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バットマン:ロング・ハロウィーン ネタバレあり感想・あらすじ解説
うちの人間がこの1年を何と呼んでいるか、知っているか?
ロング・ハロウィーンだ
バットマン翻訳コミックの感想第6回は『バットマン:ロング・ハロウィーン』です。
概要
ブルース・ウェインがバットマンへとなる物語を描いた『イヤーワン』の続編にしてバットマンコミック屈指のミステリー大作です。
また、正義感の強い地方検事であったハービー・デントがバットマンの有名ヴィランであるトゥーフェイスへと変貌する物語でもあります。
クリストファー・ノーラン監督の映画『ダーク・ナイト』の原点でもあるとのことでストーリーは異なりますが
・バットマン、ジム・ゴードン、ハービー・デントの3人がゴッサムシティのマフィア逮捕の為に協力をする。
・ハービー・デントがトゥーフェイスとなる。
主にこの2点が共通しています。
映画『ダーク・ナイト』と異なりジョーカーは登場しますがそこまで活躍はしません。
どちらかというとマット・リーブス監督の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の方が本作から引用している設定が有り
・カーマイン・ファルコーネを過去にブルースの父親のトーマス・ウェインが治療したことが有り、それをブルースが見ていたことがある。
・カーマイン・ファルコーネにセリーナ・カイル(キャットウーマン)が執着する。
というのがあります。
本作はミステリー仕立てになっており連続殺人鬼の犯人は誰なのかを各キャラクターが時には協力して追う話になっています。
昨今では「世界一の名探偵」として名を馳せているバットマンですが本作ではまだ活動2年目ということで後手後手に回り被害者は増える一方でまだ探偵としては未熟だった頃のバットマンが描かれます。
イラストはアートチックでリアルよりも演出重視の作風ですが逆に描かれるキャラクター達の描写は深くリアルで重いものになっています。
さらに本作は有名なヴィランの登場が多いのも特徴でさらに言うと近年の作品はバットファミリーのメンバーにある程度の出番があるのですが本作はまだバットマンにバットファミリーの仲間がいないのでバットマンの活躍を存分に見たい方にもおすすめです。
以下登場するヴィランです。
各々ちゃんと見せ場があります。(ペンギン以外)
トゥーフェイス
ジョーカー
キャットウーマン
リドラー
ペンギン
スケアクロウ
ポイズン・アイビー
ソロモン・グランディ
マッドハッター
カレンダーマン
あらすじ
犯罪渦巻くゴッサムシティに降り立った闇夜の騎士バットマン。あらゆる権力を腐敗させ私腹を肥やしてきた組織犯罪のボス達にとって、買収など及びもつかないクライムファイター、バットマンの登場は、予想だにしない脅威だった。“スーパー”ヒーローの誕生で変わり行くゴッサム。しかしその一方では、バットマンの登場に応えるかのように、新たな種類の悪がゴッサムに跋扈し始めていたのである。バットマン史上に残る名作『バットマン:イヤーワン』の続編にして、屈指のミステリー大作『バットマン:ロング・ハロウィーン』が待望の邦訳!ハロウィーンの夜に始まった謎の連続殺人事件。真相を暴かんと共に立ち上がったバットマン、ゴッサム市警の警部ジェームズ・ゴードン、地方検事ハービー・デントの三人は、深まり行くゴッサムの、そして己の闇に何を見るのか。
ハロウィーンの夜に始まった連続殺人事件に、ついに幕切れの時が訪れる。バットマン、ジム・ゴードン、ハービー・デント、正義を誓い合った三人の男達を待ち受ける非情の運命。二つの顔を持つ男トゥーフェイスが誕生する時、長い長いハロウィーンに幕が下りる…
ゴッサムシティはブルース・ウェインの両親が健在の頃からマフィアに支配されていました。
ブルースの両親の死後、さらにその支配は強まりましたがブルースがバットマンとなることでその力は弱まり、さらにバットマンの登場に呼応するように現れたジョーカー達のようなヴィランの登場によりますますマフィアの力は弱まります。
その好機にバットマン、ゴッサム市警のジム・ゴードン警部、地方検事のハービー・デントの3人は犯罪撲滅の為にマフィアのボスであるカーマイン・ファルコーネ逮捕の為に力を合わせることを誓います。
しかし時を同じくして毎月の祝日にマフィアを狙って殺人事件を起こす連続殺人鬼『ホリデイ』が現れたことによりゴッサムシティの各勢力は翻弄され混乱し、取返しのつかない悲劇へと進んでいくのでした。
『ホリデイ』の正体は誰なのか?
