IRをもっとクリエイティブに!楽しくシゴトするためのバシマエIRマーケティング論【Vol.1】
資本市場の皆さま。ごきげんよう。バシマエです。
わずか3年ですがIRやってきて気づきました。制度開示しかやらないとつまらなくなりやすい仕事ですが、マーケティングとして戦略を考えるととても楽しくなります。
とある企業でIR専任でやってますが、社名出すと色々面倒なので個人として参加。このnoteはバシマエの考え方、ね。
マーケティングの営業畑でずっとやってきたバシマエは、着任当時、BS・CFすら怪しく、”ろーどしょーまてりある”ってなに?レベルで3年前にIRが始まっています。
伊勢丹の、「売り場」という言い方をやめて「お買い場」にしたら売上が伸びた話がスキです。
マインドがマーケティング寄り。
■読んでもらいたい方
主にIRの方には、何か新しい気づきがあったらな、というのと、投資家/アナリストの方にはスタンスに共感してもらえたらなと思って書いてます。
・上場してIR経験者がいない発行体の方
(フォローしてください)
・個人投資家の方
(フィードバックください)
・バイサイドの方
(フィードバックください)
・セルサイドアナリストの方
(取材機会ください)w
#アドベントカレンダー 2日目なので、つまらなかったら次につながらないんじゃないかとプレッシャー。。。
■バシマエの行きついたIRの前提
この3年でいろいろ経験させてもらい、学びました。
現時点の結論、市場から評価されやすい会社というのはこの2点。
業績の安定(成長)
IRのコミュニケーション力(開示資料含)
こういってしまうと、もともこもないけど、大事なのは1にも2にも業績で、IRだけでは株価は決まらない。
最終的にはEPSと、その成長率で決まる。(短期的にはその限りではない)
株式分割や自社株買い等いわゆる個人投資家が求める”株価対策”(この言い方は好きではない)みたいなIRの仕事っぽいものはあるけど、
実はこのへんはIRの仕事ではなくて財務戦略含めCFO中心に経営メンバーが状況を見ながら判断していく。
市場で盛り上がるプレスリリースも広報がいれば広報だし、そもそもネタがなければ勝手にIRで作れない。
・・・んじゃIRの付加価値ってどこにあんだ?っていうのが担当の悩みでもあるし、評価しづらい/されづらい理由。
でも、バシマエそこから考えマス。
■IRの役割と目的
日本IR協議会と全米IR協会で定義されているので時間がある人は見てほしいですが、固い。長い。わかりづらい。
(定義は年々更新されていて、直近では”戦略的な経営責務である”というのが追加された)
で、バシマエ的にわかりやすくていいなと思ったのが
「IRの目的は、自社の株式を買ってもらうこと」
と説明した楽天IR戦記の著者である市川祐子さん(IR系ACの12月11日ご担当)
最近2冊目も出版され売れてるようです。(PR)
・・・バシマエも自社が大きくなったら本書けるだろうか。
わかりやすいじゃないですか!
”買ってもらう”のであればマーケティングやん!
ということでバシマエ的にはこう整理しています。
IRの役割は
「株を買ってもらうための戦略的マーケティング」
証券広報でもないし(古)、財務報告でもなくて、買ってもらうことを目的とした戦略的マーケティングなのだ。
もう一つ。
よくある、「なんのためにIRやるの?」って問の解。
「株価(バリュエーション)を上げる」
これは、ブブーなんだなと理解。気持ち的にはそりゃ上げたいけどさ。
教科書的でおもしろくないけど
「株価を適正水準(フェアバリュー)に近づけること」
だと認識してます。
ただ!
