「経営理念」の浸透バロメータは、現場の人の話を聞けば分かります。_ロジラテ思考
どんな企業にも 経営理念があり、それを基盤として中長期方針、年度方針が立案されています。
しかし、すべての方針の大元である経営理念を、社員が理解しているか?と問えばかなり怪しくなってきます。
ためしに中堅幹部、一般社員に「御社の経営理念はなんでしょうか?」と質問して、正確に答えられる社員はそれほど多くないと思います。
酷い話ですが役員ですら経営理念を正確に言えない会社があります。
まぁコアコンピュタンス(強み)くらいは語れると思いますが。。。苦笑
私は色々な企業のトップや、経営企画部の方々と接する機会がありますが、多くの場合、数値目標、戦略、戦術を語ることから始めます。
経営理念から語る方もいらっしゃいますが、これは希なケースです。
つまり多くの企業では、経営理念は、お題目。。。。になってしまっている場合が多いのではないでしょうか。
1.経営理念を語らないトップの会社はどうなるか?
トップが経営理念を語らないと何が起こるのか?
ズバリ言うと、不祥事、不正、改竄です。
例えば、高すぎる販売計画を立てるトップがいます。
私はこれを否定しません。
なぜなら経営理念に基づいた“目指す姿”を実現するための利益目標なら、社員はその意味を理解し、自らモチベーションを上げようとします。
これとは反対に、数値目標が「目指す姿」の場合
目標を達成したところで更に高い数値目標を課せられて、エンドレスに数字を追い求めるビジネスになります。
その結果、日々追い詰められた社員は、何をするか。。。。
数値を達成するためには手段を選ばず、不祥事、不正、改竄という意思決定をすることになります。
これが利益至上主義のリスクであり、数字マネジメントの結果です。
※事実、このようなマネジメントで没落していった大手企業が、世間を騒がしています。
2.経営理念に基づいた経営すると会社はどうなるか
ここで、理想の経営者像を考えてみました。
特に3番目の「粛正する取締役会を自ら組織できる人」は一番厳しいですよね。
これはドラッカーの言葉を引用しましたが、これができる会社は素晴らしい会社といえます。
しかし、過去に不祥事を起こした会社を見ると、それに関わったグレーゾーン役員が居残っているケースがたくさんあります。(苦笑)
そういうグレーゾーン役員が、不幸にもトップになってしまうと、再び数値マネジメントに突き進み、自ら不祥事の火種を作ってしまうことになります。
それとは反対にトップが理念を事あるごとに語っている会社は、現場の仕事が丁寧になります。
何故なら、社員達はトップの考え方を敏感に感じとっているからです。
3.経営理念は細部まで宿る
私がある取引先の工場に、担当営業と一緒にお伺いした時の話です。
現場にいくと定年間近らしい作業員が、最終工程に並んでいる製品を見回り、製品に顔が当たるのではないかと思うほど近づけて、 一つ一つ丁寧にチェックしていました。
このやりとりには、ものすごく深い意味が隠されています。
作業員の思い
お客様が困る場面を浮かべているから、製品をチェックしていた。
営業マンの思い
この人達が大切に作った製品に感謝し、疎かに扱ってはいけないと感じた。
つまり大事に売る意識が芽生え、自社製品を愛しているということになります。
「ちゃんとしないと」の言葉の中にある経営理念がある
もし経営理念の中に「安心安全、高い品質でお客様に喜びを提供する」があり、戦略戦術の中に5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が含まれていたとすれば、この二人の思いは「ちゃんとしないと」という言葉で理念で繋がっていることになります。
つまり経営理念が浸透している証拠です。
経営理念、コアコンピュタンス、ビジョン、ミッション、バリューは会社にとっての金言ですが、トップがことあるごとに理念を語り、自ら現場に足を運んで浸透を確かめなければ、すべてがお題目になっていきます。
もし現場で経営理念の共感を見出せたなら、安心できる企業だということが言えると思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?