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ポップアップウインドウは、ポップアップさせてはいけない

ポップアップウインドウを題材にして
ゲーム開発におけるUI/UXの理解向上についての記事を書いてみました。

英語で「pop-up」とは「ふいに現れる」「出現する」という意味を持つ
「突然飛び出す」

唐突に出現するという意味を持つらしいので…

タイトルで扱っている「ポップアップ」は上記の英語の意味で引用したように
ふいに現れる=瞬間的に出現する、という意味でこの記事では扱います。
「ポップアップウインドウがダメ」というような内容ではなく
ポップアップウインドウの出し方を例にUIの体験設計を紐解いてみたいと思います。


結論何を伝えたい記事か

「ポップアップさせてはいけない」の理由はポップアップしてくるウインドウをしっかりと認知させるように情報を出さそう、ということ。

細やかな認知配慮がプロダクトのクオリティに大きく関わるということ。

具体的に書くと
ポップアップウインドウというのは以下に掲載した図①のように画面に「ふいに出現する」メッセージウインドウです。
このふいに出現する、を本当にふいに出現させてはいけない。

ふいに出現させるとユーザーは認知しづらいのです。

「ん?わかると思うけど?何がダメなの?」

と感じるかもですが、瞬間的な画面変化(ポップアップウインドウ)に対してユーザーが適切に情報(メッセージ)にたどり着くには少しの認知コストがかかります。
なぜなら、一瞬で切り替わった画面変化に対して

- 画面変化状態を認知し
- 画面の変化した部分を探し
- メッセージを追う。

という状態解釈して画面変化を知覚する必要があるからです。

何が言いたいかというと
ポップアップウインドウが出ることを目線誘導してアシストしてあげようぜ。
という話なのです。

以下参考アニメを元に見てみよう。

ポップアップの出し方

ふいなポップアップで起こる認知の場合
知覚している現時点の画面 → ポップアップ後の変化した画面 → 状態把握 → 目的発見

①ふいに現れるポップアップウインドウ

ポップアップアニメをして表示させる認知の場合
知覚している現在の画面 → ポップアップ動作(認知誘導) → 目的発見

②拡縮を使ったポップアップウインドウ位置の目線誘導

今、この瞬間に知覚している画面は静止している状態、そこから
画面の変化が起こったときに、変化後の目線誘導を行い注目先へユーザーをアシストしようということです。

参考動画は繰り返し表示されるので判断難しいかもしれないですが、何もない状態から瞬間的に画面に変化がある前者のパターンは少し認知に時間がかかると思いませんか。
見比べてみて、後者の方がポップアップにウインドウの拡縮をアニメで見せることによって、出現後の状態把握に負荷がかかりにくくなっていると思います。(ですよね!?)でも

「そんな細かい変化、なくても分かるよー」

って、だいたい思うんですよねぇ。

だからこそ、この重要性を理解してもらうことが難しく
その説明をするためにこの記事を書きました。

ちなみに、このポップアップの話は一つの例として挙げたまでで
UI/UXを設計するにあたり、非常に重要な観点の1つであるにもかかわらず理解が進まず、重要視されないままプロダクトが出来上がり、プロダクトがもつ本質の評価以前に問題を抱えてしまっていることが多くあります。

そして、その問題を切り分けて本質評価できるほど多くの人が審美眼を持ち合わせていない、というのがゲーム開発における実情です。

(結局UI/UXデザイナー少ないよねって話!?なのかも?)

話を戻します。

人間の目線誘導について知っておくべきこと

人も動物です。
昔は狩りをしていたし、動くものに対して対応できるような進化をしています。

例えば(やってみよう)

なにもない空間を見つめて、ある点から点へと目線を一瞬に移動させることよりも
同じ距離の目線移動でも見ている対象物が移動するのを追いかけるほうが視線は早く動かせます。

同じ距離の視点移動を実験してみよう
1つは何もない状態で視線を瞬間的に動かしてみる。もう1つのやり方は指を視点移動といっしょに動かして追いかけてみる。をやってみると違いに気づくことができます。

動くものを目線で追いかけるのは容易い

これは、動物を追いかけたり、静止しているものよりも動いているもののほうが危険性を伴うもの、自分に関与してくる可能性があるという進化的合理性から備わっているものなのです。

そういった特性を活かし、ユーザーの視線誘導を手助けする工夫が大切であると。

ゲームには、多くの視線誘導テクニックがあります、特にアイテムの獲得時などはUIにアイテムが吸い込まれていくような演出をよく見かけるでしょう。
あれはまさに、ユーザー(人)は動くものじゃなければ視線を動かしづらいからです。また、画面が目まぐるしく変化する中で、優先して何かを見せなければならないときは特に目線の誘導がより強力に必要となります。

この記事でいいたいことは
「分かるから大丈夫」ではなく
「分かることの認知負荷を下げる」ことが大事であり本質なのです。

たかが、ポップアップウインドウ
されど、ポップアップウインドウ

”分かってしまう”だけに、作り手はその負荷を軽減する手段に気付かない。
絶妙な理解されにくく無視されやすい表現がプロダクトのクオリティを左右する。

ポップアップ過程を見せるのは、ユーザーの認知負荷を軽減し、目的につれていくための認知アシストであるということ。

控えめに言って、このアシストができてないプロダクトは内容や企画が良くても成功が難しいケースが多いと感じます。
面白いゲームなのに、イマイチ売れないんだろうっていうのはこの要因が大きい。(もちろん他の要因も多くありますが)

逆に、使いやすさの摩擦が0に近いなら、基本的にその上に乗っているサービス、付加価値で必ずプラス何かを提供できるはずなんですよね。

ユーザービリティの大切さ

最後は話が少し大きくなってしまいましたが、目線誘導だけでなくユーザーを適切に目的に導くためのUI/UXはゲームでは多くのテクニックが必要になってきますしとても大切なことです。

ここではそのすべてを語ることはできないですが
ゲームに限らず、サービスを提供するということはユーザーを目的に誘導させることを実現させるために考えられた細やかな配慮が解像度高く必要になります。

自分たちが体験してほしいと思っていること
だけを作っても、それをユーザーに届けることは難しい。

ということで
今回はポップアップウインドウを例に
UI/UXの大事さを伝える記事を書いてみました。

ふわっとした話だったかもしれないですが
他にもこういった記事書いてるので、興味あれば読んでみてください。

それでは〜。

あ、もし、UI/UXを学んでみたいかたはUIデザインの本などより
以下の心理学的アプローチから学ぶのがいいとおもいます。
参考まで。


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