士業の広告について(日本人に道義は必要なくなったのか)
カードキャッシング返金手続代行のチラシ広告がポスティングされていました。最近は士業(弁護士、税理士、司法書士等)のテレビCMもよく見かけます。テレビCMをするという事はそれだけ儲かるのでしょう。
過払金請求は判例を盾にしたもので返還金の一部を成功報酬として受け取る為、取りはぐれがないという話を聞きます。テレビCMやポスティングまでするのは、過払金請求をしていない者がかなりいるという事なのかもしれません。
過払金請求をしない理由にはクレジットカードが利用できなくなると困ること等があるようなのですが、ポスティングする側にはそんなことは関係ないのでしょう。
この手の広告はなんとしてもお金が必要な人達の為のもので、がんばって今の生活を維持している人達の為のものではないような気がします。
一方、税理士の広告は資産を持つ人を対象にしたものだと思います。経常的な税金(法人税や所得税等)に関してはCMで税理士を決める人は少ないと思いますが、非経常的な税金(相続税や譲渡所得等)に関してはCMを見た人が税理士に依頼をする可能性があります。
又、税務調査で否認された時の損害賠償請求を回避する為、顧問税理士が当初申告で安全策をとることがあるグレーゾーンと呼ばれるものについてですが、当初申告が否認されたら損害賠償請求をするが安全策をとる事にも不満を持つタイプのお金持ちがCMを見て税務相談をする可能性があります。
国税には当初申告に誤りがあった場合の減額更正の請求制度があります。グレーゾーンについて更正請求が提出され、内容が認められれば税金が還付されます。依頼を受けた税理士はノーリスクで請求が認められた場合にだけ成功報酬を受け取るというわけです。内容によっては高額な還付になる場合もあると思います。
ところで中間層に対するCMといえば、投資、保険、健康、介護、葬儀等で死ぬまでお金を搾り取ろうとするようなものばかりです。
士業に携わる者には、公正な社会秩序の維持、公共利益への貢献等の倫理感が求められるべきだと思うのですがそれは昔の話なのかもしれません。
道義的責任の一般的解釈がわからないと言った県知事が再選されましたが、道義をわきまえない行政長の不適切な言動は珍しくありません。与野党問わず国会議員、地方議員についても同様です。今や日本人の大半は道義をわきまえなくなっているのかもしれません。
法に触れなければ何をしてもいいという事と、犯罪を犯しても逮捕されなければいいという事は違う事ですが、道義的意味合いは似ていると思います。
士業に携わる者には道義的責任をわきまえてもらいたいものですが、誰もが道義をわきまえない世の中では難しいことなのかもしれません。