バットマン、ジム・ゴードン、ハービー・デントの3人の友情の行方はどうなるのか?
ゴッサムシティのロング・ハロウィーンの始まりと終わりが描かれています。
登場人物(ネタバレ有り)
バットマン(ブルース・ウェイン)
主人公。
ゴッサムシティの大富豪ブルース・ウェインがバットマンとして犯罪者を取り締まっている。
活動を始めて2年目で活動当初より筋肉質で力強く描かれている。
マフィア撲滅の為にジム・ゴードン、ハービー・デントと誓いを立てる。
キャットウーマンであるセリーナ・カイルとは親密な関係にある。
ジェームズ・ゴードン
ゴッサム市警の警部。通称ジム・ゴードン。
『イヤーワン』を経てバットマンとは信頼関係にある。
妻であるバーバラとの間に『イヤーワン』で生まれた息子のジェームズと暮らしているが仕事が忙しくてあまり構ってあげられていない。
マフィア撲滅の為にバットマン、ハービー・デントと誓いを立てる。
ハービー・デント
ゴッサムの地方検事。
マフィア撲滅に向けて日々活動している正義感の強い男性。
『イヤーワン』ではバットマンの正体とゴードンに疑われてバットマンを匿っていた。
妻であるギルダと暮らしているが仕事に追われていた上に連続殺人鬼の『ホリデイ』の出現でギルダとの関係に溝が出来ていく。
マフィアのマローニファミリーのボス、サルバトーレ・マロー二に裁判中に酸を顔の半分に浴びせられて重症を負う。
ギルダ・デント
ハービーの妻。
ハービーを深く愛しているが仕事や事件に没頭していくハービーに精神をすり減らしていく。
バーバラ・ゴードン
ゴードンの妻。
『イヤーワン』で生まれた息子ジェームスを育児している。
ハービーのことで悩むギルダを慰める。
バーノン・フィールズ
ハービー・デントの助手。
ファルコーネとウェイン家の繋がりに気づく。
アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家の執事。
ハービー・デントにファルコーネとウェイン家の繋がりを問い詰められる。
ファルコーネファミリー
カーマイン・ファルコーネ
ゴッサムシティを表も裏も牛耳るファルコーネ・ファミリーのボス。
政治家、検事、警察関係者も賄賂で支配をしているがバットマンやヴィランの出現で支配力が弱まっている。
『ホリデイ』の出現による被害と抗争を抑える為にヴィランを頼るようになる。
顔に『イヤーワン』でキャットウーマンに付けられた爪痕がある。
かつてルイージ・マローニに銃撃を受けて瀕死になった時にブルースの父親の医師のトーマス・ウェインに助けられている。
映画『バットマン ビギンズ』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』やドラマ『GOTHAM(ゴッサム)』にも登場している。
アルベルト・ファルコーネ
カーマインの息子。優秀な学歴を持つ。
父親の稼業を手伝いたいがカーマインからは断られている。
ソフィア・ファルコーネ・ギガンテ
カーマインの娘。刑務所に収容されていたが仮釈放される。
父親を深く愛しているが同時に敵対しているサルバトーレ・マローニとも関係を持っている。
かなりの大柄で怪力であり冷酷な面をもつ。
ちなみにドラマ『GOTHAM(ゴッサム)』にも登場するがスリムな美人で見た目は全く異なる。(自分は本作より先に『GOTHAM(ゴッサム)』を見ていたので違いすぎて驚きました)
ジョニー・ヴィティ
カーマイン・ファルコーネの甥でカーマインの妹のカーラの息子。
『イヤーワン』でファルコーネの指示でゴードンの産まれたばかりの息子を誘拐して逮捕された。
彼の結婚式から物語は始まり、ハロウィーンの日に『ホリデイ』の最初の被害者となった。
カーラ・ヴィティ
カーマインの妹でジョニーの母親。
シカゴを牛耳っている。
殺されたジョニーの復讐の為に『ホリデイ』を追う。
アイリッシュ
