バスケは5人でやるスポーツではない、という話
NBA的な、シックスマンが大事だ、とかベンチメンバーも含めて全員で戦っているのだ、とかそういう話ではなく、ミニバスにおけるルールの話です。少なくとも指導者は正確に理解しておかねばなりません。
バスケの試合成立人数
当たり前のことですが、バスケでチーム内で同時にコートに立てるのは5人までです。
試合開始時点に5人そろっていないと試合不成立で負けになります。
中学や高校の部活でバスケをやっていた人にはあまり想像できないかもしれませんが、社会人のチームだと人数がそろわず5人ギリギリで試合に臨んだり、試合開始に5人そろわず不戦敗になったりというのがごく稀にあります。
ちなみに、試合が開始してしまえば、怪我や5ファールでの退場でプレーヤーが4人以下になっても試合は続行できますが、1人になったら負けです。
1人だとスローインができないからですね。
ということで、最低5人いれば試合はできるのですが、これは中学(U15カテゴリー)以上の話です。
ミニバス(U12カテゴリー)は5人では試合が成立しません。
ミニバスでは基本的には10人以上(条件付きで8人、9人でも可)出場しなければならないというルールがあります。
ミニバスは5人では試合ができない
なぜミニバスだけ出場人数の規定が異なるのか。
小学生の場合、体の発育によって実力差が大きく出てしまうので、例えば身長の高いエースプレーヤーが一人いるだけでゲームが全く違うものになります。極端な話、試合に勝つことだけを考えば、そのエースプレーヤーだけが攻め続ければよい、ということが良く起こります。
そうでなくとも、基本的には、一番強い5人が出続けた方が強いため、何十人も部員がいても5人だけしか試合に出れない、ということになります。
それも勝負の世界なので仕方ない、という意見もあるとは思いますが、ミニバスはあくまでも育成・教育という観点が大事なので、できるだけ多くの選手が出場できるようにするため、基本的には1試合で10人以上出場しないといけない、というルールになっています。
出場人数についての条件
この出場人数については、ミニバスの世界では常識ですが、ミニバスをやっていない人には意外と知られていないルールです。
ポイントは、
①10人以上いないとダメ
②3Qまでに10人出さないとダメ
③1~3Q全部に出場するのはダメ
ということです。③は②を守っていたら達成できるのですが、その後に続く例外の規定があるため、実は重要な内容です。
これは、少子化によるプレーヤーの減少で10人の人数が確保できないチームのための救済措置として追加されたルールです。
じゃあ何で5人以上でOKとしなかったのかというと、強い5人がずっと出続けるのが一番いいということで、意図的にエントリー(競技登録)を5人しかしないチームが出てくるのを防ぐためです。
なので、「プレーヤーは第3クォーターまでに続けて3クォーター出場してはならない。」という条文が重要になります。これを満たすには8人以上いないと成立しないのです。
この場合でも、10人よりも8人で出た方が強い可能性があるので、意図的にエントリー数を少なくして8人で出ようするチームは排除できないのですが、2019年から
という条文が追加されたことで、ギリギリの8人しかいないと、怪我やファールアウトで退場してしまうと条件を満たせず負けになるため、エントリー数を意図的に減らす、という選択肢が非常にリスクの高いものになりました。
ミニバスにおける交代の正しい理解
もう一つ、ミニバスの出場者に関する特別なルールの一つに、交代に関するものがあります。
つまり、1Q~3QまではQの途中に交代させることができない、というものです。4Qは普通の試合と同じように交代が可能です。
なんでこんなルールにしたかというと、10人出場のルールがあるためで、例えば1Qの最後(あるいは最初)の10秒だけ出場させて出場規定をクリアさせる、ということを防ぐためです。
ルールの概念としては合計〇分以上出場としてもいいはずですが、時間で管理するのはTO(テーブルオフィシャル)が対応できないので、Q内で交代ができないルールにしたと推察されます。
ただし、これにも例外があり、
やむをえず、というのは怪我やファールアウトの場合のことで、怪我やファールアウトの場合はQ内でも交代が可能で、かつ、交代した選手は両方とも出場カウントになる、ということになります。
これを悪意をもって利用するとすれば、1Qの最後の数秒でわざと怪我をしたふりをして交代して出場Qを稼ぐ、ということも考えられるのですが、そんな指導をするコーチがいたとすれば追放する、というのもルールに付け加えておいた方がいいですね。
交代についてルール改訂を求む
上記のような交代は論外なのですが、この3Qまでは交代できない、というルールは何とかならないかな、と個人的には思っています。
なぜかというと、Q内で交代ができない、というルールがあるため、どんなにリードを広げていても、途中でメンバーを落とす、ということがしづらく、結果として普段試合に出ていないメンバーが出れるのは何かあったときに元に戻せる4Qだけ、ということになるからです。
意図的に出場時間を減らす(ちょっとだけ出す)交代を避けつつ、でもできるだけ多くの選手が試合に出れるルールになればいいなと思います。
例えば、
「10人を超えて出場する選手は、第3クォーターまでであっても交代できる。その場合、交代させる選手はそれまでに1クォーター以上出場していることを条件とする。」
とか
「1クォーター以上フル出場した選手は、第3クォーターまでであっても途中で交代することが可能」
みたいなことでどうでしょうか。
誰に言ったらいいんだろう。。。
補足
ふと気になったのですが、
という条文と、
という条文が一見矛盾しているように見えます。
正確に解釈しようとすると、基本的には4人でプレーしてもいいけど、それが第3Qまでの出場条件を満たすための行為であってはいけない、ということですね。そうでなければわざわざ人数がいるのに4人でプレーする必要がないので、審判としては「交代を出しなさい」ということができるということだと思います。
4人以下でもOKのルールがミニバスでも残っているのは、第4Qで大量に退場者が出た場合に適用されるということだと思いますが、8人以上はいるはずなのでそんな事態はまあおこらないですね。
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