【9巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る
こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは9巻の振り返り記事となります。
8巻までの記事はこちらから👇
記事は以下のフォーマットで進めていきます。
・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク
多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。
【9巻】セッターで認められたい伊丹VSセッターで積み重ねてきた経験
この巻では、伊丹がセッターからリベロへとコンバートするよう告げられます。
『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)9巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て9巻より引用しています)
自分の好きなことで認められたい伊丹の気持ちに共感する人は多いと思います。
以前、2巻に登場する延友の心の声は、登場時から既に伊丹がリベロの才能を持ち合わせていたことを示しているのではという振り返り記事を書きました。
『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻167ページより引用
2巻の振り返り記事はこちらから
https://note.com/basil_k/n/n460c14f1dc3d
伊丹は皆が認めるほどの努力家です。だからこそ、小田切はセッターという自分に与えられた責任を理解し、他のメンバーも伊丹を支えます。
吹っ切れた訳ではないけれど、伊丹も小田切同様に自分の与えられたポジションを前向きに捉えられるようになりました。
伊丹には本当に多くの試練が降りかかりますが、だからこそ1巻から読み返すと一番成長を感じるのも伊丹です。
自分の我を通すことも多かった伊丹が、チームを支える側に回った転換点となりました。
心に響く名言
滋が自分の不甲斐なさから過呼吸になった小田切にかける言葉です。滋のセリフにはいつも、その人ができることしか言わないような安心感があります。このセリフもバレー部マネージャーとして小田切の成長を見てきたからこそでしょう。
セッターという大役を任され、甘えを捨てた小田切。人と真剣に関わるということは、人の人生や運命を変えることにもなることに気づきます。
意志は覚悟を生み、覚悟は行動を変えます。
自分の心の中にも刻み込みたい名言です。
注目のシーン
黒曜谷を辞めていったかつてのメンバー達との戦いに辛勝した響子たち。「私がいなくてもやっていけるの?」という発言の撤回を求めたサラ達を静止し、響子は許し、認め合うことを提案します。
お互いが先に進む為に、過ちは認め、許し合わないといけない。
きっと響子が許せるようになったのは、いつだって人の為に汗と涙を流す黒曜谷のメンバーたちの影響もあるのでしょう。彼女たちを過去の過ちに巻き込まないようにする為に、心のわだかまりを解放する道を選んだ。
一番辛い立場のはずの響子が許すことで、全員の憎しみを払拭することに成功したのです。
過去作とのリンク
『G戦場ヘブンズドア』の町蔵と鉄男が語る漫画の編集論。漫画家に必要なのは、絵が上手いという要因ではなく、新しい何かを生み出せる力。
それは、誰かに何かを伝えたいという意志のようなものではないでしょうか。『G戦場ヘブンズドア』だとリンクしているのはこの辺りかなと思います。
『G戦場ヘブンズドア 完全版』(日本橋ヨヲコ/小学館)1巻より引用
小田切も、セッターというポジションでメンバーの役に立ちたいという強い意志が、バレーの本質に繋がることを指し示していると思います。
と言うことで、9巻の振り返りはおしまい。
私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。
毎週火曜日に1巻ずつ記事をアップする予定ですので、よろしければフォローをお願いします!
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはお菓子に変換されます。(お菓子がないと死んでしまいます。)飽食の時代、餓死するかどうかの生殺与奪権はご覧いただいたあなたに委ねられています。