最近ミニバスの試合を観戦していて、アンスポーツマンライクファウル(通称アンスポ)が吹かれていたが、それに対してベンチからクレームが入っていたケースを見ました。
ベンチに座っていたのは上級審判員(D級)の方だったので、終わってから何を話していたのかを聞いたのですが、「クレームではない。どのクライテリアを適用したのかを確認していた」とのこと。
いや、それクレームですから。
そんなわけで、アンスポについて改めて確認してみました。
4つのクライテリア
クライテリアってなんやねん、って言うことですが、日本語で言うと「判定基準」ってことらしいです。
競技規則には「クライテリア」という言葉は出てきませんが、プレーコーリングガイドラインの方にもう少し解説込みで書いてくれていますのでそちらも見ておくのが良いです。
これ、個人的には③が新鮮でした。
昔は「インテンショナル・ファウル」という名前だったので、インテンショナル(意図的な、故意の)な意味があったはずなのですが、今は故意かどうかは関係ないんですね。
具体的に判定基準を見てみましょう。
クライテリア1(C1)
簡単に言うと、「正しくバスケットのプレーをしていたら起こりえないような悪質なファウルはダメよ」、ということです。
ボールに向かわず人を捕まえるとか、ユニフォームをつかむとか、そういうやつです。
クライテリア2(C2)
これは「激しすぎるファウルはダメよ」ということですね。
こういってしまうと簡単ですが、どこまでが激しいかどうか、というのを細かく規定しています。
たまにいますが、肘を振ったらダメです。
面白いと思ったのは、フェイクに引っかかって飛んだあと、「どうせファウルになるから思いっきりファウルしよう」ってのはダメ、ってこと。これは知りませんでした。
クライテリア3(C3)
これが一番基準が曖昧だと思います。
「ディフェンスの努力をせずに邪魔をするだけの行為はダメよ」、ということでしょうか。
速攻時にファウルして止めてやれ、っていうときが一番シチュエーションとして多そうです。
また、ファウルゲーム(試合の終盤で時間を使わせないため負けているチームがあえてファウルしてフリースローが外れることを願う戦略)の際にボールではなく、人にファウルをするとこれが適用されます。
クライテリア4(C4)
「速攻で一番前の人に後ろ・横からファウルしたらダメよ」、ということです。
これは2023年に少し変更になったところですが、今までは、③がもう少し厳しくて、オープンにパスが出されてボールをコントロールできていない状態であっても、そのパスが通れば明らかに速攻で得点、という場合の不当なファウルはアンスポになります。
なくなったもの(クライテリア5)
2023年の改定でC5がなくなりました。
2022年までのC5は、
第4クォーターや各オーバータイムで、ゲームクロック2:00あるいはそれ以下が表示されている状態でアウトオブバウンズからスローインを行うときに、またボールが審判あるいはスローインを行うプレーヤーの手にある間に、コート上のディフェンスのプレーヤーが相手プレーヤーに起こす不当な触れ合い、というものでした。
これはちょっと厳しすぎるよね、ということでこのシチュエーションでのファウルをアンスポと判定せず、スローインファウルとしてフリースロー1本で攻撃権はそのまま与えられるということになりました。
スローインファイルでフリースロー1本というのは今までにない判定なのでまだ知らない人が多い気がします。
なお、アンスポをすると、
・フリースロー2本かつスローインボールが相手に与えられる
・アンスポを2個すると退場
が与えられるのでバスケットの中ではかなり重い罰則になります。
注意しましょう。
初級審判はアンスポをコールできるのか?
初級審判(E級)にとってはアンスポのコールはとても勇気がいります。
罰則が重いので通常のパーソナルファウルと違って試合に与える影響が大きいからです。エキサイトしてきた試合の終盤で起こりがち、ということもあります。
正当なバスケットのプレーじゃないってどういうこと?(C1)
激しい接触ってどれぐらいやったらアウト?(C2)
ディフェンスしようと努力してないって言っても努力なんて見えないし。。。(C3)
速攻でファウルがあったけどこれは前から?横から?(C4)
などなど。
勇気がいる、と書きましたが、これをコールするために必要なことは、勇気でも度胸でもなく、「知識」だと思います。
通常のファウルも同じなのですが、
「なぜこれを吹いたのかを説明できること」
これにつきます。
クライテリアをしっかりと理解して、「これはC2と判定したから吹いた」と説明できれば、文句を言われても毅然と対応できます。
人間なので見間違えることもあるのですが、文句を言う方も見間違えている可能性があるので、実はそこは文句を言う方も自信はありません。
なので、「自分にはこう見えたからそう判定した」と説明できれば案外あっさり引き下がります。ベンチで文句を言っている人もクライテリアの内容まできちんと説明できる人はいないので。
ルールブックをしっかり読んで知識を身に着けて自信を持ってコールしましょう。
<参考動画>