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【2巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る

こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは2巻の振り返り記事となります。

この企画は、実はこの2巻で注目しているシーンを書きたくて始めたところが大きいです。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

1巻の記事はこちら👇

記事は、以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか(少女ファイトというタイトルにちなんで)
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

今回の記事は結構なネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【2巻】小田切学vs与えられてばかりの自分

2巻では、先輩達の圧倒的なバレーに魅了された練が、バレーの楽しさに立ち返るシーンが描かれます。元々バレーの漫画を描きたくてマネージャーを志望していた小田切ですが、元気を取り戻した練に触発されバレー部への入部を決めます。

小田切はバレー初心者です。理解力は有りますが、運動神経も良い訳では有りません。周りに迷惑をかけていることを理解しながらも、今の自分にできるベストを考え、練習に励みます。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て2巻より引用しています)

練やチームメイトに与えられてばかりの自分が、与える側に回ろうと覚悟を決めた巻であると言えます。

小田切が与えられてばかりかと言うと、決してそうではありません。練と滋の誤解を解くきっかけを作ったのは紛れもなく小田切です。本人は感じていないかもしれませんが、小田切の功績はとてつもなく大きいです。

ちなみに、練の小田切に対する呼び方が、「学さん(棒読み)」から、

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「学」へと変わりました。二人の距離が縮まりましたね。

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心に響く名言

今回はあなたも絶対に小田切が好きになる名言と、気遣いと包容力にあふれたシーンを紹介します。

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まずは、このセリフ。練は自分の思い込みで物事を悪い方向に考えがちです。手触りがないものを信じないと言う自分の体験に基づいた考え方と、優しさにあふれた言い回しが最高ですよね。このセリフに練がどれだけ救われただろうか。

他にも名言ではないですが、小田切の気遣いが見られるシーンが多々あります。

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話を聞く為に話題をそらす小田切。

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練と滋を二人にして話し合う機会を作る小田切。自らを犠牲にしながら、ナオの不満も解消します。

周りのことを気遣い、練やチームにとって潤滑油のような存在である小田切。読み返せば読み返す程に、より一層好きになるキャラクターだと思います。

注目のシーン

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻167ページより引用

(分かりにくいと思うので、ページ数も書いておきました)

まず、「これのどこが注目のシーンやねん。」とツッコミたい気持ちをこらえて少し聞いて下さい。

注目のシーンに選んだ理由

このシーンは、1年生メンバーでの3対3の練習試合で登場します。私はこの試合自体が、伊丹が後にコンバートすることへの伏線であると思っています。そして、コンバートによる伊丹の辛さを少しでも救う為に、元からリベロの才能があったことを示唆するシーンなのだと思っているからです。

【伊丹のコンバートに関して】

ここで話は9巻の内容に変わります。少し先のネタバレになってしまいますが、伊丹は監督から、セッターからリベロへのコンバート(ポジションチェンジ)を命じられます。これは、セッターが下手とかではなく、チームの全体最適を考えた上でのコンバートです。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)9巻より引用

誰よりもセッターとして努力してきたけれども、自分のやりたい事で認めてもらえない辛さが心に響きます。

このコンバートは日本橋ヨヲコ先生の中で、2巻時点で既に決まっていたのだと思っています。(ほんとに主観なんで、違っていたらごめんなさい。誰かインタビューとか先生のコメントあったら教えてください。)

理由は、以下の3点により正セッターが小田切で決まっていたと考えると、しっくりくるからです。

1.現セッターである犬神鏡子が体質により長い時間試合に出られず、1年生メンバーがセッターとなる必要性があること
2.同じセッターだからこそ分かり合える部分も多い、小田切と式島ミチルのカップリング
3.陣内監督自身が背の低いセッターで、真理に負担をかけたことを後悔していること

注目のシーンに至るまでの流れ

ここからは、注目シーンに至るまでの流れをコマで説明します。(引用多くてすみません)

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伊丹はセッターという希望ポジションを自ら変更し、役割としてはリベロへとコンバートしています。

【伝えたかったこと】

リベロにとって重要なのは、いくつかあります。

・相手のサーブを受ける(レセプション)能力の高さ
・セッターがトスを上げやすいボールを返すこと
・鋭い洞察力と判断力

この試合だと、伊丹は延友と長谷川が疲弊している状況からセッターをおりる判断をします。そして、レセプションでセッターを動かすことなくキャッチし、延友のトスに繋げています。

つまり、伊丹は元々リベロという役割をきっちりこなすことのできる才能があったんです。そして、それは伊丹がセッターをやっていたからこそできる、伊丹にしかできないポジションです。

伊丹にとって、リベロというポジションは「好きな服」ではない。
でもそれは、試着していなかっただけの「好きになれた服」なんだ。

たった4文字の「お うめー」と言う心の声。でも、それは、伊丹のコンバートの辛さが報われるように配慮した、日本橋ヨヲコ先生の優しさのような気がします。

過去作とのリンク

1巻にも登場しましたが、遂に長谷川留弥子(はせがわ るみこ)がチームメイトとして加わりました。

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ルミコは前作『G戦場ヘヴンズドア』3巻に登場します。

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『G戦場ヘヴンズドア』(日本橋ヨヲコ/小学館)3巻より引用

当時のルミコはおそらく10歳なので、あどけなさが残る顔立ちです。身長はかなり伸びましたね。ルミコは、『G戦場ヘヴンズドア』のもう一人の主人公、鉄男の夢の結晶のような存在です。

詳細は語りませんが、前作『G戦場ヘヴンズドア』を未読の方がもし万が一(いや、億が一)いましたら、絶対に読んで下さい。ちなみに、前日譚が収録されている完全版の方を激推しします!

と言うことで、2巻の振り返りはおしまい。

推測で語ってしまいました。これぞまさに「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」案件かもしれません。間違っている箇所は訂正・削除しますので、何なりとコメント下さい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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