「挿画家からみた貫多の世界」信濃八太郎
2022年6月に読んだ文章
「挿画家からみた貫多の世界」信濃八太郎
『本の雑誌』(2022年6月号収載)
横溝正史の挿画といえば杉本一文、西村賢太の挿画といえば信濃八太郎である。
横溝正史を実は一冊と読んだこともないくせに、なぜに堂々と知ったかぶるかといえば、小中学生時に横溝作品を「貪り読み」コンプリートしたという西村賢太が、杉本一文に文庫本の挿画を書いてもらったときに、大喜びしていたのを覚えているからだ。
『日乗』に書いていたのだろう。
さてその信濃八太郎が2022年6月の、『本の雑誌』西村賢太追悼号に寄せて、書いている。
忘れすぎ! である。
遺作の『雨滴は続く』(2022)もそうだが、随筆集『一日』(2012)のカバー挿画も、信濃八太郎による。
『一日』のカバーの美しい紙は、石原慎太郎の何かの本を真似てみた、と、これも『日乗』に書いてあった。本の背を珍しく角にしたとも書いてあったが、この時まで私は、こんな細部まで気にして見たことがなかったし、どういう意味があるのかも、本に疎い私は知らない。
『一日』のときは朱だったはずの墓碑銘だが、『雨滴は続く』のカバーは恐らく没後のスケッチで、黒く墨を流し込まれていただろう。
どちらもモノトーンで、判らない。