【短い語で十分なら】話すことなしに考えるのは、ほとんど不可能だ。
言論の自由を取り去れば、創造力は枯渇するのであると、作家であるオーウェルは語り、また、
「よくある修辞や隠喩は使うな。
短い語で十分なら長い語は使うな。
一語でも削れるなら削れ。
外来語や専門語はできるだけ使うな。」
と言っていたけど、難しく専門的な言葉を使って伝えても、相手が分からなければ意味はないよね。
どうすれば相手が理解しやすいかを考えて、わかりやすい伝え方をしたら良いのか。
「人々の動機を無視してしまえば、その行動を予見するのはずっと難しくなる。」
「分の鼻先にあるものを見るためには、絶えざる奮闘が必要なのだ。」
要は、自分中心の発想ではなく、相手の立場と、目線に立った伝え方に、変えていけるかどうかが大切です。
さて、1文字を、1秒でカウントしてみると、そこから、色んな視点で、世界を俯瞰することも可能です。
ダイヤモンド社から
「1秒の世界」
という本が出ています。
「1秒の世界 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND」山本良一(著)Think the Earth Project(編)
「1秒の世界2 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND Part2」山本良一(著)Think the Earth Project(編)
20年前に出版された本ですが、刻々と変化する世界を1秒で切り取って、60項目紹介しています。
一時期、流行ったトリビア本のようなものではなく、世界の変化を、身近に感じ取ってほしいという目的で編集されていると思われる内容です。
人が瞬きする1秒の間に、この地球で何が起きているのかを描いた、極めてユニークな本で、面白いと思います(^^)
例えば、地球の人口について、
「1秒間に4.2人が生まれ、1.8人がこの世を去っている。
この数を差し引くと、世界の人口は1秒間に2.4人ずつ増えていることになる。
2.4人という数を少なく感じるかもしれないが、1時間で8,705人、1日で20万人都市がひとつ増えていく計算になる。」
と説明がしています。
そのページの下に添えられている山本良一さん(編集責任者)の
「地球はいま生きている人類だけのものではない」
という言葉にも、重みがあります。
これ以外に、いくつか例を紹介すると、
「グリーンランドの氷河が1,620立法メートル溶ける」
「140万人が1日に必要とする、710トンの酸素が減少している」
「世界最大のハンバーガーチェーンに532人が来店」
「テニスコート20面分、5,100平方メートルの天然林が消失」
「畳48枚分、78平方メートルの土地が中国で砂漠化」
「4トンの文書用紙が世界で使われる」
「1.3台の乗用車が生産」
「0.3人、4秒にひとりが飢えによって命を落とす」
といった具合です。
1秒間に、この地球で起きていることを本書で知ると、地球と人間の生活が驚異的なスピードと規模で変化していることに愕然とします(^^;
編集者は、この変化を環境という視点から見て、現代に生きる日本人が、真正面から向き合うべき課題だと語りかけます。
環境問題は、全人類が抱え込んだ難題です。
この難題に立ち向かうため、禅の修行に使われるテキスト
「無門関」(岩波文庫)西村恵信(訳)
と同じように、本書を読んで欲しいというのが、編集者の願いです。
地球に生きる一人の人間として、環境を真摯に考えることが必要です。
この本は、環境と人間の生活を対立させたままでなく、調和させることを考え抜く姿勢が大切であることを教えてくれます。
詩人のエウリピデスも、
「長い話を切り詰めて、短い言葉で適切に語れるのは賢い人である。」
と言っていたしね^^;
専門的な言葉で長々と話をしたとしても、それが相手に伝わらなければ、それは話している人の自己満足に過ぎないので、何を話したかではなく、どれだけのことが相手に伝わったのかを重視してみる。
相手の目線に合わせて話をしながら、長い話を切り詰めて、短い言葉で適切に語れる人になっていきたいですね(^^)
それと、文章に関しては、先人の以下の発言が参考になります。
「完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね」村上春樹(作家)
「文章を書くことは、「考えること」です。
文章を書くことによって、何が必要で、どうすればよいのか、アイデアが生まれてきます」佐藤富雄(作家)
「いい文章はほとんどすべて、へたな下書きからはじまると言っても過言ではないくらいです」アン・ラモット(作家)
どこかに遊びとゆとりの部分がなければ、息苦しく余裕がなくなってしまいます^^;
考えていることを、適切な文字にして表現することは簡単ではありません^^;
そのために、完璧を求めすぎて、自分自身を追い込み過ぎないように注意して、頭の中で考えていることを、紙に書きだすことで、整理してみる。
完璧はないという前提で、どこまで伸ばせるか、耐えられるかを考えていくこと、書くことを習慣化することで、考え方を客観的にみる訓練をしていければ、最初は上手くいかないかもしれないけれど、まず始めてみることが大切だと考えています。
始めることができれば、改善を繰り返すことで、必ず上達していくから、考えているだけで終わらないように、思い切って動いてみよう!
「沈黙のちから」若松英輔(著)
「たったひとりでも自分以外の人を真剣に考える者がいればその場には熱が生まれる。
だがどんなに多くの人がいても自分のことばかり考えているとその空間は本当に冷たくなる。
『モモ』に出てくる灰色の男たちに囲まれたときのように。
誰かのことを真摯に思う。
それだけで何かであると私は思う」