読書ログ「禍いの科学 正義が愚行に変わるとき」
THE・ポピュラーサイエンス本ってかんじでワーッと楽しく読めた(内容はぜんぜん”楽しい”とかいうレベルじゃない惨事が多いけど)
フリッツ・ハーバーのことハーバー・ボッシュ法でしか知らなくて食糧生産量の増加にめちゃくちゃ貢献した人としか認識してなかったけど、めちゃくちゃえげつない毒ガス作りまくって人殺しまくってたのを知ってわあ……となった。そして自分の読書メモを検索したら「フォン・ノイマンの哲学」にそのことが全部書いてあった
こういうことよくあります
戦争中の研究者の倫理観終わりすぎてるやろと思うこと多いけどむしろ現代においては(「Science Fictions」みたいなこともあるとは言え)研究倫理の水準がだいぶレベル高く保たれてるのすごない??と思う。それによってイノベーションのスピードが鈍化したという側面はあるかもしれないけど、イノベーションと倫理を天秤にかけたうえでちゃんと倫理のベースを築けているの、ヒューマニズムだなぁと思う。それってたぶん科学だけじゃなくて広く人文学の領域の成果でもあるはずで、文系不要論の行き着く未来のどうしようもなさを実感する
最近Twitterでこういうこと言ってる人見たな……
「沈黙の春」のことも知ってるような知らないような微妙なかんじではあったけど読みやすくまとまっててよかった。文系にも読みやすくてわかりやすい「Invention and Innovation」ってかんじ
倫理観もそうだけど、シンプルに病気とか食糧生産量とか虫とかのありとあらゆる領域において、”生きやすさ”はとんでもなくインフレしていると思う。ぼんやりと現代を生きにくい時代だな〜と感じている人間も、ほんの100年前に生まれていたとしたら今日や明日食べるものにも困っていたりして、おそらくそんな呑気なことは言っていられなかっただろう
だからといって現代を生きにくい人が甘えているとかそれが大した問題ではないとかそういうことではなくてね
なんだかんだで平均寿命や健康寿命が順調に伸びまくっているということは世界はどんどん良くなっていっているということなのかもしれない。ただ生きるだけなら、毎日ぼーっとしていてもある程度なんとかなってしまう。その先の”どう生きるか”についてまで悩めるぐらいに、現代人は豊かになったのだ
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