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都築郷士 日差しの中の

【ルノワールの女たち】

確かリウマチだつた
いや、ルノワールの晩年
指が動かなくても、と
手首に繪筆を括りつけて
キャンバスに向かつた。
その頃の仕事は
と言ふか、私が彼に求めたのは
あのふくよかな裸の
女たち -
もし大金持ちであつたとしたら
悪趣味呼ばゝりされやうとも
「肉の権化」であるところの
彼を追ふ。
所謂印象派と規格された
光と影、それは
飽くまで女たちの
引き立て役に過ぎぬ、とさへ
私は受け取つてゐる..エロなのである、
描いた方か観てゐる方か
それとも両極が
エロ、なのだ。私は
エロスの天使、みたいな嗤
中途半端な言ひ繕ひは
笑止だと思ふ。
エロなものはエロだ、
それで充分通用するぢやないかね!
肉の洪水である繪の中の世界に
ひたすら憧れる。
埋没したいのだ。

©都築郷士

冬刻々どこを侵すか犀利なれ くにを

【付け足り】

ルノワールの永遠の春は、
金満家たちに任せておくには
忍びない。また「おデブちやん」的言説は
私には通用しないのだ。
ひたすら「豊かなるもの」であれば
前述、エロ論すら
不必要である。おゝピエール・オーギュスト!

緑色に蔭ある肌へルノワールの「過剰」ほど柔らかな美を知らず くにを

©都築郷士

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