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旅の写真は帰ってからのお楽しみ

旅でのこだわり。
それは、撮った写真をすぐに確認しないことです。
写真の仕上がりは帰ってからのお楽しみ。
このシンプルなルールが、旅をより楽しく思い出深いものにしてくれます。

旅先では「SNS映えする写真を撮りたい」という気持ちがつい先走ります。
でも、撮った写真をその場でチェックして何度も撮り直していると、せっかくの景色や旅先での非日常感にどっぷりと浸かる時間が失われてしまいます。 だから私は、撮影後はすぐにカメラをしまいます。 自分の目でしっかりと旅先の景色を見て感じることを大切にしたいのです。

そして、写真の確認を後回しにすることで生まれる失敗写真が旅の魅力でもあります。 ピントがずれていたり、手ぶれしていたり、意図しない光が入っていたり…

以前、旅先で撮った写真に、私の頭頂部だけが光っているものがありました。 室内の天井ライトがいたずらして、漫画のように頭がつるピカだったのです。
ちょうどその頃、年々薄くなる頭髪に悩んでいたので、後から写真を見て夫婦で大笑いしました。
その場で写真の出来をチェックしていたらきっと撮り直していたはずです。それだと奇跡のつるピカ写真は生まれませんでした。
夫婦で笑い合う時間もなかったのです。
こんな偶然があるからこそ失敗写真は面白い。

フィルムカメラの時代を思い出すと、現像するまで写真の仕上がりが分からないワクワク感がありました。

二十歳のとき、成人の祝いに両親がアメリカ一人旅をプレゼントしてくれました。 その時に持っていったカメラは「写ルンです」一つだけ。
当然ですがフィルムカメラは撮り直しができません。
たった27枚しか撮れないフィルムを大事に使いました。

二十歳の旅が終わり、フィルムを現像するといくつかは失敗写真。
勇気を出して道行くアメリカ人に話しかけて、撮ってもらった写真はピンボケ。チャイニーズシアターにあるハリウッドスターの手形に手をついた写真の私は何ともアンニュイな表情。暗い室内で撮った写真はストロボで顔が白飛び・・・もしこの時代にSNSがあったら決して載せないような写真ばかりでしたが、歳をとって思い出に浸れるのはこういう写真かもしれません。
アルバムを開けば二十歳の記憶や、アメリカの匂いが思い出されます。

両親がくれた二十歳の旅で生まれた失敗写真は、私の生涯にわたって架かる美しい思い出となりました。

騙されたと思って、次の旅では「写真は家に帰ってからのお楽しみ」を試してみてください。
旅の帰りに「あの場所で撮った写真、どんな仕上がりかな」と想像するのも楽しいですよ。

さて、次の旅ではどんな失敗写真が撮れるでしょうか。

#私のこだわり旅 #写真

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