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消費者センターにお世話になった話

大学3年生のとき、消費者センターにお世話になったことがある。

当時、就活真っ最中、全然企業研究も履歴書も書かない、キャリアセンターも使わない、そんなもん結果出るわけがない。親に尻を叩かれてようやっとやってるような状態。
しかし、やはりお祈りメールがくると落ち込むわけで。

ある日、何かの用事で名古屋駅を歩いてたときに、若めのちゃらいお兄さんに声掛けられた。格安でエステが受けられるという話だった。そのまま歩いて小ぢんまりとしたエステサロンに案内され、アンケートを書き、初回の施術を受けた。
よくよく考えればそこでなんとなくの違和感を感じてたのだから2回目以降はブッチすれば良かったのだが、予約した以上来なければいけないという、「ねばならぬ」精神を発揮してしまったのだ。

そこから4,5回ほど施術を受けたあたりで、院長らしき人とお話をした。肌の毛穴が気になるよね、それに効く注射があるんだよね、みたいな内容だった。
時計もない、狭い部屋にまあまあ長時間拘束されてると人は判断力が鈍るらしい。要は疲れるからNOというのが面倒になるのだ。
やはりなんとなく書類にサインを書いて、控えをもらって帰った。

実は格安なんて嘘でまあまあ金額を支払っていた。なので、どうにかバイトを増やせないか、というかどうやってお金を工面しようかばかり考えるようになっていた。その矢先に美容注射の話だ。さて困った。

ある日学校から帰ってきたら母親から何なのこれは、と静かな怒りでもって問われた。美容注射の控えを見つけられたのだ。そのままの内容の話をしたら怒りながら泣き始めた。
肌に針を入れるんか、ボコボコになったらどうするんだ、大体、そのお金はどうするつもりだったのか、などなど。 

抵抗したがそのまま消費者センターに連れて行かれた。
そこでの対応が忘れられない。

え、この薬飲んだら脂肪燃えてるわーって思ったの?なんでそんなのに引っかかったの?

20歳超えたら成人とか言われてたけど、学生の身なのでやはり子どものまま。子どもだったけど、馬鹿にされてるのは言葉や声の調子でなんとなく感じた。

母親に半強制的にストップ掛けられたこの騒動。なぜこんな事態になったのか。

就活がうまくいかない、容姿にも自信がない。エステを受けて痩せてきれいになれば自信がつくと思ったのだ。私は自信がほしかった。

自信は今もぶっちゃけない。何者でもない己が、何か出来るはずなのに何もしていない己が、恥ずかしくてたまらない。

押し込めてる何かは、こうして文章にするしか私にはできない。


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