【LAWドキュメント72時間】ロマンティック・クラシック
情熱的なオペラのアリア。
おとぎ話のようなバレエの楽曲。
勝利、情熱、儚さ、片思い、悲劇、等々。
あらゆる形の愛は、アーティストにとってのミューズです。
作曲家たちの、まっすぐな想いから生まれた最高のロマンティックなクラシック音楽の名曲を紹介してみますね(^^♪
■マスネ:歌劇《タイス》より〈タイスの瞑想曲〉
〈タイスの瞑想曲〉は、もともとマスネのオペラ《タイス》の間奏曲です。
ヒロインのタイスが娼婦をやめ、改心して信仰の道に入ることを受け入れる重要な場面。
しかし、この音楽は、とても甘美で劇的なため、この曲単体で、コンサート用の作品として評価されるようになりました。
絹のようなヴァイオリンのソロは、穏やかなオーケストラの伴奏の上に強い存在感をもって浮かびあがってきます。
中間部は、より情熱的ですね。
苦悩さえ覚えるような、より暗く絶望的な類の愛を示し、オペラの最終幕で、恋人同士であるタイスと修道士アタナエルに降りかかる不幸を暗示しています。
マスネ:タイスの瞑想曲(フルートとハープ編)
■ラフマニノフ:交響曲第2番第3楽章
劇的で力強い交響曲の中にある、信じられないほど豊かで優しい楽章です。
ラフマニノフは、この楽章で、抑制しつつも、確かに、情熱を見せています。
叙情的で、のびやかなメロディは、あたたかい夢のように聴き手を包み込み、穏やかな躍動感が、音楽に永遠で至福の時を与えています。
目を閉じて、ロマンティック・クラシックの中でも、最高の作品の一つである、この曲で、とろけるような感覚を味わってみてはいかがでしょうか。
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番第1楽章
ラフマニノフ:交響曲第2番第2楽章
ラフマニノフ:交響曲第2番第4楽章
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番第2楽章ラルゴ
ロマン主義の代名詞であるベートーヴェンの作品は、美しく心に響く曲が多く、その多くは、バレンタインのプレイリストにぴったりです。
今回は、彼のピアノ協奏曲第3番から「ラルゴ」を選曲してみました。
甘さと懐かしさの間で揺れ動くピアノ・パートの優しい響きが、この曲を際立たせています。
間違いなく古き良き時代のロマンスですね。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番第1楽章
■プッチーニ :歌劇《ジャンニ・スキッキ》より〈私のお父さん〉
イタリア・オペラの巨匠プッチーニのオペラほど、ロマンスを語るものはないと思います。
当然、プッチーニは、星の数ほど恋人たちのための、美しく、情緒的な曲をたくさん書いているのですが、〈私のお父さん〉ほど切ない曲はありません。
クラシック・ロマンティック音楽の最高傑作の一つである、この深く感動的なアリアでは、愛に悩むソプラノが、愛する男性と結婚するために、父親に助けを求めます。
彼女の苦悩はリアルで、艶やかな弦楽器の音色と、アクロバティックな音型を歌うソプラノ、そして、ほろ苦いハーモニーが、あなたの目に涙を浮かべさせるかもしれません、ね。
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」私のお父さん
■ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》より〈愛の死〉
ドイツ・ロマン主義を体現したワーグナーの音楽は、ステロイドのような強い力を持った情熱の炎に包まれています。
彼の楽劇《トリスタンとイゾルデ》は、ロマン派音楽の最高傑作の一つなのですが、運命的で、通常ではあり得ない愛を主題とした、強烈で耽溺的なものです。
これらのテーマは、音楽の構造の中に、見事に昇華されており、未解決の和声進行、「無限旋律」と呼ばれる切れ目のない旋律、解き放たれたオーケストラの力が、果てしなく続く、憧れと、飽くなき欲望を生み出していきます。
4時間に及ぶオペラのフィナーレ〈愛の死〉は、至上の楽曲で、波のように感情が押し寄せてくるはずです。
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」愛の死(管弦楽版)
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」第3幕イゾルデの愛の死(F. サイによるヴァイオリンとピアノ編)
■ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ドビュッシーの膨大にある素晴らしい作品の中から、ピアノ独奏曲の逸品、《亜麻色の髪の乙女》を、紹介させて頂きます。