ミッキー・サリバン率いる5人組のチーム。
ファルコーネの指示でハービー・デントの家を爆破してバットマンに捕まる。
ミロシュ・グラパ
ファルコーネのボディーガード。
マローニファミリー
サルバトーレ・マローニ
ファルコーネファミリーと対立しているマローニファミリーのボス。
表向きは対立しているが実は裏ではファルコーネと繋がっている。
ハービー・デントの顔に酸をかけてトゥーフェイスへと変貌させた張本人。映画『ダークナイト』にも登場している。(『THE BATMAN-ザ・バットマン-』にもちょっとだけ登場している)
ドラマ『GOTHAM(ゴッサム)』にも登場している。
ルイージ・マローニ
サルバトーレ・マローニの父親。
かつてはマローニファミリーのボスだったが引退している。
現役の時にカーマイン・ファルコーネに5発の銃弾を浴びせている。
ヴィラン
トゥーフェイス(ハービー・デント)
顔が半分爛れた「2」と「コイントス」にこだわるヴィラン。
元は正義感が強かったが顔を半分酸で焼かれたことをきっかけに自身の敵を殺すことにためらいが無くなり邪悪な面が出るようになった。
物事を決めるときはコイントスで決める。
キャットウーマン(セリーナ・カイル)
猫のコスチュームで窃盗を繰り返すヴィラン。
正体はセリーナ・カイルでブルース・ウェインと親密な関係でバットマンを助けることもある。
カーマイン・ファルコーネに執着をしている。
ジョーカー
正体不明のサイコパス。
ホリデイ事件の最中に犯罪を行ったりマフィアを狙ったりでゴッサムを混乱させる。
クリスマスにプレゼントを奪って回るという嫌がらせみたいな犯罪を行う。
ソロモン・グランディ(サイラス・ゴールド)
巨体と怪力のゾンビのような男性。
童謡『マザー・グース』の一説『ソロモン・グランディ』の言葉しか喋らない。
ゴッサムシティの下水道に潜んでいる。
ポイズン・アイビー(パメラ・アイズリー)
植物を操る女性。
さらに男性をフェロモンで操ることができる。
スケアクロウ(ジョナサン・クレイン)
かかしの恰好をして相手に恐怖を与えるガスを浴びせるヴィラン。
精神病棟アーカム・アサイラムに収容されていたが脱獄する。
映画『バットマン ビギンズ』やドラマ『GOTHAM(ゴッサム)』では正体はイケメンだが原作コミックでは基本的に中年のおじさんである。
リドラー(エドワード・ニグマ)
なぞなぞ好きな知能犯。
カーマイン・ファルコーネに『ホリデイ』の正体を知るために協力を頼まれる。
ペンギン(オズワルド・コプルボット)
黒いシルクハットと黒い傘が特徴の男性。
暗黒街を支配しようとするがまだファルコーネとマローニが居るので出来ていないと思われる。
本作では終盤に突然出てくるだけで出番は少なめ。
マッドハッター(ジャービス・テッチ)
不思議の国のアリスにこだわるヴィラン。
スケアクロウと共にアーカム・アサイラムから脱獄をする。
脱獄後はスケアクロウと行動を共にする。
カレンダーマン(ジュリアン・デイ)
記念日に合わせて犯罪を起こすヴィラン。
アーカム・アサイラムに収監されていたが同じように祝日に殺人をする『ホリデイ』の出現によりバットマンやゴードンから尋問をされて『ホリデイ』の正体の推理を話す。
ホリデイ
ハロウィーンの日にジョニー・ヴィティを殺害してから毎月祝日にファルコーネとマローニの関係者の殺人事件を起こす正体不明の殺人鬼。
1人なのか複数なのか、男性なのか女性なのかもわからない。
凶器である22口径の拳銃とサプレッサー代わりの哺乳瓶の口と祝日に関する品を現場に残していく。
解説・感想(ネタバレ注意)
※本作はミステリー作品なので未読でこれから読まれる方は注意してください。
バットマンの世界観で描かれるミステリー大作としてとても面白いです。
バットマン、ブルース・ウェイン、ジム・ゴードン、ハービー・デント、トゥーフェイス、マフィア、ヴィラン達を翻弄する本作独自の連続殺人鬼『ホリデイ』の描き方が良いですね。
