青色のノスタルジア7
幸いなことに気がつくと原っぱに居たのだ。
「死んで天国に来たのか。地獄が終わって、次の地獄待ちか。それとも‥‥」
そんな事を考えていたがよくわからなかったので立ち上がって歩くことにした。
さっきの地獄を忘れようと思い、歩くことに20分。
気持ちよかった。ただ歩くだけで楽しい。
地獄からの解放は感受性をより一層増していたのだ。
とても眠くなってきた。
心も体ももう限界であり、今すぐにでも寝たい。無限に続く原っぱを背に足から崩れ落ちるように寝そべった。
暖かい春の陽気が眠りを誘う。柔らかい日差しが目を覆う左腕を透かすように入り込んでくる。
しかし、あまりの睡魔にオリバルはゆっくりと夢の中へと誘った。
【完了しました。データを保存します‥】
コンピューターの処理速度は早く、正確だ。
《体温、心拍数ともに正常》
《解析完了》
21世紀に公表されている技術ではない。
技術革新は数十年先に公表される技術を誰かが隠し持っていたり、政府が隠していたりする。すなわち、研究者や化学者たちは数年後を見据えて新しい技術を発明していることが多々ある。
そんな記事をネットニュースに日々晒していては一般人の期待が高まる余り暴動が起こりかねない。
何よりも未完成品はリスクが多すぎる。
このコンピュータは生物の構造を把握し、データとして記録(インプット)をし、3Dモデルを構築(アウトプット)することができる。
3Dモデルを擬似ルームで現物のように試すことも可能だ。
また、遺伝子を組み替える事も可能であるが極めて危険である。
例えば、現実的にこの技術は医療現場に役立つと考えている。
失敗できない手術、ロボットでは出来ないような治療の際とても役立つ。
擬似体験をする事で仮想の身体を使って何度でも手術をすることができる。
この機械を使って被験者にブルーを寄生させればデータを抽出しつつも他のどこよりも安全である。
その考えから博士はこの場所を実験場所にした。
この体の中に寄生した《ブルー》は極めて神聖なものであり、コンピュータの解析では全てが明らかになっているわけではない。
未知の物質も発見された。宇宙には90パーセントの物質が未知でありダークマター(暗黒物質)と呼ばれる物質が存在する。
ブルーの体内構築はダークマターで90%で構成されており、人間が必需とする酸素原子は見つからなかった。
【名前をつけてください‥】
コンピュータにメモをしておくようだ。
“Code nameオリバル
人が一人入れるくらいの酸素カプセルを縦に立てたような容器の中に液体が入っている近未来型のポット。
よくアニメやSFなどでクローンを作成する設定でよく使われているデザイン。その中には、全裸の男が入っている。
黒髪、細マッチョ、アジア人の顔立ち、日本人だろうか。
年齢は中学生くらい。
酸素マスクを着用し、水中でポコポコと息をしている様に見える。
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