【4巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る
こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは4巻の振り返り記事となります。
3巻までの記事はこちらから👇
日本橋ヨヲコ先生の『少女ファイト』既刊17巻を、1巻ずつ振り返る記事を書いています。毎週火曜日にアップしています。
記事は以下のフォーマットで進めていきます。
・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク
多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。
【4巻】友達を作らないと決めた練vs信じることへの恐怖
池袋ガールズベッドバレーの件が一段落しましたが、その罰としてチーム全員で合宿に参加させられます。合宿では断食をすることになりますが、「自己融解」することで心の毒を出すことが断食の目的でした。
(※断食をやりたくなった方は必ず専門家の指導の元、おこなって下さい。)
断食も終わり、毒が出きったかのように思えましたが、今度は世間の偏見と、誤解による風評被害に悩まされます。
黒曜谷はいわば、問題児たちの集まり。ナオが参加したベットバレーだったり、狂犬と恐れられたかつての練の噂だったり、叩けば簡単にホコリが出ます。
誤解には慣れたという練に、優しい言葉をかける小田切。
『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)4巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て4巻より引用しています)
まっすぐな瞳で語られる包容力のある言葉は、またしても練を救うのでした。
黒曜谷のメンバーなら大丈夫かもしれない。心ではそう感じながらも、中学校のトラウマが蘇り、嫌われることへの恐怖も同時に感じてしまう。
そんな練を支えたのは、シゲルであり、小田切であり、延友であり、チーム全員でした。練に足りなかったのは、チームメイトを信じることだったのです。
心に響く名言
由良木監督が体力テストの結果に納得がいかない伊丹と、才能のせいにする小田切に対して発するセリフです。
他の人を羨ましく思ったり、才能がなかったと嘆いて切り捨てることは簡単です。では、才能があると思っている人達は初めから特別だったのか?
特別な人間はいない。何をやってきたのかが、その人を特別たらしめる要因であることを教えてくれます。
つまり、今は何もない自分でも行動を積み重ねていくことによって、自分自身を特別なものに変えることができることに気づかせてくれます。
注目のシーン
本気を出せなかった練が、信頼できるチームメイトのおかげで全てが吹っ切れた時のシーンです。姉のことを忘れる為だけに打ち込んだ、嫌いだったはずのバレーボールが好きでたまらない表情がみてとれます。バレーボールと自分自身に向き合い始めた、練の本当の物語はここから始まったとも言えるでしょう。
そして、後の16巻で練と同じような表情を浮かべる人物がいます。
『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/作画監修:木内亨/講談社)16巻より引用
それは、朱雀高校の寺沼理香です。膝の怪我を抱えながらも、有栖川からのトスを気力で打ち切ったシーンです。
このスパイクの最高到達点は3メートルを余裕で超え、黒曜谷のメンバーは誰一人触れることもできませんでした。ただ、このスパイクがバレーボールに再び向き合った、おそらく寺沼の最後の勇姿となります。
バレーボール人生の始まりと、ある種終わりを意味するシーンですが、奇しくも同じ構図で描かれています。バレーボールを好きになっていいんだと気づいた練と、バレーボールを好きでよかったと後悔のない寺沼の表情。物語が始まった練だけでなく、終わりを迎える寺沼の表情も生き生きとして、目には輝きが満ち溢れています。
対比して描かれているこのシーンが、どちらも最高の笑顔であることが非常に感慨深いシーンです。
過去作とのリンク
今回も直接的な過去作との繋がりではないのですが、4巻に登場するコマを使って伝えたかったことがあります。
『少女ファイト』が誕生したのは、日本橋ヨヲコ先生が今まで描いてきた作品の積み重ねによるものです。
残念ながら打ち切りとなってしまった『極東学園天国』がなければ、転生したと言われる練達のデザインは変わっていたかもしれません。
『G戦場ヘヴンズドア』が完結していなければ、町蔵の漫画をベースとした『少女ファイト』自体も誕生しなかったかもしれません。
漫画家さんは、本当に不安定な場所で発信を続け、魂を削りながら漫画を描いています。だからこそ、心も身体も健康であることが何よりも不可欠です。
2021年2月現在、イブニングの連載は休載となっていますが、体調が万全になった状態で『少女ファイト』の再開を心待ちにしています。
どうか、お体大切にして下さい。
と言うことで、4巻の振り返りはおしまい。
私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。
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