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青色のノスタルジア6 閲覧注意15禁グロ系

 気がつくと、目を覚ました場所は実験室だろうか?
 視界には何やら理科室でみる様な実験器具や机の上にはたくさんの資料が積んであった。
 一般的な学校の教室の半分位の広さという所か。電気はついてるがここには誰もいないみたいだ。
 身体には何やら黒い影がくっ付いている。
「何だこれ」
 体が動かない。ピクリとも。
 おまけに服は着ていない。
 金縛りか?
 どうやら僕の横で作動している機械のせいかもしれない。
 強いダークライトが僕の体に当てられている。
 静かにドアが開く音がした。
「目覚めたか」
 稲荷の視界には白衣を着た、いかにも研究者っぽい人が映った。
 その瞬間、僕は恐怖と絶望を抱いた。
 言葉を口に出す事はしなかったと言うよりも、出来なかった。
 恐怖のあまり身体が硬直して動かない。
 そして部屋には博士。
 稲荷の頭の中には何をされるのか、が導き出されていた。
 そう、「人体実験」。
 俺の身体は震えていると思う。
 しかし、震えられない。15年間生きてきた中で1番恐怖心に包まれる。
「本当にこんな事ってあるのか?
拉致されたって事?
あの女は誰?
何で俺?
選ばれた?」
 やっぱり訳が分からない。
 抵抗する間もなかった。
 包丁が俺の胸を突き刺してくる。
 人生の中で包丁で刺される経験は常人おそらくならないだろう。
 熱い、熱い。自分の体温が上がっていくのが血液を通じて伝わってくる。
 鈍痛のあまり、痛みを声にしようとするが空気を振動させなかった。
 それはそれは温かい血となって口を伝って体外に放出された。
 ドバドバと流れ出る自分の血液。胸の出血はまるでホースの先から噴き出すかのように流れ出る。
 反射的に自分を刺した相手を鋭く睨み付ける。研究者はニヤリと不敵な笑みを浮かべている。いわゆるサイコ。
 しかし、意外にも意識ははっきりしている。それの感覚がさらなる残酷を呼ぶ。
 研究者は頬を釣り上げ、笑った。もう脳は瀕死状態に近しい。
 いつの間にか、沢山の人々が僕の周りに集まっていたのだ。

 次には鋭い裁縫針が何本もドリルのように回転しながら肉を抉りとる。
 何本だろうか。少なくとも100本はある。
 頭から両足まで全身にかけて包丁とはまた違う別の痛み。全身が麻痺しているかの様な強い痛みと痺れ。電撃が身体中を駆け回るように。

 それでもまだ死ねない。
 もう僕の心は死にたいの一心だった。
 走馬灯が見えてくる気がしたが見ることさえ許されないのか、もうそんな余力すらない。
 思考する脳機能が停止しているのだ。
 凄まじい痛みと痛み。
 実際は痛いとも言い難い。もはや感覚がないと言った方が分かりやすい、まさに地獄。
 校門の前で死んだのかそれともこれは夢又は幻覚なのか。
 もし校門の前で死んだならば無様が過ぎる結末、あのままあの女性に殺害され死亡は羞恥極まりない。

 まだ地獄のショータイムの続きがあるようだ。
 針を打ち込まれた後、周りの実験者たちは次の地獄を鼻を伸ばして待つ。数人のご満悦な顔、まるでメインディッシュを待つかのような盛り上がりを見せている。
 前菜、スープと来て次はメイン。
 フランスコース料理のセオリーを思わせるように焦らし、じわじわと痛みを炙り出される。
 予想は的中、私は実験台から落とされ、何かの容器に入れられる。容器の色や外観は目から血が出ているためわからないがとても狭い、容器は一瞬にしてヌルヌルした血で覆われた。ここで私は確信した。「現実ではない、これは悪い夢か地獄か何かだと」
 しかし、痛みは想像を絶するほどに現実的である。所々気絶しては起きるを繰り返していた。出来れば気絶していたかった。だがそれも許されないようだ。
 五感のうち半分が機能していないまま、ファラリスの雄牛に閉じ込められる。
 このファラリスの雄牛を知っているだろうか。古代ギリシア時代から伝わる。人を処刑する道具のことだ。
 蓋が閉められると空間は灼熱の間とかした。凄まじく熱い。
 しかし、この処刑道具、ただ熱して殺すためだけではないのだ。人ひとり入れる空間で苦しむ叫び声が容器の中であれば牛の鳴き声に聞こえる。いわゆる見せ物になる道具。
 私はそれに準じているわけではないが口を大きく開ける。激しい頭痛と共に稲荷は叫んだ。  
 しかし、叫ぶ事はできない。声帯は潰れたままだ。
身体が溶け出す。
 ファラリスの雄牛の中は1000℃に達する。
 すでに酷い有様である。皮膚はすでに爛れ、外の空気に触れている部位から燃焼されていく。
 目玉がピストルの勢いで前へ飛ぶ。
 片方ずつ数秒違いで剥離する。弾力のある目ではない。目玉は熱のせいで形状を保てずに液体となって辺りに飛び散る。余りにも酷な状況。
 オリバルは死へと向かった。

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