カメル・ダーウド『ムルソー再捜査』を読み解くーー『異邦人』の植民地主義を書き返す
2013年、アクト・シュッド社と提携しているアルジェのバルザフ社から『ムルソー再捜査』(Meursault, contre-enquête)が出版された。作者はアルジェリアのジャーナリスト、カメル・ダーウドである。本書は2014年にはゴンクール賞の最終候補に残り、翌年にはゴンクール処女小説賞を受賞した。
本書はアルベール・カミュ『異邦人』(1942)を下敷きにした作品であり、ムルソーに殺されたアラブ人の弟が『異邦人』の裏側を語るという設定である。本書のコンセプトは、「こ