこで、上司Aはこう言います。
「大丈夫、大丈夫。できるって」
上司としては自信のない部下を元気づけたつもりです。
ところが部下の心のうちはどうだったでしょう。
「そんな、自分がやらないからって無責任な」と憤慨していました。
すると、もうひとりの上司Bはこう言います。
「でも、この仕事は難しいし、大変だよね。」
この言葉には部下は救われた気持ちになります。
どうしてでしょう?
上司Bの言葉に部下は、「ああ、この人はわかってくれている」と安心したんですね。
もしかしたら、上司Aは上司Bのことを「せっかく俺が自信をつけさせようとしているのに、よけいなことを言いやがって」と思っているかもしれません。
実際、上司Aは無責任に言ったつもりはないわけです。
しかし、それは伝わっていませんでした。
上司Bがしたことは「共感」です。
カウンセリングでは何度もこの「共感」が出てきます。
共感することで、おたがいの間には信頼関係ができてくるのです。
上司Aの言動では仕事自体を把握していないのでは?という不信感すら部下には出てくるでしょう。
この「大丈夫」という言葉はとてもクセモノ。
なんの根拠もないのに「大丈夫」をアナタも使っていませんか?
実は親と子どもの間にも多く見られる場面です。
暗い空間を怖がる子どもに「大丈夫、大丈夫」ですませていることもあるでしょう。
でもこれ、実は親への不信の第一歩という可能性もあります。
こんなときは、しっかりと話を聞いてあげましょう。
もしかしたら、暗い空間を怖がる深い理由があるのかもしれませんよ。
もしくは「そうだよねえ。ママも小さい頃は暗いところが怖かったよ」と共感してあげた方が、根拠のない「大丈夫」よりは愛情を感じてもらえるでしょう。
今度から「大丈夫」を使うときには少し立ち止まってみてはいかがですか?
タイミングを逃さないで、素直に伝えよう。