青色のノスタルジア5
「あの日だよな、俺の転機」
《DONNRsは同意しているようだ。》
オリバは懐かしそうに五年前のあの時をDONNERs と振り返った。
初々しい高校生活そしてDONNERSと出会った5年前を。
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5年前ー2010年7月10日ー
「はい、授業ー始めるよ」
若くて、如何にもサッカーしてましたって顔の数学の先生。
そして、少し面倒くさそうだ。先生もそんな時くらいある。
「気をつけ〜」
どこの中学校でもあるであろうこの挨拶がそれぞれの教室で響き渡る。
「お願いしまーす」
黒板には今回の内容が書かれている。生徒はそこそこ真面目に聞いているようだ。
なんだかざわつき始める。
そう、先生がテストの話をしているから。
中学生は千差万別な学力の人がいて差が出やすい。
それでもテストのスモールトークはやはり鉄板ネタ。
テストがやばいと先生の話によって更に駆り立てられる。
「あと一週間でテストじゃん」
「そうだな」
「勉強してる?」
「ん、あんまり」
こんな会話が四方八方から聞こえて来る。
流石に中3の夏ともなれば部活は終わり受験が本格的になる頃合いだ。
一般的には「受験シーズン」と呼ばれ、人生の分岐点の一つとも言われている。人生は選択の連続、中でも大きなものを指すようだ。
俺の名前は石田稲荷。生まれも育ちも日本。地方の中学校に通っている。
中学3年生だ。
長くサッカーをやってるもののいつもスタメンを取れる訳でもない。性格は至って真面目。
そして奥手で非モテである。趣味は特に無いが筋トレは好きだ。
まあ、俺は凡人、人並みの学力と体力。
進学はそこそこの高校に進学出来れば良いかとか思っている。
今、話し相手になっている俺の前に座っているのは榎本宗二だ。2年半前の入学式の時に出会ってから結構親しい仲だ。
「昨日のあのニュースみた?」
昨日は塾に行ったあとすぐに寝たのでニュースは見ていない。
「見てないな」
黒板に背を向けながら宗二の机に肘を突きながら答える。
「えー」
そんなに凄いニュースだったのだろうか
「どんなニュースなの?」
「アメリカでの大爆発だよ」
アメリカで爆発?場所はどこだろうか。
あいにく稲荷の視野は広くないので別に日本で住む分には関係ない話しだ。
と感じてならない。
「まあ、俺らには関係ないだろ」
アメリカと聞くと日本人からすると何故か少しカッコいい。そんな日本人の環境感性が働く。
5時間目の授業が終わり、帰宅しようと帰りの準備をする。教室にいるのは部活に行く人、帰宅をする人など様々だ。
放課後はとても騒がしい。とても中学校らしい場感だ。
友達と帰ろうと思ったが自分は日直で何やら面倒臭そうな仕事が待っていたので友達を先に帰らせた。
「さて、やるかー」
日誌や教室の整備など色んな仕事があったがやり終えた。最後に先生の所へ行って終了だ。
「ありがとな、石田」
「あ、先生、月曜日は休みですよね」
「ああ、しっかり勉強しろよ」
俺に念を押してくるように言った。
「はい。頑張ります」
ーさて、俺も帰るかー
少し遅くなり、全部活が始まった頃に僕は昇降口を出て正門を出た。
最近はサッカーに飽きてきている気がする。数年間もやっていたら飽きる。
「うあ、あちー」
鋭い日差しが稲荷を照りつける。今日はいつもよりも一層気温が高く感じる。出かける前に天気予報士のお姉さんが言っていたとうりだ。
「君、石田稲荷?」
とても柔らかい女性の声が聞こえた。その声がこんな暑さも吹き飛ばしてくれる。
正門前で何か用事でもあるのか。
何か落としたと思わせるように地面を見ながら少し覗き見るように視点を左に寄せ、チラッと声のした方を見てみた。
そこには誰もいなかったし何も落としてもいなかった。
前を向いた瞬間。
その間、瞬き一回分。
黒いフード付きのマントを被り、全身黒で覆われた服を着た人間が立っている。
背丈は稲荷の肩よりも高いくらいだろうか。お互いの距離は一歩分もない。
「君は選ばれた」
何だこいつ。厨二病かよ。さっきと同じ声だ。移動すんの速すぎだろ。
「私は厨二病なんかじゃないよ」
え、今俺の心を読んだのかってわけないよな、だってここ現代だしーそんなのアニメの世界だよね(笑)
「君、アニメ好き?」
コイツまじモンの魔法使いかなんかか?稲荷は幼稚な考えに至るほどに困惑していたのだ。相手の顔が見えない。
さっきの美声の女の子に似てる声だった気もしなくもない。
最近、休憩時間はアニメやらゲームやらをひたすら見てる自分にとって興奮するシチュエーション。今年の夏アニメが始まりとてもウキウキしてる。中学生にしてかなりのオタク気質。
「石田くんさー才能あるよ。色んなことの」
そう言って、稲荷のことを煽り立てる。
「まあ、一緒に来てもらうよ」
そう言って、彼女は僕の額に人差し指を当てた。
だんだん稲荷の思考回路がバグってくる。
視界の並行が保てなくなり三半規管が機能しなくなったのか、視界が反転する。
上下真逆さまだ。激しい眩暈に襲われ立つことが困難な状態。
何をされたか理解できない。
ー何だ?目眩?いや、死ぬのか?
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