常に株価が適正水準(どこが適正かっていうのはまたムズカシイ)にあるのであればIRなんて必要ないわけで、
それより低いと思ってるからIR強化するわけだし、高くあるべきと思える理由があるからIRがんばるわけで。
ということを想像すると、
実態は株価をあげにいく意識の方が強い、
のも確かで間違っていない。
ただ、株価が高ければ良いわけでもなく、適正水準から不当に上がりすぎた場合は、それはそれで資本市場の信頼を失うことになる。
その原因は、期待値コントロールできなかったコミュニケーションミスもあるだろう(あった
高いところで下手に買わせない、という塩梅はナカナカ難しい。(ちなみにバシマエは、高くなりすぎたら売って(利確)もらって構わないと言えます)
ギャップを埋め、フェアバリューまで買ってもらうのがIR
という前提が共有できたところで本題。
■マーケティングとIRの対比
IRをマーケティングとして考えるとこうなる。
【マーケ:IR】
商品:自社の株式
顧客:投資家
競合:類似企業
(同業界だけでなく規模や成長率、収益性が同じ等)
ユニバースに入るであろう投資家に対して、比較される銘柄よりも将来価値が高いということを伝え、買ってもらう戦略を考える3C的なアプローチ。
価格:株価の絶対値ではなく、過去との比較でもなく、理論的にはフェアバリューより安ければ買う、高ければ売る
製品:投資家に提供できる株主価値は何か
流通:個人・金融機関(投資信託)、ネット証券・対面証券、etc
プロモーション:各種IR施策、メディア露出
人気:需給・出来高・話題性
投資家にとって自社株式の魅力はなんだろうか。何をどう伝えてくかを考える5P(4P+1P)的なアプローチ。
ね?似ていません?
普通は、いかに自社のビジネスを魅力的に伝えようか、どうやって認知度を高めようか、とばかり考えがちだけど、
違う観点もでてきませんか?
どうストーリーを紡ぐと伝わりやすいのか、とか、
短期集中的に宣伝するのではなく、長期的に信用され、ファンになってもらうためにはどうあるべきか。
そして、マーケのように数値として目標を掲げるとKPIやアクションプランも見えてきます。
例えば、(適正な)PERを目標として置いた場合に、
(株価=EPS×PER)
※EPSはいじれないから目標としておくならPERになる
例えば現状鑑みて、機関投資家に買ってもらうために流動性が必要で、KPIを出来高・売買代金に置いてみよう、
それを上げるためには個人投資家IRも必要で、じゃあ何をどの頻度でどうやっていこう、とか
ミーティング数をあげるために、セルサイドには何ができるだろうか、と考えて動いてみたり。
期待してもらえるストーリーや開示に改善点はないか、等。
そんなことを考えながらやっていくともっとIRはクリエイティブになる。
IRは将来のバリュークリエイターなのだ。
いずれも深堀できそうだし、もう1つ資本市場の声を経営に届けるという大事な役割もあるけど、長くなるのでそれはまたの機会に。
今回のまとめとしてはここから重要ポイント。
■皆抜けてる気がする重要な視点
マーケティングで一番重要なことは、
消費者心理を理解すること。
とバシマエは考えています。それを抜きにするとどうしても独りよがりになる。
ということは!
IRで需要なことは
投資家心理を理解すること。
ではないかと考えます。投資家心理や、どうやって銘柄認知してどういう判断軸をもって、どういうタイミングでポジションもつのか等の投資家ジャーニーを知り、理解することで、自社のことも他社のことも見え方が全然違ってくる。
例えばこういう記事はとても参考になります。(PR)
本もヒントの宝庫。
個人投資家向けも読みます。(PR)
今まで、セミナーや書籍等いろいろインプットする機会はありました。
でも、一番ためになったのは投資家からのフィードバックです。特にネガティブフィードバック。
なぜかここを重視しているIR担当/CFOに会ったことがあまりありません。
買ってくれた理由よりも、買えない理由に大ヒントがあります。
(マーケでもこう考える人は少ないけども同じはず)
個人からも機関からも聞きました。それをもとにIRを改善し、今があります。まだまだ完璧ではありません。
それを繰り返していくと、
「なんでうちの株価はこんなに安いんだ」
なんて思わなくてよくなります。必ず理由があることに気づけるから。
相対的に業績悪いか、コミュニケーションミスってるか。どちらかです。
その結果、最近「IRとしてできることはこれ以上ないのでは」というコメントもいただけるようになりました。(個人的にはもう少し改善できると思っていますが)
今、結構楽しくIRやらせてもらっています。まだまだいろいろやっていきたいのでIRの方は是非情報交換しましょう♪
最後まで読んでいただいてありがとうございます。もし少しでもよかったな、とか共感できるなって思ってくれたらスキ♡ください♪次の記事書くモチベーションになります。
クリスマスまであと23日!
明日はグッドスピード松井さん!ヨロシクゥ♪
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