月刊『Hanada』2024年7月号
「好奇の目で見られんぞぅー、俺の女だっつったらァ」
けんけんが、オールディックフォギーの伊藤さんや他のメンバーとの飲み会を、参加者の名前を次々と挙げながら自慢してきたので「いいなァ」と羨ましがってみせたときの返しである。
世間にはテレビに出ている人間の股周りが気になって仕方のない人や、私小説をノンフィクションだと勘違いしている方が存外大勢いるようで、私たちのような冴えない中年カップルでさえ遠慮なくスマホを向けられたり、どこぞで買い物しているだのと書き込まれたりした。
気の毒にもけんけんは、よりによって新幹線のプラットフォームで駅弁を買っている後姿をネットに晒されたりもした。
正面から面と向かって「すみません、写真、撮らせていただいていいですか」の一言も言えないような恥ずかしがり屋さんですらスマホを持てば百人力のこのご時世、そう簡単に私小説を復興させてみせます、なんて言って大丈夫かなァと心配になるのである。
けんけんが「ふんっ。家族なんていたら書けねぇや」と半笑い、いや自嘲気味に言っていたのを思い出す。
しかしそれにしても、だ。
やはり月刊『Hanada』に載せていただけたことは、やっと供養ができたようでとても嬉しかった。
そして、こちら(↓)の思わぬコメントも嬉しかった。
けんけんには「お前、男みてぇな字だな」としか言われたことがないからだ。
「え、でも電話してきたじゃん、それ読んで。人の心を動かしたってことじゃん」と言ったら、「まぁ、そだな」と言っていたが(電話についての詳細は月刊『Hanada』7月号↓↓↓)。
万葉の時代なら言霊があるって大騒ぎですよ(冗談です)。
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