正体不明。動機も目的も不明。
『ホリデイ』の存在はゴッサムシティの敵味方の関係性を混乱させて悲劇が加速していきます。
ちなみに『ホリデイ』の正体についてはちゃんと伏線が張られており、納得できる内容になっています。
ただ事件によっては複数のマフィアが『ホリデイ』1人に皆殺しにされているので『ホリデイ』が強すぎるのかマフィアが弱すぎるとも思いますが。
事件の始まり
まず本作は『バットマン:イヤーワン』の続編です。
本作の冒頭に『イヤーワン』の起きた事が時系列順に載っています。
バットマンとヴィランの出現で支配力の弱体化したマフィアのボス、カーマイン・ファルコーネを逮捕する為にバットマン、ジム・ゴードン、ハービー・デントの3人はゴッサム市警の屋上で誓いを立てます。
ここに似たシーンが映画『ダークナイト』にありますね。
3人が協力してファルコーネを追い詰める中、ファルコーネの甥のジョニー・ヴィティがハロウィーンの日に殺害される事件が起きます。
事件を調べる中、バットマンはキャットウーマンからの情報でファルコーネの資金の隠し倉庫の場所を聞き、ハービーと2人でファルコーネの資金を燃やしました。(もったいない)
ここも映画『ダークナイト』でジョーカーが山積みのお金を燃やしたシーンに似てますね。
ハービーが妻ギルダの待つ自宅に帰ると届いていた小包が爆発しました。
容疑者として逮捕されたのはアイリッシュというファルコーネに雇われたチームでした。
バットマンが逃亡するアイリッシュのボスのミッキーを追うと下水道に行きそこには不死身のヴィランのソロモン・グランディがいてバットマンは戦わざるをえなくなります。
アイリッシュのチームを尋問しますがファルコーネの関与は話しません。
爆発によりハービー・デントは死んだ・・・と思われていましたがピンピンしてました。妻のギルダは大けがをしています。
アイリッシュはファルコーネの手引きにより釈放されました。
釈放されたアイリッシュの5人が感謝祭を祝っているとジョニー・ヴィティと同じ手口で全員殺害されるのでした。
ちなみにバットマンは下水道に居るソロモン・グランディに感謝祭の料理を届けていました。
バットマンのこういうヴィランとの関係が常に敵対関係ではなくて状況によって変える所が好きですね。
ついでに言うとゴードンは帰りが遅すぎて1人で感謝祭を過ごしました。
ハロウィーン、感謝祭と続けての祝日の殺人事件で犯人は『ホリデイ』と呼ばれるようになりました。
クリスマス・イブの日、脱獄したジョーカーは家に押し入ってクリスマスプレゼントを盗み回ってました。子供がかわいそうです。
アーカム・アサイラムでバットマンとゴードンはある囚人に会いにきました。
バットマンが現れてから囚人の収容者は2倍になったとのこと。
バットマンの存在がヴィラン達を引き寄せているのではないかとのことです。
2人はカレンダーの記念日にこだわって犯罪を重ねてきた『カレンダーマン』ことジュリアン・デイに同じような犯罪を続けている『ホリデイ』の事件に協力を求めます。
カレンダーマンはクリスマスに事件が起こること、『ホリデイ』は注目を浴びたいこと、2月は記念日が多いことを告げます。
クリスマスの日、マローニはジョーカーに襲われてさらにバットマンにも問い詰められます。ジョーカーは『ホリデイ』を捜しているようです。
マローニはバットマンが現れてからゴッサムがヴィランだらけになったと怒りを露わにします。
ジョーカーはハービーを『ホリデイ』だと思い襲い警告し、さらにファルコーネに『ホリデイ』を捜すように脅しました。
逃亡するジョーカーを追うファルコーネのボディガードのミロシュ・グラパは『ホリデイ』のクリスマスの犠牲者となるのでした。
大晦日の日、ジョーカーは飛行機を乗っ取りバットマンが追います。
