読書ログ「神のいない世界の歩き方 「科学的思考」入門」
「利己的な遺伝子」のリチャード・ドーキンスの最近の本。なお「利己的な遺伝子」は読んでいない
翻訳のおかげかもしれないけど、驚くほど読みやすくてドワーっと読めてしまった。ドーキンスってもしかしたらおもしろ説明おじさんなのかも
前半は「なぜ神はいないのか(いないと言いきれるのか)」について有神論者の非合理性を叩きのめすような論調が続いてそりゃ言ってることは正しいだろうけど容赦がなさすぎるし信仰ってそういう身も蓋もないような合理でもって説得されたり啓蒙されたりするようなものでもないのでは……と思わされる
けど、自分がキリスト教をはじめ(仏教ですらも)影響が薄い日本人だからそう感じるだけで、欧米圏で無神論者をやるにはこれぐらいの強い覚悟と語気が必要なのかもしれない。未だにこの世界を神が創ったと本気で信じている人は、現代日本に住む我々が思うよりも大勢いて、そういう人に「そんなものより科学を信じろ」と説得するのは容易なことではない
無神論者のこと、ただ神の存在を信じていないだけの人という認識でいたけど、なんかもうそんなレベルじゃない理論武装とパンクの精神を持ち合わせているのがわかってだいぶ好きになった
後半は進化論の話がメインになっていてこっちのほうがおもしろい。進化論ってほんと〜〜にぼんやりとしか理解してないトピックの筆頭みたいな存在だ。贈与論とおなじ。 あとカーゴカルトがおもろいなと思った
理屈と膏薬はどこにでもつくというけど、神とか神話もいつでもどこでも自然発生するものなのだ。なにか自分の理屈の外にある不思議な出来事が起きたときに神のせい(おかげ)にしておけばとりあえずその場の気持ちが落ち着くというのは古今東西のあるあるなのだろう
ドーキンスは「そういうのやめろや」と言っているわけだけど、そういう”摩訶不思議”に、客観的で再現可能で合理的な説明を追い求めることができる人は、ほんの一握りの存在でしかない。地球に住む100%近い人間たちが科学を信奉する新世界が訪れる日がいつか来るのだろうか。それはたぶん多様性とは程遠い世界だとは思うけど
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