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読書ログ「古くてあたらしい仕事」

吉祥寺でひとり出版社「夏葉社」をはじめて 10 年。作家志望だった著者は、幼いころから兄弟のように仲良くしていた従兄を事故で亡くしたこと機に転職活動をはじめるも、50社連続不採用。33歳で夏葉社を起業した。編集未経験からの手探りの本づくりの日々、苦手な営業をとおして肌で触れた書店の現場。本づくりをともにしてきた和田誠さん、庄野潤三さんの本をめぐる庄野家のひとびととの交流。たったひとりですべてやる、 小さな仕事だからできること。大量生産、大量消費以前のやり方を現代によみがえらせる、ひとり出版社「夏葉社」の10年が伝える、働き方と本の未来。

『古くてあたらしい仕事』 島田潤一郎 | 新潮社
  • 積読チャンネルで紹介されていた本。すごくよかった……

    • 社会にうまく適合できなくて起業したらうまくいった人の話、と言ってしまえばそれまでだけど、ビジネス書などとはまったくちがう読み味でめちゃくちゃ刺さった

    • 著者は出版社の営業の経験などを経てひとり出版社を立ち上げる。自分の好きな本を、自分の納得のいくように作るの、楽しそうすぎる。どうせ働くならそういう楽しいことがしたい。めちゃくちゃシンプルな欲求のはずなんだけど、”それだけでは食べていけない”というだけでやりたいことを諦めるのは人生の運び方としてぜったいにちがうと思うので、そこは自分の人生や選好にちゃんと責任を持ちたいところだ

    • やりたいことで食べていくためならバイトでもなんでもするという覚悟をもってやりたいことをやろうとしている人、めちゃくちゃかっこいいし共感する。やりたいことはできていないけど食べていくために仕方なくやるなんていうのは前時代的すぎると思う。そりゃ有史以来の人間の圧倒的大多数はそういう働き方をしていたかもしれないけど、私は「現代人は週15時間も働けば充分食べていける」というケインズ先生の金言を信じているので

出版社をはじめて一〇年たったころも、もっといえばつい最近まで、誰もが知るような大企業に入れたらどれだけいいだろう、と夢想していた。そうした会社にさえ入れれば、取引先から軽くあしらわれることもないし、生活にももっとゆとりが出るはずだし、将来をあれこれと心配する必要もない、と思っていた。でもぼくはいま、自分の会社がいちばん好きだ。当たり前だが、自分の会社は自分好みの本しかつくらないし、労働時間も短いし、夏休みも長い。 大学生のぼくだってきっと、あらゆる会社のなかから「夏葉社」を第一志望にするのではないか。

古くてあたらしい仕事
  • いい

    • こういう働き方がやはり理想的だ。他に選択肢はいくらでもあるなかで自分が選んだものを続けていきたいし、仮に”次の人生”があったとしても同じことをしてしまうだろうと思えるような生き方をしたいものだ

    • もちろん生得的に選択肢がすごく少なかったとか選択肢側に選ばれなかったりだとかも色々あるだろうけど、そういうしがらみとかやむにやまれなさとかも全部ひっくるめたうえで、最終的に選んだものがまちがいなく最善手だったのだ、みたいなのってすごく救いだなぁと思う。最善を求めてああでもないこうでもないとしていれば、いずれはそこに辿り着いて腰を落ち着けることができると考えれば、どの試行錯誤も無駄にはならない

    • その過程で自分が本当にやりたいことを見失わないというのが最短ルートではあるけど、本当にやりたいことだって手探りしてみないとわからないということもあるしな〜

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