「ベイトマンニュース」スコットランド生活[52]働き方を模索中
私が働いている職場に、パートで週2日だけ骨密度の検査をしにやってくる放射線技師さんがいるんです。彼女は病院があるファイフ地方とは反対側のスコットランドの西側の農場で暮らしていて、毎週水曜日の午後にバスを2つ乗り継いで、合計4時間かけて私たちが働く病院があるファイフ地方にやって来ます。彼女は病院近くの町にある馴染みのB&Bに2泊し、木曜と金曜の午後2時まで働いて、また2つのバスを乗り継いで4時間かけてファイフ地方の反対側にある家へと帰っていきます。
面白いですねぇ。なんで家の近くで働かないの?と聞く私に、彼女はにっこり笑って言います。「たまたま私の条件に合う職場が家の反対側にあったのよ。4時間かけてやって来るのも、そんなに悪くないわよ。」と。バスに乗っている間、彼女は音楽を聴きながら編み物をしたり、本を読んだり、居眠りしながら過ごしていて、「それもまた楽しい。」と笑っています。
私の夫はITのエンジニアとして40年以上働いてきましたが、スコットランドに移住してからは大好きなゴルフ場で働き始めました。今年の夏からはキャディも始め、今までとは真逆の肉体労働に転身しています。お給料はぐっと下がったし、(コンピューターとは違って)人と関わる仕事は大変そう。だけど今までずっと眉間に寄っていたシワがなくなり、日に焼けてビール腹が小さくなって、以前よりもずっと健康的に見えます。「以前は数字に追われ、プレッシャーを感じて、ずっとイライラしながら働いていたけれど、今はイライラすることはないね。もちろん違った側面でしんどいことはあるけど、新しく挑戦していることが楽しい。」と。
夫が働いているゴルフ場は冬の期間は閉鎖されるので、夫は冬の数ヶ月は主夫になります。笑。昨年の冬はAmazonの工場で働いてみたけれど、あまりのキツさと待遇の悪さでギブアップ。もうあそこでは働きたくない、とこの夏は頑張って冬の分まで働きました。
これからの数ヶ月間、夫は無職で過ごすわけですが、じっとしていられないタイプの夫はきっと、いろいろと動き回って主夫生活をエンジョイするんじゃないかな、と思っています。
冬の気候が厳しいスコットランドでは、夫のゴルフ場みたいに夏の間だけの仕事が多くあり、夫の同僚たちもそれぞれ働くスタイルが異なります。
ある人は普段はスコットランドの北側で暮らしているけど、夏の間だけゴルフ場の近くにパークホーム(プレハブの簡易ホーム)を借りて、働きながら海の近くで暮らします。
あるキャディーは夏の間はスコットランドのゴルフ場で働き、スコットランドが冬になると季節が逆のニュージーランドに移動してキャディーの仕事を続行するそうですよ。面白いですね。ほんまにいろんな働き方があるんやなぁ。
私自身もスコットランドに移住してからは、野菜工場の仕事を経て、昨年からは総合病院で働いています。これまではずっと週3日、週4日のパートで働いてきたのに、今はフルタイムです。子育ても終了したし、夫のお給料も減ってしまったので、悠々マダム生活を封印して働いています。笑。
でもこれからはもうちょっとゆっくりしたペースで働いて、自分自身の時間がもう少しとれたら嬉しい、と思いながら頑張っているところです。
スコットランドに移住して以来、ずっと働き方を模索してきた私たち。私も夫も、トライアンドエラーを繰り返しながら、まだまだ模索の真っ只中です。
これからも年齢や健康、家族の状況によって、働き方は変化していくんでしょうね。
働き方はほんまに人それぞれ。その人の選択です。他の人から見たら「なんで?」と思うような働き方でも、本人が満足していれば大正解。大切なのは、自分がどうありたいか、どんな風に働きたいかを考え、様々なことに挑戦していくフットワークの軽さだと思います。
この歳になって新しいことにチャレンジできるのはありがたいことだ、と自分たちに言い聞かせつつ(笑)、働き方の模索を続行しまーす。