ファルコーネとマローニは豪華客船で新年を祝っていますがファルコーネは『ホリデイ』の被害者がファルコーネの身内なことでマローニに疑惑をもっていることを匂わせます。
新年の元旦になり、ファルコーネの息子のアルベルトは銃声とともに船から落ちました。
デント夫妻とゴードン夫妻は共に新年を祝い、ハービーはゴードンにウェイン家とファルコーネファミリーの繋がりを伝えます。
バットマンはジョーカーの犯行を止め、今年こそ犯罪をゴッサムから一掃すると誓うのでした。
1月6日、海岸にカモメに食べられたと思われる身元不明の遺体が上がり、ファルコーネは確認するとアルベルトの死を悲しむのでした。
バレンタインの日、ハービーとゴードンはウェイン家とファルコーネファミリーの繋がりを確認しにウェイン邸を訪れてアルフレッドにブルースの父トーマス・ウェインとファルコーネの繋がりのことを問いますがアルフレッドは答えません。
『ホリデイ』はマローニの店の前でマローニの一味を殺害して凶器とバレンタインのチョコを残していきました。
そのチョコはゴードンとハービーがそれぞれの妻に渡した物と同じでした。
ブルースがウェイン邸に帰るとそこにはポイズン・アイビーが居てブルースは取り込まれます。
ファルコーネファミリーには収監されていたファルコーネの娘のソフィアが帰ってきました。
一方でポイズン・アイビーに操られたブルースはファルコーネファミリーにウェイン産業のお金を流しますがキャット・ウーマンによりポイズン・アイビーは倒されてブルースは正気に戻るのでした。
ポイズン・アイビーはファルコーネからお金を貰いブルースを操っていたのでした。
『ホリデイ』は聖パトリックデイにマローニの隠れ家を襲いマローニの手下に多くの被害者をだしました。
エイプリル・フール、ファルコーネはリドラーに依頼して『ホリデイ』の正体を探りますが結論は出ません。
リドラーが追い出されると『ホリデイ』に襲われましたが殺されはしませんでした。
母の日、バットマンがカレンダーマンを訪れて『ホリデイ』の正体について話していると何者かに手引きをされたスケアクロウが脱獄をしました。
バットマンが捕まえますがそれはスケアクロウの罠で恐怖ガス入りの人形でありバットマンはガスを吸ってしまいました。
『ホリデイ』は犯行に使っている改造拳銃を作っているガンスミスを殺害します。
ブルースは両親の殺害された現場に母の日の花を添えに行きますがゴードンを見て事件のことを思い出して恐怖して逃げ、ブルースは母親の墓の前で泣いている所を捕まえられました。
父の日、法廷でアルフレッドはトーマス・ウェインとファルコーネファミリーの関係を話します。
『ホリデイ』はマローニの父親のルイージ・マローニを殺害しました。
独立記念日、『ホリデイ』の被害者はマフィアとは関係ない検視官でした。
バットマンはスケアクロウとマッド・ハンターのファルコーネからの依頼の銀行強盗をキャット・ウーマンと協力して止めました。
ローマ人の休日、バットマンの『ホリデイ』の事件の唯一の生存者のリドラーを問い詰めていました。
マローニはファルコーネ逮捕の為という名目でハービーにわざと捕まり裁判に出廷しますが実はマローニに買収されていたハービーの部下のバーノンから酸を受け取り裁判中にデントの顔に酸をかけるのでした。
密かに裁判を傍聴していたブルースはハービーの悲鳴は一生耳から離れないだろうと思うのでした。
ゴッサム病院で手術中にハービーは医師を殺害して逃亡をしました。
検視局で『ホリデイ』事件の被害者を調べていたファルコーネの妹のカーラは『ホリデイ』に殺害されました。
ハービーは一か月以上行方不明になりました。
ゴードンは調査の結果ハービーが『ホリデイ』だと推測しますがバットマンは認めようとせず、ゴードンからは厳しく詰められます。
バットマンはファルコーネの元を訪れてハービーの行方を問いますが『ホリデイ』を野放しにしているバットマンを責めます。
うちの人間がこの1年を何と呼んでいるか、知っているか?
