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とにかく”いつも通り"

書きたい事は前回のnoteで書いたので、今回は少し個人的なことを書いていきたいと思います。

ニュージーランドでのコンテストに出場すると決まってからの指揮者河野一之としての目標はバンドにおけるスタンダードの向上と、そのスタンダードをいかなる状況下でも出してもらえるようなリハーサルでした。

Immortal Brass Eternallyは素晴らしいバンドです。しかし、なにぶんコンテスト初挑戦のメンバーも多い、さらに異国での挑戦という事で、そんな彼らが積んでくれた研鑽が望み通り出るようなリハーサル、ゲネプロを心がけてきました。

簡単に、そして具体的に書くと、

異国のコンテストでしないことはせず、することのみをするです。

僕自身、今回のコンテストは全て初体験でした。というのも、大変ありがたいことにベース奏者(Tuba player)としては英国留学の初めに所属させてもらったTongwynlais Temperance band、そしてその後に所属させてもらったCory Bandでは欧州での各種コンテストへの出場、優勝、そして豪州での素晴らしい豪州横断ツアーをチューバ奏者として体験させて頂きました。

でも今回は指揮者

コンテストで振ったことがない自分、不安な自分が出てきます。

でもそういう中でこれまで研究をしてきたフィジカル、メンタル的ないくつもの要素で今回ベストを導き出すことができました。

今回はそれを、指揮者としての自分の体験談を親愛なる読者の皆様にシェアさせて頂きます。

とにかくいつも通り

もし、母国でいつも通りの結果を残すような素晴らしい音楽家であった場合、どこに行ってもとにかく「いつも通り」、自分のペースを守ることが大事です。

海外遠征が決まった途端、色々なことが起きます。全て不確定要素ばかりです。

ですが、日本を出る時も、海外で闘う時もとにかくいつもの自分のルーティンを守ります。(ルーティーンは人それぞれあるので作ってください、ここがブレると不確定要素が増えます)

今回河野はとにかく、本当に自由にさせてもらいました。

そもそも"みんなで"という事が苦手なゆえに音楽家という職業があっていたというのが一つの理由なのですが、海外のコンテストにバンドと共に出場するとなるとどうしても団体行動が必要になります。

しかし、自分のルーティンというのもあります。

なので単独行動、自分のルーティン作りなど本当に自由にさせてもらいました。

今回僕が僕自身の実力を発揮できたのはバンドの皆様のご配慮のおかげなのです。本当に感謝しています、ありがとうございました!

そして、コンテストやその準備です。

僕たちになにが必要かというと、

必要な時に必要な演奏をする

ということです。

これは脳科学的に証明されているので方法があります。

とにかくどんな時も「いざそれをする時に本番と同じようにする」ということです。

逆に書けば、コンテストでしないことは練習やリハーサルでもしないということです。

今回このコンテストのためにバンドと数えきれない時間を過ごしてきました。

そのどのリハーサルでも適当に振ったり、アドバイスをさせてもらった事はありません。

全て「本番でしたい演奏をするためのリハ」を意識して指揮を振り、アドバイスをさせて頂きました。

それはニュージーランド、オークランドについても同じで、いつでもなるべく本番と同じような雰囲気、環境を心がけて振らせてもらいましました。

時にそれが怖いと言われようと、全ては結果のためです。

バンドが素晴らしいのはもとよりですが、少しだけ自信をもって言えるのはこういうリハを続けてきたから大舞台でバンドのベストが出たかなと思い返します。

僕はいつも結果を大事にしたいです。頑張りとか経過というのもとても素晴らしいものですが、音大をでて留学をし、英国音楽大学院、世界一位のコーリーバンド、そして帰国してからの音楽家としての生活

全て、あなたはこれだけ頑張ってたもんね!という経過なんか全く関係なく、プロの世界は

結果

が全てです。

でなければ稼げず、食えずになるからです。牛丼屋に行ってどれだけ頑張って牛丼を作ったと言われても美味しくなければ誰も2度と行かないのと同じです。

そういった中で、今回我々の結果は7バンド中4位でした。

正直とても悔しい思いもありますが、我々のベストが出ての結果ですので良しとします。

昔とある先生に教えて頂いた

河野、2位を目指してたら優勝なんかできないよ。一位を目指さなくちゃ

この教えの通り、いつでも自分の今置かれている立場からベストを尽くす

これがとても大事だなと思います。

本番を想定していない練習、リハーサルなど本当に無駄で、観客であろうと審査委員であろうと、聞いてくださる方々のことを思ってさらうことが本当に大事なのです。

やはり、いつも通り、練習のための練習、リハーサルではなく、本番のための練習やリハーサルが必要です。

河野一之(Kazuyuki Kouno)

洗足学園音楽大学、英国王立ウェールズ音楽歌劇大学院(PGDip)を修了。
Buffet Crampon Besson並びにMercer & Barker社アーティスト。
Nexus Brass Band、 Riverside British Brass、Immortal Brass Eternally 常任指揮者。 東京ブラスバンド祭マスバンド総括。河野企画代表。日本ブラスバンド指導者協会理事。

サポートして頂いた支援は全て金管楽器や金管バンドの奏法の研究、音楽を使ったエンターテイメントの発展に使用させていただきます。