相続税3000万円の壁③(財務省の計算式を使って算出してみた)
平成27年以降、相続税基礎控除が3000万円へ引き下げられた根拠を調べてみたところ、財務省HPに計算式がありました。
バブルの地価上昇により引き上げられてきた基礎控除を地価下落を理由に昭和50年との比較で引き下げるというものでした。
〈計算式〉
昭和50年基礎控除×((平成24年地価上昇率+平成23年物価上昇率)÷2)
=2000万円×((126.5% + 178.0%)÷2)
=3000万円
※上昇率は昭和50年との比較
(財務省「平成25年度税制改正の解説」より)
財務省の計算式を現在に当てはめて計算してみました。
昭和50年基礎控除×((令和6年地価上昇率+令和6年物価上昇率)÷2)
=2000万円×((365.88% + 203.48%)÷2)
=5693万円>3000万円
※上昇率は昭和50年との比較。
又、配偶者税額軽減の上限が1億6000万円に引き上げられたのは平成6年以降です。
改正決定が平成5年とすると地価上昇率は660%、物価上昇率は180% 。
昭和50年の配偶者税額軽減の上限は4000万円。
上記の基礎控除と同じ計算式で算出すると金額がほぼ一致します。
4000万円×((660%+180%)÷2)
=1億6000万円
※上昇率は昭和50年との比較
(平成5年当時の計算式は古くて見つけられませんでした)
基礎控除と同様に現在に当てはめて計算してみました。
4000万円×((365.88% + 203.48%)÷2)
=1億1387万円<1億6000万円
基礎控除は、5000万円+法定相続人の数×1000万円。
配偶者税額軽減は、法定相続割合又は1億円迄の税額。
くらいが財務省の計算式からは妥当なようです。
配偶者税額軽減の1億6000万円を8000万円にと意見してきましたが、現在の税収を維持するという意味では1億円位と考えるべきなのかもしれません。
ここまで書いてきて少々虚しくなってきました。
多くの人はこんな事に興味がないかもしれません。
ただ、今後、相続が増えていくのは確かなことです。
多くの人が興味を持たないうちに、相続で儲けようとする人たちは色々と考えをめぐらせ、国は今後の相続による税収のシュミレーションを行なっているのでしょう。
彼らには、103万円の壁の大騒ぎが隠れ蓑になって好都合なのかもしれません。