【書評】わが投資術 市場は誰に微笑むのか 清原達郎著
高額納税者名簿(長者番付)で2005年に全国一位の納税者として有名な、「伝説のサラリーマン投資家」の異名を誇り、当時タワー投資顧問で運用を担当された清原達郎氏による著書となる。
本書で気になった箇所をかいつまんで引用する。まずは、日経225指数の問題点について。
これはマーケット参加者の間ではヒソヒソと言われていること。特に、日経225指数のウェイト上位5社で全体のウェイトの25%を占めるので、デリバティブ(金融派生商品)を利用し、5社の株価を不釣り合いにつり上げ、日経225指数で利益を上げるということだ(別の言葉で言い表すと相場操縦となる)。ここは証券取引等監視委員会に頑張っていただきたいところ。
これとは別に、日経225指数について著者からの警鐘(どちらかというとイヤミ)となる。
著者はマーケットから退いているので、この警告は奇譚ない発言かと推察される。この疑問系の主張は日経225指数を管轄している組織へのイヤミであろうとなと。
また、株式のショート取引についても別の警鐘を鳴らしている。これについては日本の当局がなぜ動かないのか不思議なところ。
これは個人投資家には重要な金言となる。個人投資家の空売りは、ヘッジファンドと比較し、圧倒的に情報が足りないのだ(物知りな言葉で言い表せば、情報の非対称性と呼ぶ)。
単純に攻略法を考えれば、このプライムブローカー(ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー等)なり、「Markit」や「DataLend」から情報をもらえばいいと想像されそうだが、これらに支払うショバ代は数億円単位となり、実質的に庶民にはそもそもアクセスできないのだ。
株式投資に興味がる人は、上記の引用箇所だけでも読んで損はないと思う。