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意外と知らないフリースローの歴史。「スリー・フォー・ツー」って知ってました?(後編)

ふとしたことで調べ始めたフリースローの歴史ですが、期せずしてバスケットの歴史を振り返るよい機会となりました。

前編では「スリー・フォー・ツー」という幻のルールが登場した1977年までを振り返りました。

ここからは私が生まれてからの話です。

1981(昭和56)年

フリースローになるチームファウルが10個から8個に変更になりました。

1チームの各ハーフにおけるプレーヤー・ファウルが8回を越えたあとは、相手に2個のフリースローを与える「エイト・ファウル・ルー ル」が 設けられ罰が一層重くなった。

NPO法人日本バスケットボール振興会 ルールの変遷Ⅰ

この時まだバスケットを始めていないはず私がなぜ覚えているのか定かではないのですが、確かに7ファウルになる前は8ファウルだったと記憶しています。

1985(昭和 60)年

この年は、スリーポイントラインが登場するなど、ルールに大きな変化があった年でした。40代のおじさんバスケットマンにはこの辺のルールからがなじみのあるものかと思います。
国際大会の都合でここから6年間ルール変更がなかったので、比較的長くこのルールで運用がされていました。

※私がバスケットボールを始めたのも1989年からなのでこのルールが最初でした。

・コート上に「スリー・ポイント・ライン」がえがかれ、その外側から ショットを成功させれば 3 点が認められることになった。これに伴い、 スリー・ポイント・ショットをファウルで妨害されたときは 3 個のフ リースローが与えられることになった。

・ チーム・ファウルの罰則(シューターに対するファウルでなくても相 手にフリースローが与えられる)が適用される 1 チームの各ハーフに おけるプレイヤー・ファウルの数が、8 回から 7 回に変更されて「セブン・ファウル・ルール」になり、ファウルの抑止が強調された。ま た、この場合に2個与えられていたフリースローは、1投目が成功したら2投目が与えられる「ワン・エンド・ワン」に変更された。

・2 個のフリースローが与えられて、そのいずれかまたは両方のフリースローが不成功だったときに 3 個目のフリースローが与えられる「ス リー・フォー・ツー」のルールは廃止された

・インテンショナル・ファウルの罰則がそれまでの2個のフリースローから、2個のフリースローのあとシューター側のチームにセンター・ ラインのアウトでスロー・インのボールが与えられることになり、罰が一層重くなった。ディスクォリファイング・ファウルに対しても同じ罰則が適用される。

・コーチのテクニカル・ファウルがあったときに相手チームに与えられるフリースローが1個から 2個に変更された。

NPO法人日本バスケットボール振興会 ルールの変遷Ⅱ

「スリー・フォー・ツー」は8年で終了し、「ワン・エンド・ワン」が復活。チームファウルは8個⇒7個に。
スリーフォーツーの廃止にはおそらくですが、3ポイントシュートの登場が影響していそうです。

インテンショナル・ファウル(現在のアンスポーツマンライクファウル)やテクニカルファウルでのフリースローの規定も少しずつ変わっています。

1991(平成3)年

スラムダンクの連載が1990-1996年なので、ちょうどそのころのルールです。

・2個、3 個またはワン・エンド・ワンのフリースローを与えられたチ ームが、フリースローをせずにセンター・ラインのアウトからのスロ ー・インを選べる「選択の権利」が廃止され、与えられたフリースロ ーは必ず行わなければならないことになった。

・ 1 人の相手に複数のプレイヤーがほとんど同時にファウルをしてそ れぞれにファウルが記録される「マルティプル・ファウル」の規定は 廃止された。このような場合には審判が先に起こったファウルを決め、 そのファウルの処置でゲームを再開する。

・同じデッドの間にいくつものファウルが起こったときに同じチーム に与えられるフリースローの数を制限する基準になっていた「プレイ・フェイズ」という考え方が廃止され、ファウルが起こった順にフリースローが与えられることになった。両チームにフリースロー が与えられる場合には等しい重さの罰則を相殺し、残ったフリース ローをしてゲームを再開する。

