自分がやりたいことと世界が望むものは違うみたい
先日友人と話をしていて教えてもらった。
「君たち音楽家が、”よっしゃ!これは売れるわ!”と思うことほど売れないよ」
正直びっくりしたし、経験がある分とても笑えた。確かにその通りである。
自覚はやっと少し付いてきたけど、元を正せば、好きという気持ちと、いろんな意味で”普通”ではないから音楽の道を志したわけである。
専門の大学や大学院にも通わせてもらって、同じ種類の楽器(Tuba)もかれこれ20年も演奏し続けている。毎日毎日数時間も練習しているし、黒いおたまじゃくしが書いてあるだけの紙を何時間と眺めていることさえある。
変人だ、いかれてる
そんな変人たちが「これは世間にウケるぞ!」と息巻き、ドヤ顔で発信したものはその世界の潮流とは最初からかけ離れている、そのためこけるのである。
大変残念な話だけど、マリー・アントワネットに小麦粉の流通のさせ方を解かせるのに似ているかもしれない。我々はただの変人であるが
変人道を突き抜けていつかくるかもしれないホームランを狙うか、ホームランの打ち方やホームランとは何かを研究しそこへ変人力を突っ込んでいくかを今試されている。
今現在”個”の社会となってきて、これまでは団体に所属したりオーケストラに入ることでその存在を守ってきた音楽家であるがインターネットの普及によりこれまで誰かがやってくれていたことが全て自分でできるようになってきた。
その分世の中の音楽家人口は増えたであろう。
そのためライバルがこれまでだったら音楽家同士でコンクールなどで戦えばよかったものの、今では専門教育を受けたのではなく独学や独特のセンスを持った専門教育を受けていない人々が台頭してきた。
Youtubeやニコニコ動画である。
裾野が広がった分、ただ音楽の専門教育を受けただけではもう通用しないのである。
音楽、とりわけ専門教育で習うクラシックやコンサート会場で行うような音楽の土壌は飽和状態だ。
楽器が上手い、クラシックの知識がある。はすでにRed Ocean
Blue Ocean、つまり飽和状態ではない競合相手が少ない世界に行くには2つしかし
その楽器がうまかったり知識がある中で1位を取るか
他のモノと掛け合わせて自分しか持っていない唯一無二のもので勝負をする
この2つだ。
僕がなぜ金管バンドの専門家をしながら生計を建てられていたかはここに由来する。
僕の肩書きは
チューバ奏者、指揮者、英語通訳、金管バンド専門家、企画&運営
である。チューバ奏者、指揮者とかそれぞれで1位はたくさんいる。
でもチューバ奏者×指揮者×英語=あまり多くない。
さらにチューバ奏者×指揮者×英語×金管バンド専門家×企画&運営=これはきっと世界中で僕だけ。
だからプロとしてできた。僕よりもうまいチューバ奏者なんてごまんといるし、指揮者だってそう、通訳だって企画運営だってそう
でも並行してやってるのは僕だけ
そして話は戻るけど、そんな風に考えている僕でさえ世間の需要とはかけ離れている。本気で考え出したのはつい最近
これまでは自分が好きなことをやっていれば需要は追いついてくると思っていた。
でもそうではなかった。
なので、自分の好きなことをやり続けるために、より多くの人に好きになってもらうために、まずは需要を勉強しなくてはならないと思う。
ビールが好きで、おいしいよ!ビール飲むと楽しいよ!ばかり言っていてもビールは売れない
例えば
・ビールと合う食事を提案
・ビールが飲める場を提案(ビアホール)
・飲みたくなりそうな宣伝を提案(有名人を起用)
・いろんな種類のビールを提案、また飲み方の提案
・スポーツ観戦にはバーでビールなどイメージ戦略
など僕たち音楽家が全く考えていないことをすでに社会がお手本を示してくれている。
わかってくれる人だけわかってくれればいいならそれで良し。でも僕はより多くの人に、またそんな人々がより深く”僕の好きなこと”を知って一緒に好きになってもらいたいし、いかに僕の好きな音楽がすごいかっていうことも知ってもらいたい
だから勉強を続ける。知らないことを知るのは楽しいし、すっごく刺激的だしね
人生をかけた大きなゲーム盤にいるようだよ
今日はそんなお話。
ご読了ありがとうございました。
Japan United Brass Project
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