【11巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る
こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは11巻の振り返り記事となります。
10巻までの記事はこちらから👇
記事は以下のフォーマットで進めていきます。
・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク
多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。
【11巻】現状を思い知らされた隆子と練VS真理が残した呪縛
11巻の表紙は田上繭(たがみまゆ)です。繭は真理と同じ年代の黒曜谷のOGであり、全日本に選ばれています。
練は学に別れを告げられないまま、全日本の招集メンバーに選抜されます。全日本の練習において、練と隆子は自分たちの実力が現段階では圧倒的に不足していることを体感します。
『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)11巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て11巻より引用しています)
繭が生きている理由を聞き、いまだに影響力のある真理の存在の大きさを改めて思い知る練。幸せを願うはずの四葉のクローバーのアクセサリーがまるで真理が残した呪縛のようにも見えます。
真理の死から時が止まってしまったかのようで、真理が望んでいない未来に進んでいます。そんな今を変えられるのは、姉を超える大きな試練を与えられた練。試練が大きいほど、強く、そして優しくなっていく練の今後の更なる成長が見込まれます。
心に響く名言
セリフではないのですが、手紙の文章を名言として選びました。
自身の不甲斐なさから学がバレーを辞めてしまうと思った練は、辛かったら辞めてもいいと予防線を張ります。それは虚ろな表情の学と、かつて同じようにバレーを諦めたチームメイトが重なったからです。
そんな学から、合宿中の練宛に手紙が届きました。
学が諦めないのは、バレーではありません。練です。練と関わり続けることを諦めないのです。
学にとって、バレーは手段であり、目的ではありません。いじめられていた学を救った練。学は1巻から練に対して変わらない想いを持ち続けています。それは、いつどんな状況でも練の味方であり続けること。
手紙に書かれていたのは文字数にして、たった12文字。しかし、その12文字が人を救うことがあるのです。
学の深い愛情と、練との絆を確認することができます。
注目のシーン
練が全日本の合宿に参加したことを気にしていたメンバーたち。物足りないと思われているのか、自分を責めているのではないかと議論を交わします。そんな中、志乃は練にはバレーを一緒にできなくなる恐怖心があることを説きます。
志乃は元々、自分のトスを打てないのはアタッカーの技術不足だと感じていました。言葉もトゲトゲしく、チームメイトとぶつかることも多々ありました。
そんな志乃が、かつてポジションを争った学に向けて優しい言葉をかける。こんなに志乃の成長を感じられるシーンはありません。
このシーンは特に、志乃と学の身長差が現れていると思うのですが、志乃がとても大きく見えます。
志乃が丸くなった理由は、コンバートで他のポジションを経験したことによることが大きいと思います。元々、志乃は努力家です。だから、誰よりも他人の努力が理解できる人なのです。学のひたむきさも志乃は感じ取っています。
志乃の成長がよくわかるこの場面を注目シーンにあげました。
過去作とのリンク
直接的な繋がりはないのですが、上述した「私は練さんをあきらめない」という手紙に込められた文章で思い出されたシーンが『極東学園天国』にあります。
残り時間が少ない学食争奪戦。体力の無駄だから「もう諦めろ」と言う山金(やまがね)に対して信号(しんご)が返します。
『新装版 極東学園天国』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻より引用
学と信号のセリフの共通点としては、どちらも諦めることが初めから選択肢にないことが言えます。リアリストな山金も、このセリフを受けて思わず笑みを浮かべます。
ある種のエゴとも取られかねない発言ですが、バカみたいに真っ直ぐで純粋であるがゆえに人の心を動かします。諦めない覚悟はもしかしたら人に伝播するのかもしれません。
と言うことで、11巻の振り返りはおしまい。
私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。
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