・フリースローのときにレーンに沿ってリバウンドに備えるプレイヤ ーは決められた位置に入る両チーム3人ずつの6人だけとし、その6人はボールがシューターの手から離れたらレーンに踏み込んでもよいことになった。

NPO法人日本バスケットボール振興会 ルールの変遷Ⅱ

「フリースローの放棄」の廃止、「マルティプル・ファウル」の廃止など、いくつかの大きな変更がありました。また、「相殺」という考えが出てきたのもこのころからです。(※ここで初めて出てくる「プレイ・フェイズ」という考え方がちょっと不明なのですが・・・)

余談ですが、ボールがシューターから手を離れたらレーンに踏み込んでもよい、というのもこの時にできたルールだったようですが、当時小学生だった私はルール変更が良くわかっておらず、しばらくの間、リングに当たってからじゃないと動いてはいけない、と勘違いしていた記憶があります。

1995(平成7)年

復活した「ワン・エンド・ワン」も10年で廃止され、2スローに変更され、現在の形になります。

・チーム・ファウル(セブン・ファウル・ルール)の罰則が「ワン・エ ンド・ワン」から「2個のフリースロー」に再度変更された。

・フリースローのときにレーンに沿って並ぶプレイヤーはシューター側2人まで、相手側3人までになった。

NPO法人日本バスケットボール振興会 ルールの変遷Ⅱ

これも余談ですが、この年に初めて「アリウープダンク」がルール上認められるようになっています。が、その前にもスラムダンクでは普通に「アリウープダンク」をしているシーンが描かれています。

おそらく、NBAなどでエンターテインメントとして事実上認められていたプレーを明文化したのがこの年、ということなんだと思います。

2001(平成13)年

最後に大きなルールの変更があったのがこの年。
・前・後半制⇒4クォーター制
・30秒ルール⇒24秒ルール

とようやく現在のバスケットのルールになっています。
もう20年以上前なんですね。
今スラムダンクを読むと違和感を感じるのはこの変更があったためです。

相手チームに 2 個のフリースローが与えられていたプレイヤーのテクニカル・ファウルに対する罰則は、1 個のフリースローが与えられ、さらにスロー・インのボールが与えられることになった。

NPO法人日本バスケットボール振興会 ルールの変遷Ⅱ

フリースローに関する変更はテクニカルファウルに関するものだけ。

現在のルール


これ以降は明確な資料がなかったので変遷については記憶を頼りにするしかないのですが、フリースローに関するルールは最近までほぼ変更はなかったと思います。
(テクニカルファウルの措置としてスローインボールを与えられなくなったとかはありますが)

そんな中、2023年に一つの新しいフリースローに関するルールができました。

第 4 クォーターや各オーバータイムで、ゲームクロックに 2:00 あるいはそれ以下が表示されている状態で、スローインを行うプレーヤーの手からボールが離れる前に起きたディフェンスファウルに関する変更です。 これまではアンスポーツマンライクファウルが宣せられていましたが、今回の変更によりパーソナルファウルとして扱う事となり、その罰則として 1 本のフリースローがファウルをされたプレーヤーに与えられ、ゲームはファウルが起きた場所に最も近い位置から ファウルをされたチームのスローインで再開されることになります。

2022 FIBA バスケットボール競技規則 変更点サマリー

スローインファウル時に与えられる新しいフリースローの形なので、これまでの歴史の中で見てもちょっと大きな変更ですね。
歴史を振り返った後にこのルール変更を見るとちょっと感慨深いです。


ということで、ルールの変遷を振り返ってみたのですが、ルールの中で一番変更回数が多かったのがフリースローではないかと思います。

たかが1点、されど1点。
1点が勝敗を分けるバスケットなのでフリースローの大事さを忘れずにプレーしたいですね。

※本内容はNPO法人日本バスケットボール振興会の資料を基に構成しています。
http://jbbs.jp/?page_id=24


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