ロング・ハロウィーンだ
レイバーデイ、バットマンはハービーの妻ギルダとカレンダーマンを訪れてハービーの行方を探します。
カレンダーマンはホリデイの犯行が続くことを予告します。
さらに被害者はマローニだと告げました。
ゴードンと守衛がマローニを守る為に移送しようとするとマローニが銃撃されて殺害されました。
※『ホリデイ』の正体のネタバレ注意
マローニを殺害したのファルコーネの死んだはずの息子のアルベルトでした。
ホリデイはこの僕さ
守衛に変装していたバットマンはアルベルトを圧倒して取り押さえます。
『ホリデイ』への憎しみに飲まれたバットマンはアルベルトの首を両手で絞め殺しそうになりましたがゴードンに止められます。
アルベルトは捕まりました。
数日後父親のファルコーネが面会に来ました。
ファルコーネはアルベルトの罪を軽くしようとしますがアルベルトは拒否をします。
アルベルトはファルコーネからないがしろにされていたことを恨んでいました。
ゴッサムは変わったんだ
あんた達はもうお払い箱なんだよ
ぼくを見てみろよ
あんたら全員よりもビッグだぜ!
ホリデイはこの僕さ!
最初の『ホリデイ』の事件から1年経ったハロウィーンの夜、アーカム・アサイラムの囚人達が脱獄していました。
カレンダーマンの前に立った男がコイントスをします。
「悪いな」
カレンダーマンは選ばれませんでした。
ファルコーネの屋敷で手下達がヴィランに襲われます。
ファルコーネが扉を蹴破ると中にはジョーカー、ペンギン、キャットウーマン、スケアクロウ、ポイズン・アイビー、ソロモン・グランディ、マッドハッターという面々たるヴィランがおり、奥には顔が半分焼かれてトゥーフェイスとなったハービー・デントがいました。
トゥーフェイスがファルコーネを殺そうとしたところにバットマンが突入してヴィラン達を倒していきます。
トゥーフェイスはファルコーネを捕まえて頭に銃を突きつけます。バットマンは説得しますがトゥーフェイスはコイントスをしてファルコーネの頭に2発の銃弾を撃ち込み殺害しました。
激高した娘のソフィアはトゥーフェイスに殺そうとしますがキャットウーマンに止められて高層ビルから落下していきました。
バットマンはトゥーフェイスに投降するように話しますがトゥーフェイスは拒み、マローニに酸を渡した部下のバーノンもコイントスをして殺害しました。
バットシグナルが灯されたゴッサム市警の屋上にトゥーフェイスは居て、バットマンとゴードンも来てかつてファルコーネを捕まえることを同じ場所で誓った3人が揃いました。
長い長いハロウィーンが明けたんだ
トゥーフェイスはおとなしくゴードンに自ら捕まります。
トゥーフェイスは最後に『ホリデイ』が2人いたことは話すのでした。
ハービー・デントを失う事件の結末にブルースは改めてゴッサムから犯罪を一掃することを誓いバットマンを信じるのでした。
『ホリデイ』であるアルベルトは心神喪失と判断されアーカム・アサイラムのカレンダーマンの独房の向かい側に収監されました。
トゥーフェイスであるハービー・デントもアーカム・アサイラムに1人で収監され、妻ギルダの名をつぶやくのでした。
※さらに事件の真相のネタバレ注意
クリスマス・イブ、物語はアルベルト・ファルコーネでもハービー・デントでもない『ホリデイ』事件のもう1人の真犯人の独白が始まり、1年間続いたゴッサムのロング・ハロウィーンは終わるのでした。
つまりロング・ハロウィーンで描かれたのはゴッサムをマフィアが支配していた時代は終わり、ヴィランが蹂躙していく時代が始まったことを示しているのだと思いました。
ゴッサムを翻弄したヴィランとなった『ホリデイ』であるアルベルトが父親のファルコーネに放った言葉はそういう意味なのだと思います。
両親のトラウマを突きつけられて泣きじゃくったり、セリーナとの関係を大切にしていたりバットマンではなくブルース・ウェインとしての人間性の描かれ方も良かったですね。
