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【LAWドキュメント72時間】ドキュメント精神鑑定

精神鑑定とは、裁判所や検察官などの依頼により、精神科医などの専門家が被鑑定者の精神状態や責任能力などを判断する検査や診察です。

刑事責任能力鑑定とも呼ばれ、刑事事件や民事事件などの法律に関連して行われます。

精神鑑定では、次のようなことを行います。

1.被鑑定者と面接を行う。

2.身体的・精神状態を検査する。

3.心理検査や脳波検査、飲酒検査などを行う。

4.供述調書や防犯カメラの映像などの捜査資料を検証する。


■テキスト:「ドキュメント精神鑑定」(洋泉社新書y)林幸司(著)

[ 内容 ]
「精神鑑定は科学じゃない」
「精神科医に詐病は見抜けない」
「何でもかんでも心神喪失で無罪にしたがる」
「結論は鑑定人次第」
…精神鑑定に対する不信があちこちで言われるいま、その何であるかを私たちはどこまで知っているのだろうか。
どんな手続きで精神鑑定が始まり、何が、どう、「鑑定」されるのか。
裁判ではどんなやり取りがなされるのか。
鑑定と法廷証言の実際を、医療刑務所勤務十六年の経歴をもち、地道な鑑定をつづけてきた著者がふんだんなケーススタディで描く、精神鑑定入門の決定版。

[ 目次 ]
第1章 精神鑑定とは(精神鑑定という法律用語はない 精神科医療にも鑑定という言葉はない ほか)
第2章 メイキングオブ精神鑑定(対象者 鑑定人となるまで ほか)
第3章 精神鑑定ケーススタディ(通り魔のケース1―台風一過、エリートの転落 通り魔のケース2―カルトに包まれたものが陽に晒されたとき ほか)
第4章 精神鑑定のたどる道(措置入院の実態 治療の主題となるべきもの ほか)

[ 問題提起 ]
猟奇的な事件が起こると、ニュース上では精神鑑定という文字が躍ることが多く、以前より、精神鑑定そのものに興味を持っていたし、精神鑑定の対象者はどんな人なのだろうという興味もあったことから、なんとなくこの本を手に取った。

気軽に手に取ったはいいが、精神鑑定の流れや病気について、予想以上に丁寧に説明がなされており、新書ながら情報量は多い。

精神鑑定について詳しく知ることができる一方、読むのに骨が折れ、特に第1章は、法律に興味がないと読むのは辛いかもしれないと感じた。

[ 結論 ]
この本のメインは第3章。

著者は精神科医として20年以上のキャリアを持ち、精神鑑定を多数経験しているのだが、その著者が実際に行った精神鑑定が10例ほど紹介されているのだ。

対象者の精神状態や言動に対し、どんな診断が下されるか、鑑定人として法廷に立ち、証人尋問を受けるのはどういった気持ちなのか、など、好奇心をそそられるところがたくさんあり、読んでて素直に面白い。

筆者は、精神鑑定の重要性を説きつつも,同時にその限界を示したうえ、今後の精神鑑定はどうあるべきか、などといったところまで踏み込んだ記述がなされており、その誠実な態度に好感を持てた。

[ コメント ]
興味がある人は是非手にとってみて下さい。

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