この曲の美しさは、そのシンプルな優雅さにあります。
メロディは、軽快かつ、繊細に上下します。
その幸せで転がるようなメロディが、和音の伴奏から発せられて、柔らかく輝くハーモニーに包まれています。
ドビュッシーが、この曲で達成した無重力と、自由な精神の解放感は、愛の感じ方に少し似ているような気がしませんか。
ビュッシー:前奏曲集 第1集 - VIII. 亜麻色の髪の乙女
■マーラー:交響曲第5番第4楽章アダージェット
この驚くべき交響曲は、マーラーの未来の妻となるアルマとの愛の物語と共に広く知られています。
実際に、この第4楽章は、マーラーからアルマへのラブレターだと言われることが多いんですよ。
贅沢で柔らかく、艶やかな「アダージェット」は、非常に静かな表現で、火花が散るような演出がなく、非常に、感傷的な弦楽器の響きと優しく奏でられるハープだけで奏でられるという点で、ほとんどマーラーらしさがありません。
最初の数小節から、この楽章が、マーラーの、他の作品とは違うことが、聴き手にはっきりと伝わってくるはずです。
マーラー:交響曲第5番第1楽章
マーラー:交響曲第5番第2楽章
マーラー:交響曲第5番第3楽章
マーラー:交響曲第5番第5楽章
■ペルト:鏡の中の鏡
繊細で、催眠術のようで、痛烈な楽曲ですね。
アルヴォ・ペルトによってミニマル・ミュージックのアプローチで書かれたこの有名な楽曲は、層を剥ぎ取り、ありのままの、儚い感情を残していきます。
独奏ヴァイオリン(いくつかの録音ではチェロで演奏されている)は、不安定な呼吸のように弓と弦を接触させるだけで、繰り返されるピアノの音型は、静止感と完全な満足感を作り出しています。
最後の一音まで、息を止めていたことに、気づかないほどです。
ペルト:鏡の中の鏡
■ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番第2楽章アダージョ・ソステヌート
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、ピアノのレパートリーの中でも、最も偉大な作品の一つであり、クラシックのロマン派音楽の最高傑作の一つでしたね。
深く、感情的で情熱的なラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が、映画界、生まれながらのロマンチスト、そして本気で人に感動を与えたいピアニストに選ばれるのには、理由があります。
このピアノ協奏曲は、セリア・ジョンソンとトレヴァー・ハワードが主演したデヴィッド・リーン監督の1945年のイギリス映画『逢びき』で効果的に使用されたので、
多くの人に親しまれているのだろうと、そう思います。
リーンは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を使用することで、主人公たちの本音をよりわかりやすく伝えようとしたのでしょうね。
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18 第1楽章
ラフマニノフ自作自演: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18 第2楽章(1929年録音)
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18 第3楽章
■チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》より〈金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ〉
チャイコフスキーの古典バレエ《くるみ割り人形》の音楽は、音楽によるロマンスの縮図ともいえるものです。
《くるみ割り人形》は、究極の愛のおとぎ話であり、この上なく美しい〈パ・ド・ドゥ〉は、金平糖の精と王子によって、踊っていましたね。
カスケード(連なった小さな滝)を思わせる有名なテーマは、最初にチェロ、魔法のようなハープのアルペジオによる伴奏によって提示され、ゆっくりと構築されていきます。
その様は、聴き手の心の弦を、強い力で引っ張っていきますね。
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」こんぺいとうと王子のグラン・パ・ド・ドゥよりアダージョ(第2幕)
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」こんぺいとうと王子のグラン・パ・ド・ドゥよりコーダ(第2幕)
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」Op.71 - III. こんぺいとうの踊り