ハービー・デントがトゥーフェイスに堕ちてしまったことで崩壊してしまったバットマンとゴードンとの3人の友情の末路も切ないものがあります。
ヴィランの描かれた方も良く、コイントスにこだわるトゥーフェイス、自由奔放なジョーカー、バットマンと協力したり敵対して翻弄するキャットウーマン、恐怖ガスをバットマンに浴びせるスケアクロウ、ブルースを誘惑して操るポイズン・アイビーとヴィランの特徴を活かした描かれ方がされています。
カレンダーマンは他のコミック作品での出番はよく知らないのですが本作では『ホリデイ』をライバル視してるような感じでバットマンに対して淡々と冷静に『ホリデイ』の正体について語っているのが印象的ですね。
ちなみカレンダーマンはゲーム『アーカムシリーズ』にも出てきます。
ファルコーネはマフィアのボスとしてバットマンにもヴィランにも臆さない強さがありながらも裏ではファミリーを守る為にヴィランに頼ったり息子や娘を愛していたりもする面もあり、悪人だけど嫌いにはなれないキャラクターです。
ミステリーとしても犯人の考察が作中のキャラクター達の中でも行われていますが犯人の正体がなかなか分からない構成になっていながらもちゃんと伏線も張られていますので読み返すとまた違った見え方になります。
各事件の犯人考察
各事件の犯人の考察ですが作中の描写(銃を持つ手)やセリフから自分の予想は以下になります。
10月 ハロウィーン 被害者:ジョニー・ヴィティ 犯人:真犯人
11月 感謝祭 被害者:アイリッシュ一味 犯人:真犯人
12月 クリスマス 被害者:ミロシュ・グラパ 犯人:真犯人
1月 元旦 被害者:アルベルト(偽装) 犯人:ハービー
2月 バレンタインデイ 被害者:マローニの手下 犯人:ハービー
3月 聖パトリックデイ 被害者:マローニの手下 犯人:ハービー
4月 エイプリルフール 被害者:リドラー(未遂) 犯人:不明
5月 母の日 被害者:ガンスミス 犯人:ハービー
6月 父の日 被害者:ルイージ・マローニ 犯人:ハービー
7月 独立記念日 被害者:検視官 犯人:アルベルト
8月 ローマ人の休日 被害者:カーラ・ヴィティ 犯人:アルベルト
9月 レイバーデイ 被害者:サルバトーレ・マローニ
犯人:アルベルト
10月 ハロウィーン 被害者:カーマイン・ファルコーネ
バーノン・フィールズ
犯人:トゥーフェイス
こうして見ると真犯人は最初の3件のみで後はハービーが後を継ぎ、アルベルト自身は自分の死の偽装に関わった検視官と疑ったカーラとマローニの3人のみを殺害していてほとんどの事件の犯人はハービーだったことになります。
リドラーを殺害しなかったのは作中のバットマンの読みからするとファルコーネが『ホリデイ』に対して追っていることをアピールする為のようなのでファルコーネもしくはファルコーネの部下なのかと思います。
アルベルトがなぜ生きていたのかは不明ですが元旦に撃たれてから犯行の7月の間に治療をしたのでしょう。
まとめ
アメコミが子供向けだけではなく大人が読んでも面白いノワールミステリーもあるということがよく分かり、一方で多数のヴィランも登場する満足感も得られてバットマンのコミックがより好きになった作品ですね。
というわけで『バットマン:ロング・ハロウィーン』でした!
読んで頂きましてありがとうございました!
前回の「イヤー100」の感想の投稿からだいぶ日が経ってしまいましたね。
年末で忙しかったのですがせめて『ホリデイ』に合わせてクリスマスには投稿できれば良いな~とは思ってましたができませんでした。
次回の感想は本作の続編である『バットマン:ダークビクトリー』を書こうと思います!
完全に本作の続編で本作のネタバレありきの内容となっています。
少しあらすじを言いますと『ホリデイ』に続いてゴッサムに現れた連続殺人鬼『ハングマン』を追うこちらもミステリー作品となっております!
また読んで頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします!